JAグループと生協グループが「よりよい営農活動」で連携2026年1月19日
JA全中、JA全農と日本生活協同組合連合会はGAP(適正農業規範)の実践を通じた安心・安全な農畜産物づくりで組織を超えた連携を始めた。
生協版GAPとGH農場評価制度の関係を整理
生協グループは、生産から消費までをつなぐ「生協産直マネジメントシステム」に取り組んでおり、産直産地では日生協GAPと呼ばれる「生協版正農業規範」の取り組みを進めており、約7割の地域生協が取り組んでいる。
一方、JAグループは持続可能な農業経営の確立に向け「よりよい営農活動」として「グリーンハーベスター農場評価制度(GH農場評価制度)」の活用と普及を進めている。
GH農場評価制度は認証を取得するGAPと異なり、農業生産のどこが、どの程度問題なのかを点数化して評価し、改善に向けた取り組みの継続をサポートする制度だ。認証を取得するという結果よりも、「よりよい営農活動」の実現に向け「改善を続ける」ことに焦点がある。言い換えれば「GAPする」ため農業生産工程での課題を見つけて改善していくツールである。
GAP認証を取得するとなると、審査、認証のための費用も含めて生産者に負担がかかる。一方、GH農場評価制度は、審査、認証の費用は不要であり、農場の評価を点数化することから生産者の状況に合わせて目標を設定することができる。
このように生協グループとJAグループはそれぞれ独自に生産工程の点検や改善を実施してきたが、人手不足のなか類似の取り組みを行うことは非効率で現場の負担も大きいという認識を両グループで共有した。
一方、生協版適正農業規範もGH農場評価制度も農水省が定める「国際水準GAPガイドライン」に準拠していることから共通項目も多く、よりよい営農活動に向けてPDCAを回すという取り組みは共通していることも両グループで確認した。
こうした認識のもと、JAグループが「GH農場評価制度」に取り組めば生協独自項目を除き「生協版適正農業規範」を実施しているのと同じということに日本生協連とJA全中、JA全農で合意した。
国際水準GAPは農場経営管理、食品安全、環境保全のほか、労働安全、人権保護の5分野の取り組みが求められるが、生協の連携のもとで一部の産地では2025年産から生協と点検項目を確認したり、さらなる改善項目について確認するといった取り組みが行われている。
岩手と群馬で実践
JAいわてグループでは、米の生産でJAいわて平泉とJAいわて中央が生協と連携したGH農場評価制度に取り組んでいる。
両JAとも2000人から3000人の米生産者に重点事項の10~20の点検項目を紙のチェックシートか、QRコードを配布し自己チェックをしてもらった。同時に代表生産者数名にはJAが聞き取りを実施し農場評価を行った。また、集出荷施設や、部会組織についても点検を実施した。
全体のチェックデータはJAで集積し、取り組みが不十分な項目についての改善策を検討し実施することとした。改善項目については生協側とも確認する。
JAいわて平泉は3800人の生産者が自己点検した。今までは優良生産者のみを点検していたが、この取り組みを機に全体の改善につなげようとしており、営農業務にGH農場評価を入れることで産地を継続的に改善していくとしている。
継続的な改善が重要
JAいわて中央は2200人が自己点検した。同JAはGAP認証は取得していないが、今回の評価によってどこに出しても間違いのない産地づくりができていると評価した。今後はチェックシートをデジタル化し、全員の課題の抽出と分析を行うことも計画している。
JAグループ群馬では、販売先のコープデリ連合会からGH農場評価での連携について打診があった。それを受けて生協とのつながりが強いJA甘楽富岡の玉ねぎ部会でGH農場評価を実施した。54人の生産者全員の自己点検と代表者への聞き取り、施設と部会組織に対する評価も実践した。
今後は大規模産地での評価の実施と、コープデリと連携して取引産地の拡大と販路拡大を検討していくとしている。
生協と連携したGH農場評価への取り組みは、産地が販売先を生協に広げることができる取り組みである。また、点検項目は毎年少しづつ変えていき、最終的には全108項目への対応をめざすことにしており、JAと生産部会で課題を共有し、よりよい産地に向けて取り組みという一体感も生まれそうだ。
JA全中とJA全農は、GH農場評価制度に取り組む産地を増やすため、現場で実践する営農指導員への研修だけでなく、集出荷施設の担当者、管理職などへの研修にも力を入れていく方針だ。
2025年は国際協同組合年だった。その年に始動した生協グループとJAグループの具体的な連携の取り組みが広がり、生産者と消費者の信頼関係の強化につながることが期待される。
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