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シリーズ:今さら聞けない営農情報

2020.03.13 
【今さら聞けない営農情報】第43回 「浸透移行性」とは何か?一覧へ

 農薬の技術資料などを見ていると、「この農薬は、浸透移行性があり、安定した優れた効果を発揮します」と書かれていることがあります。今回は、浸透移行性とは何で、なぜ効果が安定するのかをひもといてみます。

 浸透移行性とは、農薬が散布された後に作物の体内を農薬の有効成分が移行していく性能のこと。

 例えば、土壌に散布された粒剤の有効成分が、土壌中の水分などと共に根から吸われて、上層の作物の茎や葉っぱに移動して作物の体全体に農薬の成分が行き渡ったり、下の葉だけに農薬がかかった場合に農薬が直接かかっていない上の葉にも有効成分が届くといったあんばいです。

 この下から上までは移行できないが、葉の表面にかかった農薬の有効成分が、葉の裏面に届くような短い距離を移動する性能のことを浸達性と区別していることもあります。

 では、この浸透移行性があると、どうして効果が安定するのでしょうか?

 理由はいくつかあります。まず、作物体にムラ無く農薬の有効成分を行き渡らせることができるからです。例えば、液状の農薬を動噴などで散布する場合、葉の裏側とか、葉が混んでいる場合など、農薬が隅々にまで届いていないことがあります。 その場合、農薬のかかっていないところは、無防備地帯になりますので、病害虫がたまたま無防備地帯にとりついた場合、そこが発生源になってしまうことになります。

 これが、浸透移行性のある農薬であれば、多少の撒きムラは、有効成分が浸透移行してカバーし、無防備地帯を無くすことができます。そうすると、たまたま葉の裏に農薬がかからなくても、葉表に浸透移行性のある農薬がかかっていれば、アブラムシやハダニなど葉裏に潜むことの多い害虫もしっかりと防除できます。このように、浸透移行性があることで、作物全体を隙間なく守ることができるのです。

 もう一つは、作物の体の中に潜む病害や花弁の奥など農薬がかかりにくいところに潜む害虫も防除できるからです。病害などは、見た目は正常でも、病原菌が作物の体の中に潜んでいる潜伏期間というものがあります。 その場合、多くが作物の体内に病原菌がいるので、浸透移行性が無い農薬をいくらかけても、病害が発生してしまいます。

 花弁の奥などにいる害虫も同様です。このように、通常取りこぼしてしまうような場合であっても、浸透移行性がカバーしてくれるので、効果が安定するのです。

 この浸透移行性は、雑草の茎や葉に直接かけてを枯らす除草剤の場合には、雑草の根っこまで届いて枯らす性能となり、根や塊茎からの次世代の発生を抑えて、安定した除草効果を発揮するようになります。

 
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【今さら聞けない営農情報】

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