JAの活動:【緊急特集・JA対話運動】
【緊急特集:JA対話運動】第16回 JAさがみ(神奈川県)対話は将来への種まき2019年8月5日
担い手の農業所得向上めざす
神奈川県のJAさがみは「より出向き より対話 より実践」のスローガンのもと、自己改革に取り組んできた。JAに対する批判は、「我々役職員が農協の原点を理解していないためではないか」(大川良一組合長)との反省から、組合員のところに出向き、対話を重ねることで協同組合の原点を取り戻そうと考えた。同JAは、対話活動を将来の成果につながる種まきと位置付け、取り組んでいる。
農家の作業場で対話するJA役職員
■正組合員を対象とした重点的な訪問活動
JAさがみの組合員(平成30年度末)は正組合員が1万502人、准組合員5万2837人。出向く対話活動として最初に重点的に取り組んだのは、正組合員を対象にした対話運動で、(1)支店長と営農経済センター長のペアによる担い手農業者等への戸別訪問、(2)役職員による組合員戸別訪問、(3)全職員・子会社社員による正組合員全戸訪問の3つからなる。
平成30年4~5月と12~1月の計2回、管内の全担い手農業者450戸を訪問した。次いで全職員・子会社社員による戸別訪問を実施。組合員の状況をよく知っている支店・営農経済センター職員によるペアで、7700戸余りの正組合員の自宅を訪問した。
さらに8月から11月にかけて、JA役職員が担い手農業者を中心とする組合員461戸と、さわやかクラブ(JA女性部)・JA青壮年部の地区役員を訪問。こうした訪問活動は以前から実施していたものだが、平成30年度は、政府の定める農協改革集中推進期間の最終年度にあたることから、拡大・充実させた。JAグループが行っている「JAの自己改革に関する組合員調査」も、この訪問活動を活用して実施した。現在、第2次調査を行っている。
■分かりやすいパンフレットでコミュニケーション
訪問活動で組合員に伝えるべきことについて、同JA総合企画室は「総合事業への理解」を挙げる。訪問のために容易したパンフレット(写真)には、総合事業が地域の生活を支えるとともに、その事業利用から得た利益は、地域の農業を発展させるための投資となること、その農業が安全・安心の農産物を地域に提供し、それがさらに地域農業を応援につながることが、分かりやすく説明してある。
このほか、JA自己改革の取り組み状況を詳しく説明した冊子を作成。組合員とのコミュニケーションをスムーズに進めるツールにした。この中には、これまで実施した対話活動で受けた組合員からの意見・要望、またそれに対するJAの対応策を細かく明記。あわせて、同JAが実施している「組合員カード」の新規加入も働きかける。
■准組合員との対話も重視
また、正組合員の5倍、約5万人を超える准組合員についても、准組合員を「地域農業の応援団」と位置付け、対話に力を入れている。同JAは、食の安全・安心を考える学習会の日帰りバスツアーとして、横浜港の輸入農産物保管倉庫を視察する企画を実施しており、30年度までの3年間で2300人余りが参加と、参加者の裾野が広がっている。また、准組合員のつどいである「JA利用者ふれあい交流会」を開催している。これはバスツアーに参加した准組合員を対象に、意見交換を行う場で、JAの常勤役員や地区役員なども出席し、支店ごとに行う。
准組合員訪問活動では、「あなたも地域農業の応援団になりませんか!」のチラシの配布とあわせ、簡単な調査を実施。そこでは「自ら農業をしてみたい」、「地域の農業を手伝ってみたい」、「直売所を利用し、地域の農畜産物を食べて、地域農業を応援したい」など、准組合員の農業への関心・意向を聞いている。この結果をもとにJAの活動へ参画・参画を呼びかける。
このほか、支店別の活動にも工夫を凝らしている。「1支店1活動」による支店協同活動の実践や、JAの事業・活動への参加・参画を促すための訪問活動の実施、参加・参画した准組合員への戸別訪問などが展開されている。
■職員の動機づけに向け、JA内の対話も
対話活動は、JA内の組合長と職員・子会社社員間の対話にも広がっているほか、組合長と行政との対話も実践している。特に組合長と職員・子会社社員間の対話は、組合長自らの体験を職員・子会社社員に伝えることで、全戸訪問や自己改革の意義を理解するなど、訪問活動に向けた前向きな意識付けにつなげている。
本特集の一覧はこちらからご覧いただけます。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日
-
キウイブラザーズ新CM「ラクに栄養アゲリシャス」篇公開 ゼスプリ2025年4月30日
-
インドの綿農家と子どもたちを支援「PEACE BY PEACE COTTON PROJECT」に協賛 日本生協連2025年4月30日
-
「日本の米育ち 平田牧場 三元豚」料理家とのコラボレシピを発表 生活クラブ2025年4月30日
-
「子実トウモロコシ生産・利活用の手引き(都府県向け)第2版」公開 農研機構2025年4月30日
-
「金芽ロウカット玄米」類似品に注意を呼びかけ 東洋ライス2025年4月30日
-
令和7年春の叙勲 JA山口中央会元会長・金子光夫氏、JAからつ組合長・堤武彦氏らが受章2025年4月29日