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台湾の農会(総合農協)から何を学ぶか2017年3月13日

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白石正彦・東京農業大学名誉教授

農民中心で市民が結集
信用と営農の両輪で発展
白石正彦・東京農業大学名誉教授

 2月22日から27日まで台湾を訪問し、農会(総合農協)グループ等の視察と懇談の機会がありました。この訪問は、JAしまね青年研修事業(しまね協同のつばさ)で、竹下正幸組合長を団長に若手農業者・若手職員など26人が参加した。本稿ではこのなかで筆者が学んだ点を明らかにしたい。

白石正彦・東京農業大学名誉教授 第1に、台湾の農業者を中心に地域の人びとが会員や賛助会員として加入し、事業利用している協同組合は、(1)農会グループと(2)合作社グループがある点を確認できました。
 このうち農会グループの源流は、戦前の日本統治時代の「産業組合(総合農協)」で、戦後、単位組織は「農会」に名称変更していますが、信用・保険・販売・購買・指導事業などの総合形態を堅持しています。2015年の「単位農会」は279組織で組合員数は189万人(1組織平均会員は6、774人)で、そのうち会員(農家、Members)は98万人(1組織平均会員は3、513人)、賛助会員(非農家、Associate  Members)は92万人であり、このように組合員の約半分を占める賛助会員について政府からの干渉はなく、農会は台湾の食料・農業・農村の持続的発展の基盤を支え、政府から農業の成長産業化への責任を強制されることなどはありません。台湾の農会と政府の姿・関係からみて、日本政府の総合農協への干渉は時代錯誤のように異様です。
 一方、合作社グループに含まれる農業合作社(日本の専門農協タイプ)は2014年の単位組織が1034社、会員15万人(1組織平均145人)、連合社が11社であり、台湾では前者の農会グループが主流を占めています。
 第2に、台湾中西部の台中市霧峰区農会を訪問する機会がありましたが、当農会の源流は1922年に地元リーダーの林献堂氏が農村産業組合(総合農協)設立の発起人会を開き、当初は信用事業が中心の農村産業組合が組織され、その後、信用・購買・販売・利用事業の農村産業組合、戦後は農会(総合農協)として発展したものです。現在は、市内の22単位農会のうちの1つである。2015年には会員は7233人(うち農家個人会員2695人、非農家個人賛助会員4538人)であり、総代42人、理事9人、監事3人、農事小組合長17人である。当農会の組織は、会員―会員代表大会―理事会(理事長)・監事会(常務監事)の管理の下に、理事会で専任された総幹事(執行役員、Chief Secretary)と秘書(Secretary)が経営責任を果たすガバナンスの2重構造となっています。
 第3に、当農会の業務組織への職員の配置は、総幹事室(4人)、会務部(6人・広報含む)、監査部(3人)、会計部(3人)、普及部(7人)、購買・販売部(12人)、信用部(44人)、保険部(3人)、農業レジャー観光部・農業特産品販売(11人)と全体の職員は93人で、このうち信用部に47%が配置されている点が注目されます。農会にとって信用事業を分離する意義は認められません。
 第4に、当農会における2015年度の貯金額は134.9億台湾元(日本円で500億円)のうち会員(農家)は38%、賛助会員(非農家)は40%、その他22%です。他方、貸付金は94.0億台湾元(日本円で348億円)のうち会員向けは20.5%、賛助会員向けは61.8%、非会員向けは17.1%、その他は0.6%であり、貯貸率は69.7%と高い水準を保持しています。
 第5に、当農会では米穀、青果、畜産物、菌床栽培のキノコ類に加え、高品質の霧峰香米(2期作)を地元農家と契約栽培して初霧・純米吟醸、焼酎等の製造・直販(霧峰農会酒荘)など6次産業化や地元農家女性が栽培した青果物などを活用した地産地消の直営のレストランの経営にも取り組み、直営のショッピングセンターやレストランには国内外の消費者、観光客が貸切バスで訪れ、購買・飲食で熱気があふれ活気づいています。加えて、保険業務では家畜保険、国民健康保険、老齢農民福祉保険など多面的なインフラ事業に取り組み、農業農村協同組合としての役割を大いに発揮しています。
 第6に、台湾南部の高雄市にある高雄果菜市場を視察しましたが、その運営は高雄市農会(高雄市の単位農会の連合会)と高雄市(自治体)が各51%、49%出資。経営者(理事会)は農会4人、高雄市3人、監査委員会も農会2人、高雄市1人で構成され、台湾の青果物に加え日本からのリンゴや長イモなど輸入青果物を取り扱い、農会が青果物卸売業務に果たす存在意義が大きい。
 第7に、台湾北部の台北市に隣接した新北市の丘陵地にある文山農場を視察しましたが、当農場は茶園を中心に製茶の製造・販売だけでなく、体験茶摘みや体験茶石けんづくり、子どもたちの野外学習活動、キャンプ場での飲食、野営もでき、市民や国内外の観光客が訪れ活気づいていました。
 この運営は新北市農会(単位農会の連合会)で、創設は戦前の産業組合連合会(総合農協の連合会)が源流です。農会(総合農協)グループの農業・農村観光事業と食農教育活動の役割発揮に、JAグループも大いに学ぶ必要があります。

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