JA教育文化活動は「必要」だが「弱体化」 「知恵絞りつながり生む活動を」 立命館大・増田教授が調査報告2022年8月8日
JAの教育文化活動をめぐって立命館大学経済学部の増田佳昭教授が全国のJAを対象に行ったアンケート調査などから、多くのJAが「女性部など組合員組織の活動停滞」などで悩んでいることが明らかになった。一方で、半数のJAは「現状程度の赤字はやむを得ない」として教育文化活動の経費を必要経費と受け止めていた。増田教授は「コロナ禍などで難しい状況だが、各JAの役職員は組合員とのつながりを強化するために知恵を絞り、汗をかいて取り組んでほしい」と呼びかけている。

JA教育文化活動についての調査結果を報告する立命館大学経済学部の増田佳昭教授
増田教授の報告は8月4日に開かれた「家の光文化賞JAトップフォーラム2002」で公表された。アンケート調査は全国のJAを対象に教育文化活動の実施状況や悩み・問題などを尋ねたもので、223JA(回答率39.3%)から回答を得た。
教育文化活動の悩みと問題点について尋ねたところ(複数回答)、最も多かったのは「家の光購読者の減少・伸び悩み」(148JA)、次いで「女性部など組合員組織のメンバー減少」(145JA)、「女性部など組合員組織の活動停滞」(83JA)だった。最も大きな問題として1つだけ挙げてもらった単数回答では、「女性部など組合員組織のメンバー減少」(48JA)が最も多かった。
また、常勤役員を対象に「教育文化活動をすすめる上で必要なこと」を尋ねたところ(複数回答)、「教育文化活動を推進する職場風土の醸成」(155JA)が最も多く、単数回答でも91JAとこの設問に応えたJAの過半数に達し、多くのJAが職場風土の醸成に苦労している姿が浮かび上がった。次いで「教育文化活動の事業計画への位置づけ」(104JA)、「タテ割り体質の脱却」(76JA)となった。
一方、教育文化活動の収支については(単数回答)、「現状程度の赤字はやむを得ない」が108JAが最多で、この設問に回答した216JAの半数を占めた。「できれば収支均衡にしたい」が61JA、「赤字を減らしたい」が42JAだった。
こうした結果について、増田教授は、教育文化活動は組合員の結集やつながりの強化を生んでいるが、組合員の減少や活動の停滞が続くと経営にマイナス影響が出る悪循環となるおそれもあると指摘、「女性部組織の活動見直しやニーズに沿った学習機会など活動の強化とともに、准組合員や正組合員の次世代とのつながりなど活動を広げていくことが大切だ」と強調した。
また、調査全体を踏まえて、「今回の調査を通して改めてJAの経営は組織力依存型経営であると実感した。JAにとって『つながりなくして成果なく』、『つながりなくして経営なし』と考えている。本当の意味での組合員とのつながりを強化するために役職員として知恵を絞り、汗を流して取り組んでほしい」と呼びかけた。
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