JAの活動:今さら聞けない営農情報
GAPとは【今さら聞けない営農情報】第55回2020年6月12日
近年、「○○JAがGAP認証取得」などといった新聞記事が登場するようになり、GAPという言葉が市民権を得るようになりました。
現在も多くの産地でGAP認証を取得するための取り組みを進めておられ、それを支援するGH制度(グリーンハーベスタ制度)というGAP教育システムも登場し、日本国内でGAPに取り組む機運が高まっています。
このGAP、認証取得することが目的のようにとらえられがちですが、実は安全で安心な農産物を継続的につくるために守らなければならないルールであり、これを実践することにこそ本来の目的があるのです。
このことの理解を深めるために、GAPの生い立ちをご紹介します。
GAPは、欧州から始まりました。
欧州の各国・地域では、環境保全意識が非常に高く、農業においても環境保全型農業の実践が強く求められていました。このため、適正な農業実践の判断・評価行為などの基準となる原則として、「GAP規範(Code of Good Agricultural Practice)」を規定し、農業生産者の守るべき最低限のルールとして遵守義務を課しました。
これがEUREP GAP(現GLOBAL GAP)であり、欧州では、環境支払補助金の支払い要件にもなっています。また、欧州小売業者農産物作業グループは、仕入先の農場にGAPの遵守を求め、信頼できる農業生産が行われているかを検査する農場保証制度を始めました。それが2000年以降になると、第三者認証へ移行し、それが欧州以外にも拡散し、現在のGAP認証へとなっていきました。
GAPという言葉の意味は、環境的、経済社会にバランスの取れた持続可能な農業を行い、結果として安全で良質な食用及び非食用の農産物をもたらすことです。
国連食糧農業機関 (FAO)のGAP定義でも、農業による環境汚染の防止、労働者の保護、家畜福祉、安全な農産物の生産、トレーサビリティの確保など農場としての責務を果たす事などが求められています。
安全で安心な農産物を継続的に生産するためのルールであるGAP規範であり、これを実践すること、つまり「GAPをする」ことが一番大切なことで、農業者に求められていることなのです。
次回、日本におけるGAP認証の種類と、まもなく施行されるHACCP制度とGAPの関係について紹介します。
本シリーズの一覧は以下のリンクからご覧いただけます。
【今さら聞けない営農情報】
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日