JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは58【今さら聞けない営農情報】第177回2022年11月26日
最近、登録作物の削除や使用方法の変更など、農薬の登録内容の変更や農薬そのものの登録が失効されることが増えてきています。これは、平成30年12月に施行された改正農薬取締法で定められ、全ての農薬について有効成分ごとにそれを含む農薬を定期的(概ね15年ごと)に最新の科学的知見に基づき安全性等の再評価を行う仕組みが導入されたことが要因のようです。
この仕組み(以下、再評価制度)により、現在農薬登録を取得している全ての農薬は、定期的に、通常の農薬登録に必要な試験項目に加え、新たに追加された農薬使用者暴露評価や鳥類・ミツバチ等の暴露量評価等の全てのデータを最新のものに更新し、再度農薬登録のための審査を受けなければならなくなりました。
再評価制度の対象となる農薬と資料の提出期限は、再評価される年度の2年度前に官報にて告示され、その期限までに必要なすべての資料を提出しなければなりません。そして、再申請(資料の提出)から再度の農薬登録までの期間は、1つの有効成分あたり2年から2年半といわれており、再審査が開始された有効成分は、再審査の期間中、一切の適用拡大や登録変更が認められなくなります。例えば、新たに問題害虫が発生し、それにはある有効成分が有効だとわかったという場合でも、その有効成分が再審査期間中であれば、新たな害虫への適用拡大はできず、再審査に入る直前の登録内容を超えて使用することはできません。
再評価制度の評価項目は、通常の農薬登録に必要なもの「物理化学性、毒性、残留、環境動態、環境毒性、薬効薬害等」に加え、新たに追加された項目「農薬使用者暴露評価や鳥類・ミツバチ等の暴露量評価等」の多岐に渡る項目が必要であり、いわば15年毎に新たな有効成分として安全性等の評価を受けるようなものです。
再評価対象農薬の審査の順番は、影響度の大きいものから優先度を国が定めて告示します。
優先度については次のような基準で選定され、優先度Aの農薬が「我が国で多く使われているもの」や「 殺虫剤の場合に生産量が年あたり概ね 20トン~30トン以上のもの」、「除草剤、殺菌剤の場合、生産量が年あたり概ね50トン 以上のもの」で126成分あります。
優先度Bの農薬成分が「毒性の懸念があるもの」、「国内ないし海外で設定されている ADI やARfDが低いもの」、「神経毒性、発がん性、遺伝毒性、免疫毒性、使用時の安全性、環境中への残留性、有用生物への影響等が懸念されるもの」で57成分あります。
続いて優先度C1が優先度A,B,C2,Dに当てはまらないすべての有効成分で157成分、優先度C2が農薬登録時期の比較的新しいもの(2006 年以降に評価・登録されているもの)で69成分、優先度Dが生物農薬や食品添加物等、人畜や環境への安全性が高いと評価されているものが171成分の合計580成分が再評価されていくことになります。
次回、この再評価制度がどのように農業現場に影響していくのか検証してみたいと思います。
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