JAの活動:今村奈良臣のいまJAに望むこと
【今村奈良臣のいまJAに望むこと】第81回 JA-IT研究会第50回記念公開研究会の紹介と 講話ならびに討議2019年3月30日
記念講演 Ⅲ
「協同組合の『かたち」と『こころ』
農林年金基金 理事長 松岡公明
松岡公明氏は、前回の序言のもとに、次のような講演の展開をされた。
まず、司馬遼太郎の『この国のかたち』を引用しつつ、さらに、内山節の『文明の災禍』などもレジュメなどで紹介しつつ、改めて協同組合原則に立ち返り、考え、かつ行動を起こそうと呼びかけた。そこで、「協同組合原則(行動指針)を改めて熟読して行動を起こしてほしい」と訴えた。
「協同組合原則とは何か」
(1)加入・脱退は一人ひとりの自由(自発的・オープンな組合員制度)
(2)平等な議決権と主体的な参加(民主的運営)
(3)公平に出資し、剰余金はみんなのために活用する(財産の形成と管理)
(4)他に依存したり、従属してはならない(自治・自立)
(5)学び合う場としての協同組合(教育・広報活動の促進)
(6)協同組合同士で手を結ぼう(協同組合間協同)
(7)環境を守り、暮らしやすい地域をつくる(地域社会への配慮・貢献)
この7つの基本路線を改めて活動の指針として確認しつつ前進をはかろうではないかと強調された。
2.総合農協の歴史と意義
ついで、総合農協の歴史を改めてふり返りその現代さらに将来に向けての意義を明確にし実践すべきことを説かれた。
わが国の農協の歴史とその発展について述べられた部分はここでは省略するが、総合農協のメリットとその意義について総括された部分のみ紹介しておこう。
【総合農協の意義】
(1)信用・共済事業の利益で営業経済事業の赤字を埋めていることへの批判
これは「総合農協」としての「内部取引」「範囲の経済論」で正当であり批判されるに当たらない。タメにする批判である。
(2)信用・共済事業を含めた総合事業経営のトータルとして、雇用を維持し、地域経済と組合員の経済をサポートしているのが総合農協の経営実態であり、評価すべきである。
(3)総合事業の相乗効果
ワンストップでの総合的なサービスの提供と利便性の発揮を行い、農村部のインフラ機能を持ち、組合員利用者にとって取引費用を低く抑えることができているのだ。
(4)高生産性・高収益部門から低生産性・低収益部門への補填を総合事業体のなかで「再配分」している仕組みであり、これらは組合員の合意にもとづくものである。
(ついで「協同組合としての『自己改革』について展開されたが、これは次回に回したい」
本シリーズの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。
今村奈良臣・東京大学名誉教授の【今村奈良臣のいまJAに望むこと】
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日