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【今さら聞けない営農情報】第36回 連作障害を防ぐ 耕種的防除2020年1月24日
作物の収量や品質が大幅に低下する連作障害。それを防ぐためにはいくつかの戦略がありますが、いくつかの戦略を組み合わせて行うことが効果を大きくするようです。
前回もご紹介しましたが、連作障害を回避するには、生育阻害物質が溜まらないようにすることと、特定の土壌病害虫が優占化しないようにする必要があります。そのことを実現する戦略としては、大きく分けて、耕種的防除法と土壌消毒の2つがあります。
まずは、耕種的防除法について探ってみましょう。
1.輪作
同じほ場に同じ作物を連続で作付けしない(最低2~3年)ようにします。この時、防ぎたい病害虫の土壌中での生存期間を考慮することが重要です。できれば、裏作物での収益性も考慮して輪番作物を決めます。
2.土壌改良
病原菌以外の善玉微生物を増やすため、完熟堆肥などの有機物を施用し、悪玉微生物(土壌病害虫)が優先しないようにします。ただし、未熟堆肥など未成熟な有機物は土壌病害を逆に活性化する場合もあるので有機物選びは慎重に行います。
また、アブラナ科野菜根こぶ病など石灰を入れてpHを調整するだけで効果があるものもありますので、防除対象の病害虫の発生特性をよくつかんで改良を施します。
3.抵抗性品種
文字通り、防除したい病害虫に抵抗できる(病害虫に侵されにくい)品種を作付けすることです。ただし、抵抗性品種によっては、病害虫の発生量を減らすことはできますが、完全には防げないこともあるので注意が必要です。また、作物が抵抗性を示すもの以外の病害虫が発生することがあるので、使う抵抗性品種がどんな病害虫に抵抗性なのかをよく確認し、ほ場での病害虫の発生状況に合った品種を選ぶようにします。
とはいえ、抵抗性品種も万能ではなく、発生する可能性のある病害虫の全てに抵抗性を示す品種は存在しないので、抵抗性を持たない病害虫に対しては従来どおりの防除が必要になります。
このため、抵抗性品種を選ぶ場合には、防除が困難で被害が大きい主要病害虫に抵抗性を持つ品種が選ばれることが多いようです。
4.湛水化
野菜畑で発生する病害虫雑草は好気性(空気が好き)なものが多いので、畑をいったん湛水化することで窒息させ死滅させることができます。死滅させるのに必要な湛水化期間は、病害虫雑草によって異なりますが、そういった意味で、田畑輪換は水田、畑地双方の病害虫雑草を減らすのに効果のある方法です。土質によって「できる」「できない」はありますが、可能なところは田畑輪換を試してみるのもよいと思います。
次回、もう一つの戦略、土壌消毒を紹介します。
本シリーズの一覧は以下のリンクからご覧いただけます。
【今さら聞けない営農情報】
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