JAの活動:農協時論
【農協時論】いまこそ、問う!経営の進化とは 下小野田寛・JA鹿児島きもつき代表理事組合長2021年5月11日
「経営」とは「みんなを幸せするためにある」と下小野田組合長は考えている。そのためには「未来投資」が必要であり、その最大のものは「人財投資」だと、自らの経験も踏まえて強調しています。
下小野田寛・JA鹿児島きもつき代表理事組合長
いま、コロナ禍だから今まで当然のように考えてきたことをあらためて問い直してみたい。「経営とは?」 経営ということばは、一般的なことばで多くの人が使っている。では、「経営とは、何か?」と問われたら、何と答えればいいだろうか。「ヒト・モノ・カネを使って組織を運営すること」、「会社をつぶさないようにすること」、「顧客との関わりをつくっていく活動」、「お金を稼いでいくこと」などいろいろなことが挙げられる。どれも最もだと納得してしまう。
いまや企業だけでなく「国の経営」ということばにみられるように、地方公共団体・学校・財団など様々な団体の組織運営において「経営」が求められている。私たち農協の世界においても農業経営、農家経営、農協経営と日常よく使っている。私は常々「経営はみんなを幸せにするためにある」と思っている。だから、当然経営はよくないといけない。経営がよくないとみんなを幸せにできない。経営のやり方にはそれぞれいろいろあろうとも、経営の究極の目標はみんなが幸せになることである。しかも、今だけ幸せであればいいということではない。今も未来も、今から未来に向かって進む時間においても、みんなが幸せになるために「経営」は常に進化していかなければならない。
6年前、私は組合長に就任して全職員にメッセージカードを配った。「チームきもつきをみんなで創り、そしてみんなで幸せに」と手書きで私の想いを綴った。この6年間、その想いを胸に経営を進化させてきた。かつて40代で組合長になった時の経営とは違う経営を目指す、つまり経営を進化させるという強い想いをこのメッセージに込めた。かつての私の経営が、究極の目標「みんなが幸せになること」という視点を欠いていたという反省の想いもあった。
未来に向かってみんなの幸せを創るためには、未来に向かって行なう「未来投資」が欠かせない。未来に向かって投資せずしてどうしてみんなの幸せを創れようか!「未来投資」で最大のモノは、人財投資であり、ヒトの成長が私たちの未来を創り、その未来(ヒトが成長できる環境)がヒトの成長を促し、そしてみんなが幸せになる。ここに私たちの経営の進化がある。つまり、経営の進化とはみんなの幸せを追求していくことであり、経営を通してヒトが成長できる環境を創ることである。
6年たってみて「経営は進化してきたのか?」とコロナ禍にあらためて自分自身に問い直してみた。ゆっくりとではあるが、経営は確実に進化してきている。そのことは、組合員から信頼される職員が確実に育ってきていること(以前は職員への苦情ばかりだったが、最近ではお褒めのことばを多くいただく)、組合員からの紹介で入組してくる職員が増えてきていること等からもわかる。
進化していく経営が引き継がれていけば、私たちの未来は明るい。要はどうやって引き継いでいくかだ?! その答えは、これから行っていく未来投資(主に人財投資)の中に見出していくしかない。だから、私たちはコロナ禍であってもこれからも未来投資を躊躇することなく積極的に行っていく、その覚悟をもって今日も農協経営に当たる。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(174)食料・農業・農村基本計画(16)食料自給率その他の食料安全保障の確保に関する目標2025年12月27日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(91)ビスグアニジン【防除学習帖】第330回2025年12月27日 -
農薬の正しい使い方(64)生化学的選択性【今さら聞けない営農情報】第330回2025年12月27日 -
世界が認めたイタリア料理【イタリア通信】2025年12月27日 -
【特殊報】キュウリ黒点根腐病 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【特殊報】ウメ、モモ、スモモにモモヒメヨコバイ 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【注意報】トマト黄化葉巻病 冬春トマト栽培地域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
【注意報】イチゴにハダニ類 県内全域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
バイオマス発電使った大型植物工場行き詰まり 株式会社サラが民事再生 膨れるコスト、資金調達に課題2025年12月26日 -
農業予算250億円増 2兆2956億円 構造転換予算は倍増2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(1)2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(2)2025年12月26日 -
米卸「鳥取県食」に特別清算命令 競争激化に米価が追い打ち 負債6.5億円2025年12月26日 -
(467)戦略:テロワール化が全てではない...【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月26日 -
【スマート農業の風】(21)スマート農業を家族経営に生かす2025年12月26日 -
JAなめがたしおさい・バイウィルと連携協定を締結 JA三井リース2025年12月26日 -
「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業」採択 高野冷凍・工場の省エネ対策を支援 JA三井リース2025年12月26日 -
日本の農畜水産物を世界へ 投資先の輸出企業を紹介 アグリビジネス投資育成2025年12月26日 -
石垣島で「生産」と「消費」から窒素負荷を見える化 国際農研×農研機構2025年12月26日 -
【幹部人事および関係会社人事】井関農機(1月1日付)2025年12月26日


































