JAの活動:JA全農部長インタビュー「全力結集で挑戦 未来を創る-2021年度事業計画」
【JA全農 部長インタビュー 2021年度事業計画】竹内仁フードマーケット事業部長 JAタウンなど販売事業で農業発信2021年4月27日
本紙はJA全農の2021年度事業計画を事業部別に紹介する各部長に聞くシリーズを企画した。JA全農は、最重点施策である「生産基盤の確立」、「食のトップブランドとしての地位の確立」、「元気な地域社会づくりへの支援」、「海外戦略の構築」、「JAへの支援強化」を加速化するとしている。これに各部がどう取り組むか、情勢認識や事業の重点、各部長の思いを語ってもらう。(随時掲載)
竹内仁 フードマーケット事業部長
消費者の多様なニーズに対応
-フードマーケット事業部の重点事業をお聞かせください。
フードマーケット事業部は、全農のなかで唯一消費者に向けに販売事業を展開している部門で、「JAタウン」などのeコマース事業と「みのりみのるブランド」を中心とした飲食店舗事業を展開しています。
そこで産地直送で商品を届けたり、飲食店舗で地産地消や国産原材料を使った料理やサービスを提供することで、経営理念である生産者と消費者を結ぶ懸け橋となる事業を体現していくことが、課せられている役割だと思っています。
新型コロナウイルスの影響やウィズコロナ・アフターコロナの環境変化はまだまだ不透明ですが、当部としては、全農全体で掲げる令和3年度事業の重点施策の中でも、とりわけ「食のトップブランドとしての地位の確立」「元気な地域社会づくりへの支援」を念頭にeコマース、外食・中食店舗の展開による販売チャネルの多様化と拡大に取り組んでいきます。
コロナ禍で高まるeコマース需要
-新型コロナウイルスの感染拡大で消費者ニーズに変化はありましたか。
eコマース事業は、これまでお中元・お歳暮等のギフト向け商品が中心でしたが、"巣ごもり需要"の定着化により、直売所で野菜を詰めた「野菜BOX」等の青果物や和牛、バターを始めとした畜産物などを自身が消費する自家需要で購入する消費者が格段に増えたことで、令和2年度は前年比約2倍に売上が拡大しました。お客様から「新鮮でとても美味しかった」などのフィードバックをいただき、産地を含めたJAタウンに携わる関係者の励みになりました。これを一時のブームで終わるのではなく、定着させていかなければならないと強く思いました。

今年度はJAタウン事業を中心にさらに更に取扱額を拡大し、前年比180%の年間取扱額50億円をめざしていきます。そのための具体策として、eコマース事業は品揃え商品数と売上が比例する事業モデルとなっているため、現在6000アイテムほどある掲載品目数をさらに拡大させ、JAや直売所などとの連携を強めることで、地域ならではの商品を充実し、さらに魅力あるモールにしていきたいと考えています。
また、eコマース事業を通じて、地域や農業を活性化するための取組みとして、ふるさと納税事業やクラウドファンディングにも力を入れていきます。地方の名産品と都市の生活者の接点として、ふるさと納税は定着しましたが、全農と地元JAが協力して取り組んでいるふるさと納税事業は、確かな品質の農畜産物をお届けできるパートナーとして、自治体から高い評価を得ています。
近年では、クラウドファンディングにより農家の新たなチャレンジや災害支援をおこなう取組みが広がっており、当事業部でも、昨年度から「食と農業」をテーマに絞ったクラウドファンディングサイト「AGRISSIVE(アグリッシブ)」を開始しました。

今後も、単にモノを売るだけのサイトではなく、日本の農業やJAグループ・全農の取り組みをサービスや商品を通じて直接伝えていきたいと考えています。さらに、他EC事業者との取り組みでは、約300万人の会員を擁する大手通販事業者のフェリシモと共同で立ち上げた「純農」サイトが、昨年度1億円規模まで成長しました。こうした、他EC事業者とのアライアンスを強化し、新たな販路拡大のみならず、国内農業の応援団づくりをすすめていきます。
店舗再編を加速
-「みのりカフェ」「みのる食堂」など飲食店舗事業はどう展開しますか。
飲食店舗事業では、コロナ禍による経営悪化をふまえ、令和2年度に一旦全農グループ全体で店舗の存続を検討した結果、不採算店舗中心に閉店がすすみ、56店舗あった飲食店舗を40店舗まで縮小させ、コロナ環境下でも事業継続できる体制へと再編をすすめています。
飲食店舗事業は、農業団体の店舗として、「日本農業の魅力」「地域の農畜産物のブランド」「国産農畜産物の美味しさ」を消費者に提供・PRする拠点としての機能発揮が重要です。さらには、全農グループ自らが国産食材原材料を中心とした飲食店舗を運営することによって、飲食業界における原産地表示の意義を広く消費者に啓発し、外食産業における国産農畜産物原材料の利用拡大を促進すること、それらを通じて国産農畜産物の取扱い・消費が拡大することが大切です。これらの役割が継続して発揮できるよう、運営を継続する店舗については外部飲食事業者と連携した店舗運営体制の抜本的な見直しも加速させ、店舗運営・経営のさらなる向上に取り組みます。店舗を専門事業者と一体的に運営することで、メニュー企画力の向上や運営の効率化をはかり、ウィズコロナ下でも消費者に支持されかつ収支も確立できる店舗運営をめざします。
今年度は4月にJR博多駅に「みのりカフェアミュプラザ博多店」、JR熊本駅「みのる食堂アミュプラザくまもと店」の2店舗を出店しました。

これらの店舗については、コロナ禍前から準備を進めていたこともあり、計画どおりの出店となりましたが、今後はテイクアウトやデリバリー、メニュー企画、ソーシャルディスタンシングを配慮した座席配置など、消費者のニーズに応じた事業展開で出店を進めていかなければならないと考えています。
これら飲食店舗の運営とあわせ取り組んでいる、地域農業の情報を発信するフリーペーパー「アグリフューチャー」の発行や、定期開催している地域農産物の販売イベント「みのりみのるマルシェ」の運営も重要な取り組みです。昨年度は、コロナ禍の影響で十分な活動ができませんでしたが、地域活性化や消費者との接点強化の重要な取り組みとして今後も継続していきます。
生産者と消費者を結ぶ懸け橋へ
-フードマーケット事業部の今後の取り組みついてお願いします。
日本の地域・農業・生産者のこと、食文化・食農教育のことを、「JAタウン」「純農」の各ECサイト、全国の飲食店舗、さらには「みのりみのるマルシェ」などの販売イベントで積極的に情報発信し、生産者と消費者の懸け橋となる事業をめざします。
【経歴】
竹内仁部長(たけうち・ひとし)1969年生まれ、茨城県出身。1993年学習院大学経済学部を卒業しJA全農に入会。情報システム部、事業改革推進部、IT推進部、フードマーケット事業部次長を経て2020年4月から現職。
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