地域づくり、仕事づくりに協同の力 第102回国際協同組合デー記念中央集会2024年7月12日
日本協同組合連携機構(JCA)は7月9日、東京都内で102回目となる国際協同組合デーを記念した中央集会を開き、実践報告などを学んだ。
国際協同組合デー記念中央集会
今年の世界共通テーマは「協同組合はすべての人によりよい未来を築きます」。国連は2025年を2度目の国際協同組合年(IYC)とすることを宣言、各国政府に協同組合を振興するため、IYCを活用するよう呼びかけている。JCAの山野徹会長は「今年のデーはIYC2025に向けて機運を高める日とすることが重要。私たちが一歩踏み出す日にしていこう」と呼びかけた。
集会では国際協同組合同盟(ICA)が提起した協同組合のアイデンティティについての協議とJCAの取り組みが報告された。
現在の協同組合に関するアイデンティティは1995年に採択されたもので、ICAはその検証や見直しを世界に提起した。
JCAは各地の話し合いをもとに今年3月に提言をとりまとめICAに提出した。
提言では現在の協同組合の原則として7番目に掲げている「地域社会への関与」をさらに強め、地域社会への関与を協同組合の「目的」として定義のなかに記載することを提起している。
また、組合員の参加について組合員どうしのつながりや対話の促進、組合員の事業利用が組合への参加であることなどの記述を充実させることや、「職員」を協同組合の担い手として新たに原則で位置づけることも提起した。そのほか協同組合間協同に加えて、協同組合を越えた行政、団体、企業などとの協同も規定すること、「平和と非暴力」、「多様性と包摂性」、「対話と相互理解」、「環境保護」を協同組合の「価値」に加えることも提言に盛り込んだ。
ICAはこうした各国団体からの提言などをもとに協議をしており、早ければ来年秋にインドで開かれるICA総会で見直しが行われる可能性もあるという。
集会ではICAに提出した提言のもとになった協同組合のアイデンティティや、協同組合とは何か、何をなすべきについての学びを引き続き継続させ、実践と発信を進めていくことを確認した。
こうした協同組合の実践事例として報告したのが生活クラブ事業連合生協。山形県の遊佐町をはじめJA庄内みどりなどと始まった産直活動は庄内の地域づくりへと発展してきた。酒田市からの呼びかけに応えて生活クラブがともに地域づくりをめざし、組合員が酒田市に移住するという関係にまで発展した。生産地と消費地の長年の信頼関係と協同組合間協同で農業だけでなく、農村地域の課題解決に都市の組合員が参加するかたちが生まれている。遊佐町では空き家に転居し農業を始める居住者も出てきたという。
もうひとつは三重県鈴鹿市の労働者協同組合コモンウェーブ。2021年に不登校の子どもたちにフリースペースを開いたが、ボランティアで支え続けることは困難で事業化を考えていたときに、労働者協同組合法の成立を知る。22年10月に同組合を設立した。山浦久美子代表理事は生きづらさを抱える子どもたちを支えたいという目的と、働く仲間として地域の困り事を事業化していくことができるとその利点を話した。スタッフとのミーティングも協同労働というかたちを意識し対話を重視、「職場のコミュニティ化」でいきいきと働ける場となってきたとして「協同労働は組織の強み」と強調した。
(関連記事)
2025国際協同組合年 全国実行委員会 立ち上げ(24.7.9)
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日