JAの活動:農協時論
【農協時論】地域住民と価値観共有し、消費者を味方に 試される農協の本気度 岩佐哲司・JAぎふ組合長2022年11月10日
「農協時論」は新たな社会と日本農業を切り拓いていくため「いま何を考えなければならいのか」を、生産現場で働く方々や農協のトップの皆様に胸の内に滾る熱い想いを書いてもらっている。今回はJAぎふ代表理事組合長の岩佐哲司氏に寄稿してもらった。
JAぎふ代表理事組合長
岩佐哲司氏
平成25(2013)年TPP参加表明に端を発した農協改革は、昨年度で一応の決着がついた。この間JAグループは、全中の一般社団法人化等多くの改革を受け入れてきたが、これを契機にグループは、総力を挙げて自己改革にまい進している。
協同とは何か、農業振興はどうすべきか、地域コミュニティーにどう向き合うべきか、農協とは何か、何故協同するのか、我々協同組合の役員は、いろいろな側面から考え、それぞれの組合で具体的に実践してきたのではないだろうか。
最近、私は若い方々と話をする機会があると、農協について聞いてみることにしている。一番多い答えは、「農協は農業に関係した仕事をするところ」というものである。続けて農協のことは、好きか嫌いかと質問をする。大多数の人は分からないとの返答をする。
世間の農協に対するイメージは、「自分には関係のない、よくわからない組織」というものであり、自己改革以前とあまり変わっていないのではないだろうか。当時、国民の中に農協は必要であると思ってくれる人が多くいたなら、あのような結果にはなっていなかったはずである。
自己改革を実践してきた今、単協がなさねばならないことが二つあると思う。
一つは、農協のことを良く知らない人々に農協の活動をアピールし賛同を得ることである。
協同組合は、弱い立場の人々が自分たちの地位向上のために団結し戦ってきた。その相手は産業商業資本であり、食管法時代には団結し米価要求運動も行ってきた。共同出荷を行い、仲間内だけでコミュニケーションをとり団結すれば、産地や農業は守れた時代が長く続いた。今は、国内農産物の価格は低迷し、作っても売れない時代となり、内向きの活動だけでは農業も地域も守れない時代になった。
これからは戦うのではなく、広く地域の住民や事業者と価値観を共有し、消費者に味方になってもらい、賛同者の准組合員化を目指す努力をしなければならない。
単協があまりコンタクトを取ってこなかった消費者に対して、食を切り口(有機や地消地産)に農業や農地、農協について理解を深めてもらう具体的な活動を行う。
これには、消費者の意識改革のみならず生産者の意識改革も伴うものであり、農協の本気度が試される。
これは、活力ある農業と豊かな地域の実現には欠くことが出来ないことと思う。
全国各地の単協が、具体的な草の根の活動を行っていくことが大切であり、全国連は、そうした活動を支えるため、DXをフル活用し組織内に横展開するとともに、国民に発信していくことが仕事であると思う。
もう一つは、農協職員と我々役員の意識やベクトルを合わせることである。自己改革を通じ事業だけでなく活動も大切である。ということは何となく分かってくれてはいるが、事業推進が忙しいのに、更に活動や運動も行わなければならない現実で疲弊感が募っている。これが若い職員の離職率の増加の一因になっているのではと思う。改革期の今だからこそ、「農協がどちらに向かっているか分からない」と悩んでいる職員と丁寧に向き合うことが役員の大事な仕事である。「事業と活動は車の両輪だから両方大切だ」と使ってきたが、事業と活動は別物ではなく、事業そのものが活動であったはずである。そう理解すれば、農協にとって、事業と地域活動も欠くことが出来ないものとなる。あとは役員が、仕事の優先順位をつけ、確実に実行していく。JAグループの役職員のベクトルを合わせれば、農協の未来は明るいと思う。
皆さんはどう考えられるだろうか。
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