青果物を直売所へ 路線バスで貨客混載の実証運行開始 JA兵庫六甲2021年1月15日
JA兵庫六甲は神姫バス(株)、生産者で構成される三田野菜・産直の会高平支店会と連携し、路線バスで青果物を輸送する貨客混載サービスの実証実験を1月19日から開始する。JAと生産者、地域を走る路線バス事業者が連携して行う貨客混載は関西初の取り組みとなる。
バスにコンテナを積載(写真提供:JA兵庫六甲)
神姫バス三田営業所が運行する路線バス「三田~小柿線」は、三田市の北東部に位置する高平地区の住民にとって重要な交通手段だが、近年の人口減などで路線維持が課題となっている。さらに、コロナ禍によるバス利用者の減少も重なり、新サービスの創出が急務となっている。
JA兵庫六甲では、高平地区における生産者の高齢化に伴う青果物の減少や直売所「パスカルさんだ一番館」までの青果物の輸送手段の確保、午後からの品薄解消が課題だった。また生産者は、青果物出荷のため直売所まで片道約10kmを20分かけ自家用車で往復しており、高齢化による運転への不安から「青果物を作りたくても作れなくなる」ことが課題となっているという。そこでJA兵庫六甲、神姫バス、生産者の3者はそれぞれの課題を解決するため、日々運行している路線バスの車内スペースを活用し、青果物を輸送する「貨客混載」の実証実験を行うことで合意した。
実証運行期間は1月19日~4月30日までの火曜日と金曜日。貨客混載を行う便は神姫バス路線「三田~小柿」線の高平小学校前停留所11時02分発、三田駅北口行きの1便(土日祝は運休)。運送を希望する生産者は、前日にJA兵庫六甲高平支店へ出荷予約を行い出荷数を調整。当日、生産者は高平支店に出荷物を持ち込み、バスへ積み込む。高平小学校前停留所を発車したバスは、貨客混載で三田駅を通過し、「パスカルさんだ一番館」最寄りの福祉保健センター停留所まで搬送する。福祉保健センター停留所に到着した後、同館担当者に出荷物を引き渡し店舗で販売する。混載の最大積載量は、浅型コンテナ10個分(床面に8面、座席に2個)。車両は2台分の車いす固定スペースがある大型ノンステップバスで運行し、車いす1台分のスペースと一部座席に出荷物を積み込む。
1月12日と13日には、出荷を希望する生産者が高平小学校前バス停で積み込みのシミュレーションを実施した。青果物はダイコン、ミズナ、カブなどの冬野菜が中心となる。JA兵庫六甲企画管理本部広報は「今回の取り組みを高齢化などが進む農産地区の課題解決の第一歩とし、未来の地域農業の活性化につなげていきたい」と話した。
これまでバスを利用した貨客混載は、2018年にJA全中、農林中金、三菱地所などが、高速バスで乗客とともに農産物を東京・丸の内に届ける取り組みを開始。JA全農やまなしも高速バスを活用した農産品などの貨客混載事業「産地直送あいのり便」をスタートさせている。西日本では、JA晴れの国岡山が、二葉観光運輸(岡山県矢掛町)の保有する保有タクシー(ジャンボタクシー含む)で、倉敷かさや統括本部管内への農産物の配送を行っている。こうした鉄道、バス等による貨客混載の取り組みを行うことで、地方の新鮮な農産物を大都市圏の生活者が消費・購入できるほか、過疎地域等における路線の維持、物流の効率化が期待できる。
高平小学校前バス停で積み込みのシミュレーションの様子(写真提供:JA兵庫六甲)
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