JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは83 有機質資材を活用した施肥㉑【今さら聞けない営農情報】第202回2023年6月3日
みどりの食料システム法が施行され、国内の肥料資源(特に有機質資材)を活用した施肥の重要度が増しています。本稿では、堆肥、汚泥肥料、食品残渣、有機質肥料、緑肥作物といった有機質資材を有効活用するために必要な知識として、「有機質資材が持つ作物の健全な生育に役立つ効能」を前回までにご紹介しました。
今回から、これらの効能を持つ有機質資材を正しく使用してもらうためにその特性をご紹介していきたいと思います。
具体的な品目紹介に入る前に、有機質資材に関する基本的なことをおさらいします。
国内で賄える有機質資材の多くは、食品残渣や汚泥など他の産業等の廃棄物を2次的に利用するものです。これらは、様々な性状を持っていますが、肥料や土壌改良資材として利用するためにはいくつかの条件をクリアしたものでなければなりません。
1つ目が何より土壌や作物にとって有益であることです。そもそも肥料的効果や土壌改良効果が無ければ施用する意味がありませんので、まずは施用することが作物にとって有益かどうかを確認する必要があります。その有益な点とは、作物へ養分を供給できることはもちろん、土壌の物理性や化学性を改善する能力があること、土壌中の微生物バランスを保ち生物性を活性化できることです。
2つ目が取り扱いやすい性状であることです。特に水分が多いものは、重くて施用しづらい上に、腐敗による腐敗臭を発生しやすく保管もしづらいため、含水量が適度なものである必要があります。また、糞尿の再利用の場合は、人に悪影響を及ぼす食中毒菌や寄生虫卵を含まないことも必要な条件になります。
3つ目が土壌や作物にとって安全であることです。まず、資材自体に、病原菌や害虫、雑草の種子、重金属などの有害物質といった作物の健全な生育を阻害するものを含まないことが最低条件です。外来雑草などは、輸入飼料に混入していた種子が家畜糞堆肥を経由して日本の国土に繁殖するようになったものが多いので注意が必要です。また、有害微生物ではなくても、土壌施用後に急激に増殖して、土中の窒素を消費するような微生物が資材に入っていれば、施用後に窒素飢餓を起こす恐れがありますのでこれも注意が必要です。加えて、施用後に急激に分解して作物の生育に有害な物質に変化する恐れがあるものも避けなければなりません。
このように有機質であれば何でもかんでも施用してよいわけではなく、あらかじめ有機質資材の原料や素性をよく確認する必要があります。
◇ ◇
本コラムに関連して、ご質問や取り上げてほしいテーマなどがございましたら、コラム・シリーズ名を添えてお問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)よりご連絡ください。
重要な記事
最新の記事
-
【年頭あいさつ 2026】食料安全保障の確立に全力 鈴木憲和農林水産大臣2026年1月1日 -
シンとんぼ(174)食料・農業・農村基本計画(16)食料自給率その他の食料安全保障の確保に関する目標2025年12月27日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(91)ビスグアニジン【防除学習帖】第330回2025年12月27日 -
農薬の正しい使い方(64)生化学的選択性【今さら聞けない営農情報】第330回2025年12月27日 -
世界が認めたイタリア料理【イタリア通信】2025年12月27日 -
【特殊報】キュウリ黒点根腐病 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【特殊報】ウメ、モモ、スモモにモモヒメヨコバイ 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【注意報】トマト黄化葉巻病 冬春トマト栽培地域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
【注意報】イチゴにハダニ類 県内全域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
バイオマス発電使った大型植物工場行き詰まり 株式会社サラが民事再生 膨れるコスト、資金調達に課題2025年12月26日 -
農業予算250億円増 2兆2956億円 構造転換予算は倍増2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(1)2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(2)2025年12月26日 -
米卸「鳥取県食」に特別清算命令 競争激化に米価が追い打ち 負債6.5億円2025年12月26日 -
(467)戦略:テロワール化が全てではない...【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月26日 -
【スマート農業の風】(21)スマート農業を家族経営に生かす2025年12月26日 -
JAなめがたしおさい・バイウィルと連携協定を締結 JA三井リース2025年12月26日 -
「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業」採択 高野冷凍・工場の省エネ対策を支援 JA三井リース2025年12月26日 -
日本の農畜水産物を世界へ 投資先の輸出企業を紹介 アグリビジネス投資育成2025年12月26日 -
石垣島で「生産」と「消費」から窒素負荷を見える化 国際農研×農研機構2025年12月26日


































