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JAの活動:新世紀JA研究会 課題別セミナー

【意見交換】参入は地域に合わせ 基本は農家の手助け2019年6月12日

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20190612 新世紀JA研究会課題別セミナー 報告者を交え意見交換報告者を交え意見交換

 

 【白石・東京農大名誉教授】 JA信州うえだは、耕作放棄地を新規就農者に利用してもらい、研修期間が終われば利用権を設定してそのまま就農するというやり方ですが、これなどはJAによる担い手の育成ではないでしょうか。

 【谷口・東大名誉教授】 耕作放棄地の一般論ではなくて、その地域で何が適切な作物かを考えなければいけません。JA信州うえだの有機栽培のワインづくりなどは地域の人の理解も得られるし、そんなに大規模でなくてもやれます。

 【福間・新世紀JA研究会常任幹事】 JAは農業生産についてどのように責任を持てばいいのでしょうか。JAが農業生産に取り組めば農家と競合するという意見もありますが。

 【谷口/熊谷・農事組合法人となん代表理事組合長】 理論的にこうあるべきだというようなものはないでしょう。JAは組合員・農家が困っていることを手助けするのが基本で、JAがどこまでやるかは地域の判断です。

 【白石】 鹿児島銀行は農業融資を1000億円、それに農林公庫資金1000億円の融資をしていますが、公庫資金との関係について聞きたい。また技能実習生の取り組みはどのようなものですか。

 

◆地銀とJAが補完

 【馬門・鹿児島銀行】 気を付けているのは、JAが行っていることを横取りするようなことはしないことです。あくまでも農家の皆さんのニーズに応えるということで取り組んでいます。けんかはしていません。それぞれができること、できないことを補完しあう関係です。
 長期資金の場合、政策資金が絶対によい。低利・固定金利、期間は25年です。公庫とは常に意見交換して取り組んでいます。その結果が2000億円超の農業融資です。技能実習生については管理組合をつくって対応しています。鹿児島、宮崎県に加えて沖縄県でもやりたいと思っています。

 

◆機能しない管理機構

 【白石】 樫山農園はどうですか。また農園とJAの関係はどうなっていますか。特に農地の中間管理機構について。

 【樫山・樫山農園代表取締役】 技能研修生は10年前から管理組合で対応しています。彼らは借金をして日本に来る場合が多く、学ぶというより出稼ぎです。
 中間管理機構は全く機能していません。農地の集積率は全国最低です。説明に回っていますが、結局は地域の話し合いしかありません。特に農家から信頼されているJAの役割が大きい。

 【熊谷】 JAないし市町村を中心にやればよい。なぜ県の公社がやらなければならないのか。それでは1年以上かかります。
 JAや市町村が、農地の出し手と受け手を調整して申請すればそれで済むことです。そうすると公社の仕事がなくなりますが、そんなことさえ分かっていません。

 【谷口】 そもそも中間管理機構の考えは、これまでのように地域で話し合いをするからダメなので、全国一本の不動産管理会社をつくって全国的に農地流動化を進める考えに立っています。これまでの取り組みと合わないのは当然です。

 【福間】 「となん」における「農地管理株式会社」はどのようなことを行うのですか。

 【熊谷】 これから担い手がいなくなります。そういうところを農地管理会社で人を雇い、農業機械を効率的に利用して管理する。それで水田・畑地を合わせて2000haの農地管理しようと考えています。

 【樫山】 それを狙っていますが、中山間地帯などもあり、地域にあったやり方が必要です。地域によっては、水田ではなくキュウリや菌床シイタケなどで1億円を売り上げている農家もあります。そうしたところを含めて地域全体のマネジメントが必要です。

 【熊谷】 生産法人にとっても、農家組合等の集落組織が基礎となっており、農家だけでなく地域の皆さんと一緒に取り組むことが不可欠です。

 【馬門】 鹿児島銀行は輸出関連の会社を持っているので、特に需要の強い有機抹茶についてJAと連携しています。また漁協との連携もハマチの養殖等でJFと話し合って進めたい。また畜産、特にブランド牛の台湾進出を考えています。

 

◆業者と連携の経営も

 【秋山・JA常陸代表理事組合長】 畑の受託(25ha)を行ったが採算が取れません。有機は補助金がつくのでやりたいが、JAにノウハウがない。そこで、業者と連携して経営を任せたいのですが。

 【樫山】 当法人のハウスはJAと連携して、そのような形をとっています。特に有機は人気が高い。

 【杉山・JA静岡県中央会担い手支援部長】 外国人の就農は短期の収穫作業の需要が強い。この点、鹿児島銀行は通年で取り組んでいるのでしょうか。

 【馬門】 通年が基本です。単に管理会社だけではなく、長期的にみて現地に日本の会社をつくり、日本で学んだ人を雇用するなど腰を据えた取り組みが必要だと思っています。今回の入管法改正で「特定技能」の農業では派遣もできるようになったのではないですか。そうした派遣の相互活用などが考えられないでしょうか。

 【八木岡・JA水戸代表理事組合長】 受け入れ70人のうち半分が留学生でレベルが高い。JAとしては技能実習では監理団体と農作業請負方式技能実習の実習実施者を同一組織ではできないこと、また、新たな在留資格「特定技能」の受入機関となって派遣を行うことの両方はできないので、整理して進める必要があります。

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