JAの活動:農協時論
【農協時論】改革「道半ば」 農と地域の発展を三方よしの精神で 大林 茂松・JAグリーン近江組合長2023年2月10日
「農協時論」は新たな社会と日本農業を切り拓いていくため「いま何を考えなければならないのか」を、生産現場で働く方々や農協のトップの皆様に胸の内に滾る熱い想いを書いてもらっている。今回は滋賀県のJAグリーン近江代表理事組合長の大林茂松氏に寄稿してもらった。
平成26年12月、ここがわがJA自己改革のスタートであった。
当時、組合員や地域の方々等からなるふれあい委員の真剣な組織討議の結果①営農・経済をもっと強化してほしい②暮らしに役立つ情報をもっと提供してほしい③JAグリーン近江独自の取り組みをしてほしい④組合員との関係を強化してほしい⑤地域とのつながりをもっと大事にしてほしい――の5項目が組合員の求める改革課題として上がり、以降この課題解決に向けての自己改革が始まった。
それから8年の歳月が流れまだまだ改革の真っただ中ではあるが、ここで我がJAの自己改革の足跡を振り返ってみることとする。
この8年間は「農業と地域社会のために全力を尽くす」ことを内外に宣言し、組合員と共に一生懸命に取り組んできた。
コロナやウクライナ情勢等の環境変化における諸事情はあるものの、米以外の作物への転換や販売戦略による販路拡大、肥料・農薬等の銘柄統一などによるコスト低減、女性部や青年部活動の拡大、組合員とのつながりの強化や対話など、概ね順調に推移してきているが、ただ一つ「地域とのつながりをもっと大事にしてほしい」については、本来のJA運営の中で当然できているという認識で組合員や地域の利用者の皆さんには十分理解してもらっているものだと思っていたが、課題として提起されたことに驚き、この声にどうやって応えて行けばいいのか戸惑い、大いに悩んだことを鮮明に記憶している。
来年には合併して30年の節目を迎えるが、合併を機に職能協同組合から地域協同組合へと大きく舵を切りながら農業とは切っても切れない関係である地域社会をも巻き込んでの運営に努めてきたつもりであった。しかしそれはあくまでも「つもり」であり自己満足であった。
以後、JAの考え方として、農業を営む上においては当然農地が必要であり、農業は農地の上で営まれるものである。また、農地は移動が不可能で、工場や事務所、店舗のように経営がダメであれば解体して撤退するとか、売り上げが悪ければ移転するとかはできないので、「農業を営むには農地の存在する地域との調和が絶対的に不可欠なものである」ことを言い続けながら、JAは農業と地域社会の両方に貢献し、農業の発展と地域社会の発展に貢献することを目指して行動してきた。
まだ道半ばではあるが、このことこそが農業協同組合の本筋である。
ここで特に重要なのが役職員のかかわりであり、人づくりである。
第29回JA全国大会でも明示された「協同組合らしい人づくり」を行うためにグリーン近江ではJAの役職員として経営理念を実現するための活動として、「グリーンウェイ」(経営理念を実現するための役職員の行動指針)を定めた。そしてまず役職員が価値観を合わせ、とるべき行動や考え方を共有し、目指すべき方向性を明確にして役職員それぞれが認識してそれに向けて役職員が一丸となって取り組む。それが組合員・利用者から評価され喜ばれ褒められると、役職員も働き甲斐や生き甲斐を感じることとなり職場の活性化につながる。そうすれば、職場環境もますます改善され、JAもよりよい方向に進み、そして同時に役職員も人として社会人として成長し組織や地域社会に役立つ人材へと育ち、最終的に経営理念の実現も可能になると考えて実践している。
近江商人の活動理念にちなんで「農業よし、組合員よし、地域社会よし」の三方よしを目指してこそ持続可能な農業や地域社会の発展が実現できると考える。
これからも地域農業の発展と安心して暮らせる豊かな地域社会実現に向けて頑張る。
重要な記事
最新の記事
-
地域複合農業戦略に挑む(2)JA秋田中央会会長 小松忠彦氏【未来視座 JAトップインタビュー】2024年4月19日
-
【注意報】さとうきびにメイチュウ類 伊是名島で発生多発のおそれ 沖縄県2024年4月19日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:JA水戸 那珂川低温倉庫(茨城県) 温湿度・穀温 適正化徹底2024年4月19日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ対策を万全に 農業倉庫基金理事長 長瀬仁人氏2024年4月19日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第97回2024年4月19日
-
(380)震災時は5歳【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年4月19日
-
【JA人事】JA道北なよろ(北海道)村上清組合長を再任(4月12日)2024年4月19日
-
地拵え作業を遠隔操作「ラジコン式地拵機」レンタル開始 アクティオ2024年4月19日
-
協同組合のアイデンティティ 再確認 日本文化厚生連24年度事業計画2024年4月19日
-
料理酒「CS-4T」に含まれる成分が代替肉など食品の不快臭を改善 特許取得 白鶴酒造2024年4月19日
-
やきいもの聖地・らぽっぽファームで「GWやきいも工場祭2024」開催2024年4月19日
-
『ニッポンエール』グミシリーズから「広島県産世羅なしグミ」新発売 JA全農2024年4月19日
-
「パルシステムでんき」新規受付を再開 市場の影響を受けにくい再エネ調達力を強化2024年4月19日
-
養分欠乏下で高い生産性 陸稲品種 マダガスカルで「Mavitrika」開発 国際農研2024年4月19日
-
福島県産ブランド豚「麓山高原豚」使用『喜多方ラーメンバーガー』新発売 JAタウン2024年4月19日
-
微生物農業資材を用いた大阪産の減肥料栽培で共同研究開始 ナガセケムテックス2024年4月19日
-
栃木県真岡市産バナナ「とちおとこ」使用「バターのいとこ」那須エリア限定で新発売2024年4月19日
-
大阪泉州特産「水なす」農家直送で提供開始「北海道海鮮にほんいち」2024年4月19日
-
産業用ドローン世界市場 2023年は1兆4124億円に成長予測 矢野経済研究所2024年4月19日
-
バラ酵母使用「一ノ蔵 純米吟醸 プリンセス・ミチコ」数量限定発売 一ノ蔵2024年4月19日