生産基盤の強化やJA支援 最重点事業を加速化-JA全農2021年3月31日
JA全農は3月30日の2021(令和3年度)事業計画を承認した臨時総代後に山崎周二理事長らがオンラインで記者会見した。山崎理事長は「すべては組合員のために、そして消費者、国民のために、という基本姿勢のもと、これまでの取り組みをさらに加速していく」と5つの最重点事業施策の加速化を強調した。
この1年でもっとも大きな影響はいうまでもなく新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大だ。農業現場では外国人技能実習生の来日制限による労働力不足で国内での労働力確保の重要性が高まった。
消費の現場ではインバウンド需要の喪失と、緊急事態宣言や自粛による外食産業の低迷による需要減少が打撃を与えたが、一方で宅配やeコマースでの食品購入のニーズや、衛生、健康への意識も高まった。山崎理事長はこれらに加えて「安全、安心な食料供給の観点から国産農畜産物の価値が見直される機会ともなった」ことを指摘する。
ただ、厳しい情勢認識と加速度的な変化への対応の重要性を強調した。
農業の現場では、就業者の減少と高齢化、大規模経営体への農地集積など「環境変化は今後も加速していく」と予想する。また、農業に限らず生産年齢人口が減少するなかで、農業にとって重要な物流でドライバー高齢化と法規制の強化で、農畜産物や生産資材の円滑な流通体制の維持が懸念される状況にあることも指摘した。
その一方で昨年3月に政府が閣議決定した新基本計画では、中小家族経営など多様な経営体の活躍促進や、農村振興策を打ち出していることに着目したほか、成長産業化に向けて2030年輸出5兆円目標を掲げていることについて「官民一体での国内生産基盤の所得向上に資する輸出拡大の取り組みが求められている」と強調した。
また、SDGsの取り組みや多様な先端技術の導入普及などデジタル化への対応も課題に挙げる。
コロナ禍の影響は農産物の販売だけではなくJAの生活・購買事業にも打撃を与えた。会見で野口栄専務は農機展示会やJA祭りなどのイベントの中止や葬祭事業の小規模化、外出自粛によるガソリンなど燃料需要の低迷も影響していると話し、「コロナ禍はこれまでの事業環境の変化を加速させ、事業課題を顕在化させた」として5つの最重点施策を「着実に迅速に進めていくことが有効だ」と述べた。具体策としてeコマースへの投資拡大による新たな需要の創出や、労働力支援やスマート農業普及によって農畜産物の取扱い数量を拡大していく取り組みや、他企業のアライアンスの強化のなかで生産提案や契約栽培を拡大していくことなどが重点となるとした。
他企業とのアライアンスではファミリーマートとの事業連携が本格化する。事業提携の柱は(1)店舗展開、(2)商品開発、(3)国産農畜産物の販売、(4)デジタル化、(5)輸出事業。会見でこのうち店舗展開、商品開発、国産農畜産物の販売に高い関心と期待があるとして桑田義文専務は「新しい経営陣と担当部署と協議を開始した」ことを明らかにした。
協業のイメージとしてはJAファマーズマーケットとファミリーマートが同敷地内で展開したり、地域によってはファミマで生鮮野菜の量販店感覚の販売など。弁当や惣菜などにこれまでの精米供給に加え、全農が青果物を提供していくことも期待される。
現在47都道府県に窓口担当者を設置、全農は県下JAに地域に実情をふまえた事業連携ニーズをヒアリングして検討する。一方でJAグループは季節ごとにさまざまな農産物を扱っており、これを活かした商品化も検討しファミマオーナー向け商談会でも提案していくという。
山崎理事長は「事業環境の変化のスピードは加速度的に高まっている。トップクラスの企業とアライアンスを進め質の高い取り組みをスピーディに行う重要性を認識してきた。これからも積極的なアライアンスを通じて強い日本農業に貢献したい」と力を込めた。
※山崎理事長の「崎」の字は正式には異体字です
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