JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは56【今さら聞けない営農情報】第175回2022年11月12日
2015年に国連で採択されたSDGsに取り組む企業が増えていますが、それにならび「ESG」と呼ばれる取り組みを行う企業が増えています。
企業の活動には、SDGsの他にCSR(Corporate Social Responsibility ,企業の社会的責任)が良く知られていますが、今回は一体ESGとは何で、SDGsやCSRと何が違うのかをご紹介します。
「ESG」とは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)を組み合わせた言葉で、人間社会では気候変動や人権問題など数多くの課題がある中で、企業には、環境・社会・ガバナンスの3つの視点を持って課題解決に向けた取り組みを行うべきという考えが示されております。これは、2006年に国連事務総長コフィー・アナン氏(当時)が提唱したもので、投資判断の新たな観点として紹介されています。つまり、これから伸びていくであろう企業=投資に値する企業は、ESGにきっちりと取り組んでいる企業であるとの考え方で、実際に東証一部のプライム市場などではESGに取り組むことが条件になっています。
具体的な活動内容は、Environment(環境)は、二酸化炭素排出量の削減、再生エネルギーの使用 など環境問題解決に向けた課題に取り組むこと、Social(社会)は、職場環境における男女平等や人種や宗教、性別を超えた平等な採用・評価をするいわゆる「ダイバーシティ」の実現 などに取り組むこと、Governance(ガバナンス)には、情報開示や法令順守 に取り組むことです。
では、なぜESGに取り組む企業が増えているのでしょうか?
2016年に国連が「責任投資原則(PRI)」を提唱し、投資する企業を判断する際、ESGの観点を新たに紹介したことをきっかけに、ESGの取り組みを考慮して投資の判断を決める投資家が増えたためです。このため、企業側は投資家にできるだけ高い評価を得ようと、ESGの取り組みを強化するようになりました。
そういった意味では、従来のCSRと似ていますが、CSRが全般的な社会貢献に向けた取り組みをアピールするのに対し、ESGについては、環境、社会、ガバナンスの3点に関する取り組みをアピールすることになり、どちらも企業・団体における取組を指します。これらに対し、SDGsは全全世界で目指す目標であり、人類共通で目指すものであることに違いがあります。
整理すると、SDGsは持続的な農業の発展のために農業界共通で取り組むべきものであり、ESGは、農業関連企業が自身の経営に取り込んで自身の企業価値を高めるためのものといえます。
♢ ♢
本コラムに関連して、ご質問や取り上げてほしいテーマなどがございましたら、お問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)よりご連絡ください。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日