JAの活動:農協時論
【農協時論】協同の本質 課題にまっすぐ手を差し伸ばす 日本協同組合連携機構(JCA)代表理事専務 比嘉 政浩2022年2月18日
「農協時論」は新たな社会と日本農業を切り拓いていくため「いま何を考えなければならいのか」を生産現場で働く方々や農協のトップの皆様に胸の内に滾る熱い想いを書いてもらっている。今回は日本協同組合連携機構(JCA)代表理事専務 比嘉 政浩氏に寄稿してもらった。
比嘉政浩
日本協同組合連携機構(JCA)代表理事専務
法律制定時に「40年の歴史」
私は全中で37年勤めた後、2020(令和2)年夏に日本協同組合連携機構(JCA)に着任しました。同年12月、国会全会派一致で労働者協同組合法が成立しました。施行は本年10月です。
新法制定時点でわが国の労働者協同組合には40年近くの歴史があるとされます。働きたい人に働く場を、地域にとって良い仕事を、しかも働く人が主体で運営し働きやすい仕事を作るにはどうしたらいいか。これを模索し様々な法人格を用いてきました。
実践のなかで、欧州では数多くの実践例がある「労働者協同組合」こそが自分たちが目指しているものと見定め、旧JJC(日本協同組合連絡協議会)や国際協同組合同盟(ICA)にも加盟しました。仮住まいの法律は使いづらく新法制定運動を始め、およそ20年、ついに新法が成立しました。この息の長い運動に敬意を表せずにいられません。
多くの期待と評価が集まる
新法制定に時間がかかったことでわかるように、労働者協同組合法に賛成でない方もおられるでしょう。けれども、大局的には、日頃の立場が違う方々がこぞって賛成し期待を述べる。国会議員、官僚、マスコミ...。新鮮でした。
働きづらいと感じる方が数多くおられる。社会には求められる仕事がたくさんあるがそこにお金や人が集まらず、働きがいと収入・暮らしの両立ができない。これらに一石を投じ「労働者協同組合というやり方がある」「実践事例は既に数多い」「働き方という人生の大事を自分で決めていく」とする提案は魅力あるものです。もちろん、JAグループのような事業規模や経営基盤はなく、当事者のご苦労は大きいのですが、多くの方が「労働者協同組合はわが国社会が抱えている課題の解決にまっすぐに手を伸ばそうとしている」と感じていると思います。
組織や事業が伸びた時期には
JAグループの組織・事業が大きく伸びた時期、おそらく当時の社会的課題の解決に最も直接に貢献していたのでしょう。食生活の変化を踏まえ新たな作目を導入して産地を作り、農作業を機械化・近代化して重労働を減らし、農村のインフラ整備を進め農家の健康維持に貢献し、農村都市の格差を埋めるために主張してきた。だからこそ組織も事業も大きく伸びた。多くの組織、わが国社会で一定の存在感のある組織は、こうした時期を経験しているのでしょう。労働者協同組合は今そこにある。今懸命に取り組んでおられることが歴史になるのだと思います。
社会の課題にまっすぐに手を伸ばしてこそ
今JAグループの経営はとても厳しい。どうしても内向きになります。けれど、社会全体とJAグループの将来のために何とか外に目を向けたい。課題は山積です。
例えば、コロナ過で困窮した方、大学生などにJAグループからたくさんの支援の手が差し伸べられました。素晴らしいことです。敬意を表します。
寄付の効果は一時的、事業につながらない支出に組合員の合意はあるのか等の懸念はあります。おそらく実践されたJAグループ役職員もこうした懸念を持ちつつ「目の前に困った人がいる。急いで何とかしないと」との思いで実践されたのでしょう。
そして、直接的な支援の後、大学生に農業アルバイトなどを紹介されたJAや組合員に寄付・参加を募るJAもあります。民間組織が実践したうえで自治体・政府に公助を求めることは説得力があるでしょう。こうした取り組みを通じて広範な課題解決の端緒ができていきます。
協同を広げる
支援を受けたある大学生が「このことは忘れない。自分も社会に還元できる存在になりたい」とおっしゃった由。世代を超えて協同を広げることで未来は変わっていくと考えています。JCAとしても努力していきたいと思います。
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