営農指導員 経営分析でスキルアップ JA上伊那【JA営農・経済フォーラム】(2)2025年9月17日
8月26日にJA全中が開いた第11回JA営農・経済フォーラムは「営農指導事業機能・体制強化」をテーマとした。長野県のJA上伊那では営農センター体制によって中堅職員が若手職員に同行し知識や技術を共有する取り組みで人材育成を図っている。
JA上伊那の白鳥健一常務
JA上伊那では2020年に支所に配属されていた営農指導員を3つの営農センターに集約した。
狙いは指導員から事務的業務をなくし、品目ごとの営農指導に専念し出向く体制の強化と、経験年数の少ない若手指導員に中堅指導員が現場に同行してスキルを伝えるなど効率的なOJTを実施することだった。
また、営農指導と資材事業の連携により指導購買、予約購買の強化も目標とした。
営農センターには、管内のすべての地区を網羅している49の集落営農組織や中核的な担い手を巡回する総合渉外担当と、農業振興ビジョンの策定や行政との連絡調整、農地貸借相談などを担当する地域振興担当を置き、営農指導員は担当品目ごと生産者に巡回指導に専念できる体制とした。各センターでの配置は、リーダー、中堅、若手のバランスを見ながらOJTが機能するよう考慮している。
営農指導員の業務は栽培技術指導や出荷査定会のほか、部会活動の事務局も担う。
目標管理も実施している。販売金額、出荷数量別にランク分けした重点経営体への巡回訪問目標を設定しており、訪問実績を月次業務報告書で管理している。
また、重点品目の面積拡大も目標とし推進しているほか、品目別年間販売高100%以上も目標としている。これら目標の達成状況は人事考課に反映している。
営農指導のDX化にも力を入れている。栽培管理クラウドシステムを一部品目で導入し、生産者が入力した栽培管理記録をもとに営農指導員による生育診断、土壌診断などで必要な対応を示すほか、今後の品質、収量向上の課題なども生産者と共有する。
一方で営農指導員の採用と育成にも力を入れる。募集業種に総合職に営農指導を明記している。総合職応募の2~3割が営農指導員を希望しているという。報告した白鳥健一常務によると「営農指導はJAの根幹」と考えて応募していることをふまえて意思は尊重し、最初は他部門への配属でも数年後に希望を確認するといった対応をしていると話した。
営農指導と他部門との部門間連携では、金融部門との連携を行っている。農業資金などのニーズを把握する取り組みのほか、経営診断分析による定量評価と事業課題シートを使った定性分析による経営指導を実施している。
支所ごとに年に1名の生産者を対象とし収支の特徴、技術面の特徴などを把握し営農指導員が解決策をコメントする。白鳥常務は「営農指導のスキルアップにつながる」と強調した。
今後は新技術を活用する現地実証試験の農家との共同実施や、採用面では地元農業高校でOB職員がJAの営農指導事業などの紹介や体験を話す理解活動にも力を入れるという。「営農指導は農業振興の要であり、なくてはならないJAの機能」と強調した。
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