JAの活動:今さら聞けない営農情報
SDGs 7【今さら聞けない営農情報】第86回2021年1月23日
17のゴールと169のターゲットが定められたSDGs。「行動の10年」として、国民一人ひとりにできることをしっかりと考え、一歩踏み出す姿勢が求められています。「いまさら聞けない営農情報」では、SDGsのうち農業に関係する項目について、農業関係者がどのように取り組んだらいいのかを考察しています。
今回は、SDGsゴール6番目、「6.安全な水とトイレを世界中に」を紹介します。
このゴールの意味は、「すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する」で、8のターゲットがあります。
そのターゲットの概要は表のとおりで、文字通りに水と衛生に関することです。農業にとって水は無くてはならない存在です。水が無ければ作物は育たず、枯れてしまいます。では、農業で実現に向けて行動しなければならない水に関するターゲットを見てみましょう。
まず、「6.3 2030年までに、汚染の減少、投棄の廃絶と有害な化学物・物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模で大幅に増加させることにより、水質を改善する。」です。この中で、農業を行う際に意識しなければならないのは、「汚染の減少」と「有害な化学物・物質の放出の最小化」です。
水を多く必要とする作物の代表である水稲で考えてみます。
水稲に使う水は、河川等から用水として水田に引き込んで使い、河川に戻しています。この河川に戻すときに、できるだけ「汚染」や「有害な化学物質」が含まないようにしなければなりません。
水稲栽培を行うときに水を汚す可能性があるのは、肥料や農薬が考えられます。肥料については、過剰な肥料成分が用水に溶けだして下流の富栄養化を起こしたり、被覆肥料のマイクロプラスティック、硝酸態窒素の流出などが考えられ、農薬については、水に溶けた有効成分や水路などに飛散したり有効成分が河川に流れ込むことが考えられます。これを守るには、肥料であれば土壌診断に基づく適正量を用法用量を守って正しく使えばいいですし、農薬であれば、圃場外への飛散(ドリフト)に十分に注意し、用法用量を守って正しく使えばよいのです。
つまり、日頃農家のみなさんが行っているように、肥料や農薬を正しく使うことを意識して作業すれば、それがSDGsを実行していることになるのです。
次にあげられるのは、「6.6 2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼を含む水に関連する生態系の保護・回復を行う。」でしょう。これは、6.3とも密接に関係しており、農業用水路の保全を意識することでしょう。農業自体が、もともとの自然を壊して、人間にとって都合の良いように耕地や水路を整備して成り立っている産業であります。なので、このことを常に意識しながら、可能な限り水に関連する生態系を壊さないように意識し、また回復するように意識することが重要であり、そうすることがSDGsを実行していることになるのです。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日