第2回Z-GIS・ザルビオWEBミーティングinあぐラボを開催 営農支援サービス「天晴れ」も紹介 JA全農2022年10月14日
JA全農耕種総合対策部スマート農業推進課は、9月30日に「第2回Z-GIS・ザルビオWEBミーティングinあぐラボ」を東京・大手町のAgVentureLabで開催した。今回はリモートセンシングをテーマとしてZoomとYouTubeで同時配信され、Z-GISとザルビオ、国際航業株式会社が提供する営農支援サービス「天晴れ」の機能や活用事例が紹介された。
開会のあいさつをする平野課長
JA全農耕種総合対策部スマート農業推進課の平野課長は、開会のあいさつで「Z-GISとザルビオについて歩みを止めることなく、機能の開発、追加を行っている。Z-GISは、以前から要望が多かったeMAFF農地ナビのデータをダウンロードしてドラッグ&ドロップでZ-GISに読み込める機能を追加した。ザルビオはたまねぎ、ばれいしょ、キャベツ、ブロッコリー、にんじんといった5つの園芸作物を含む14品目について生育マップが見られるようになった。」と述べた。
続いて、AgVentureLabの田中氏がAgVentureLabの役割について、食と農と暮らしに関わる社会課題を解決するスタートアップを支援するために作られた組織であること、JAグループ内の役職員の人材教育にも取り組んでいることを説明した。また、JAアクセラレータープログラムとして支援している企業の一部を紹介した。
WEBミーティングの内容は下記の通り。
◎天晴れ
営農支援サービス「天晴れ」については、国際航業LBSセンシング事業部RSソリューション部営農グループの大島氏を招いて説明が行われた。「天晴れ」が農作業や社会情勢の変化に対応するために開発されたこと、人工衛星の観測画像データ、ドローンからの撮影画像をユーザーの需要に基づいて解析した情報を提供するクラウド型のサービスであると説明された。続いて、一度に広域を撮影することに特化している人工衛星と、高解像度で機動性に優れるドローンの特長を目的や環境に合わせて選択して活用できること、水稲、小麦、大麦、大豆、牧草に対応していること、他作物対応も拡充予定であること、圃場測量というドローンに特化したサービスも展開していることが紹介された。
水稲のタンパク含有率の高低差を対象圃場全体で俯瞰。赤→橙→黄色→黄緑の順にタンパク含有率が低い状況を可視化している。
大島氏は「天晴れ」を利用することで圃場の見回りの省力化やコスト削減が見込めること、Z-GISで入力した生産者情報や圃場データを「天晴れ」に預けて生育診断やレポートを作成することで、従来は点で押さえていた情報を地域一帯で情報化して把握できることを説明した。また、その年の収穫計画、翌年の追肥、高品質化が見込める圃場を決めて作付することに「天晴れ」を利用している事例、「天晴れ」の利用によって一等米比率の向上に成功した事例や高収量化を実現した事例が紹介された。
◎Z-GIS
新たに追加された機能として、農水省がWEB上で公開、提供している「eMAFF農地ナビ」のデータをダウンロードしてZ-GISに読み込ませることで、地番情報が入ったポリゴンを簡単に作成できることが説明された。従来であれば、ポリゴン、地番を手作業で一つずつ作成、入力する必要があったが、同機能を利用することで大量の圃場を短時間で登録できるようになる。実際の操作方法についても説明があり、「eMAFF農地ナビ」で農地ピン情報とポリゴン情報をダウンロードして、Z-GISのウィンドウにドラッグ&ドロップすることで行うことができると紹介された。また、地番の他に面積(平方メートル)の情報も読み込ませることができることが説明された(eMAFF地番とeMAFF面積が入ってないポリゴンを除く)。
◎ザルビオ
ザルビオについては開発背景と地力マップ、生育マップ、NDVI(平均植生)マップを中心に説明がなされた。近年の農業は栽培体系が多様化し、栽培方法も効率化を目指し移植から直播が増えており、作物の転換が進んでいるという背景がある。また、担い手が大規模化し圃場が分散する傾向がある。さらに、気象の変動もある中で、作物の高品質化や収量の安定化が求められている。従来であれば、定期的に生育診断項目を把握して施肥や水管理を行う必要があったが、適切な生育診断には時間と労力がかかり、なかなか把握しづらいという現実があった。ザルビオは人工衛星が撮影する画像とAI(人工知能)による分析によって、効率的に地力差や生育診断項目を把握することができると説明された。
続いて、地力マップは、AIが過去15年分の衛星画像を解析して生育の傾向を相対的に色分けしたマップ、生育マップは毎日更新される衛星画像を解析して圃場内の生育状況をLAI(葉面積指数)と緑色の濃淡で表示したマップ、NDVIマップは植物の活性を示すNDVIを俯瞰的に見ることで圃場間の比較できるマップと説明された。ザルビオが表示するマップの精度についても説明があり、均一施肥をおこなった圃場で地力マップとコンバインの収量データを比べると、地力マップで地力が高いと表示された部分は実際の収量が多く、地力が低いと表示された部分は収量が低いことが紹介された。
各マップの活用についても同セミナーで提案があった。地力マップでは、地力が低いと表示された部分についてなぜ悪いのか考えることができることや、地力が高い部分については減肥を行いコストの削減を狙うなどが挙げられた。また、生育マップでは生育にムラが見られた場合、生育が悪い部分に追肥を行い生育の平準化を図る、NDVIマップでは圃場間の比較をすることで巡回の必要性や追肥の判断に活用できることが紹介された。
なお、第3回Z-GIS・ザルビオWEBミーティングは12月16日に開催予定となっている。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日