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JAの活動:未来視座 JAトップインタビュー

深い愛を持ち 真を貫く JA鳥取県中央会会長 栗原隆政氏【未来視座 JAトップインタビュー】2023年11月30日

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「組合員に一人の人間として育てられた」と振り返る栗原隆政JA鳥取県中央会会長は、農業者の所得増大に向けてスイカ・梨・畜産などを軸に産地パワーアップに力を入れ、農業振興をリードしてきた。「食料安保」に国民の関心が高まっている今、生産者の苦労や喜びをみんなで共有する努力が大事だと強調する。

組合員とともにトップ品目育成

大金 お会いするのを楽しみにしていました。農家の長男として後を継げと言われていたのですか。

栗原 親は後継ぎを期待していたのでしょうが、私は内心、会社勤めに出たかった(笑)。農業するなら農業高校ですけれど、自分でいうのも何ですが「出来」が良くて進学校に入った(笑)。だけど親は、私の性格をよく知っているものだから......。

大金 どんな性格ですか。

栗原 おとなしいし、事務系に向いている。大学では税務を勉強して税理士になっては、というのが親の考えでした。

大金 生家の農業は。

JA鳥取県中央会会長<(一社) 家の光協会会長> 栗原隆政氏JA鳥取県中央会会長
(一社) 家の光協会会長
栗原隆政氏

栗原 水稲2haほどで、梨もとり入れていました。品種は「二十世紀」です。梨のおかげで大学に行かせてもらえた。高校時代から打ち込んだバドミントンを続けたかったこともあり、地元の鳥取大学農学部に進みました。競技人口もまだ少なく、優勝が狙いやすかった(笑)。インターカレッジや国体に出場し、授業は休みがち。それでも「要領」と「集中力」で卒業しました。今も「集中力」で仕事をしています(笑)。だんだん落ちてきましたけど。

在学中に倉吉市農協から話があり、親も「地元の農協なら」と入組を認めてくれました。当時は大卒職員が少なかった。同級生は県庁に入ったりしていましたので、「負けないぞ!」と仕事に打ち込み、親の期待した土日の農作業の手伝いができなくなりました。JAの仕事に専念させてくれた親には感謝しています。

JAでは営農関連一筋です。営農指導員として生産・販売事業に熱中しました。どんなに朝早く電話があっても対応し、「分からないことは分からない」と正直に伝え、後から必ず電話で返事をしました。組合員の「信頼」を裏切らないように励みました。

大金 組合員に「一人の人間として育てられた」と語っておられる。

栗原 おとなしい性格なので、母親は営農指導員が務まるか心配していました。組合員からは叱られたり、酒を飲みながら喧嘩をしたり。本心でぶつかり合うから、仲良くなれる。曲がったことや自分にうそをつくことが嫌いなのです。周囲からはブレーキをかけられることもありますが、間違っとることをいいとはよう言わん。(笑)

農家所得をいの一番に

大金 2017年にJA鳥取中央の組合長になられ、産地(果樹・園芸・畜産)のパワーアップに道を開きます。

栗原 「農業協同組合」ですから、「農業者の所得増大」が「いの一番」です。そのためのブランド作りに挑戦しました。1年たって「情報発信」の定例会見と組合員との「対話」強化に取り組みました。組合員が飲んで言うのはJAの悪口。だから私も、入組するまではJAにあまり良い印象がなかった。ところが中に入ってみたら、組合員のために役職員が一所懸命なのです。その姿を伝えたいと考えました。

「率先垂範タイプ」(笑)なので、さっそく「中部農業みらい宣言」と銘打って定例会見に踏み切りました。ケーブルテレビで中継してもらい、チャートをフルに活用し、分かりやすく伝えてきました。中央会でも年4回は会見を設けようと、経費の捻出やSNSの活用を検討中です。

キャッチフレーズを「食のみやこ鳥取県」から「食パラダイス鳥取県」に変え、高品質の生産も重要ですが情報発信で農畜産物の真価を伝え、高い評価をいただきたい。

大金 2016年に発生した鳥取中部地震の時は、JAの専務でしたね。

栗原 ええ。震度6弱でしたから大変でした。本所前に「青空対策本部」を立ち上げ、JA共済金総額85億円を速やかに支払い、結集力が強まりました。「いざという時はJAだ」と。翌年も2回の大雪に見舞われ、ハウスが倒壊。でも、その年から販売事業が好転しました。政府の「地方創生」に呼応して「JA版地方創生総合戦略」(2016~20年)を立ち上げ、四つの重点品目を掲げてチャレンジしました。省力でおいしい「新甘泉」(梨)、イチゴの団地化、スイカの低コストハウス、和牛繁殖牛の4品目です。さらに「シン・地方創生総合戦略」では、「二十世紀」(梨)・ブロッコリー・「星空舞」(米)・和子牛などに力を注いでいます。

バドミントンも山の「高さ」も同じですが、やはり1番と2番では全く違う(笑)。中国一の霊峰が大山だと誰もが知っているが、2番目に高い山は知らない。JA鳥取中央のスイカは大きな飛躍を遂げています。

頂上めざし一所懸命に

文芸アナリスト 大金義昭氏文芸アナリスト 大金義昭氏

大金 19品目で販売単価が過去最高を記録したのは「総合戦略」の成果ですか。

栗原 営農指導員としての経験から、1円でも高く売ることが肝心で、高く売れた年はやっぱり手取りが多く残る。組合長就任以来、過去最高になった品目・品種の数を追いかけてきました。特に果実は毎年単価を更新。面積の全国的な減少や異常気象の影響があるにせよ達成してきました。コロナ禍でも、すぐに生産部長を中心に対策会議を開いて乗り越え、今年も良く売れてスイカも過去最高単価です。スイカは新規就農者が増える一番の品目です。

大金 第11回宮城全共で和牛日本一を獲得したのも「優勝せにゃいかん」と。

栗原 ですね(笑)。2017年に肉質日本一の評価をいただきました。量は少ないのですが、乾燥シイタケも日本一になりました。大雪でハウスが倒壊した災害を乗り越えての受賞でした。何事も一所懸命になれば新しい発想も勇気も湧き、やれば出来る。それが出来ないというのは真剣さが足りない。(笑)

大金 バドミントンに通じますか。(笑)

栗原 と思いますね(笑)。自分もヘトヘトになるけど、相手もヘトヘト。そこで相手をどう攻略し、勝ち抜けるか。スポーツと歌の好きな人に、悪い人はいません。(笑)

大金 歌は「演歌」ですか。(笑)

栗原 女性演歌です(笑)。大月みやことか香西かおりとか。営農指導員時代には、生産部会の懇親会などでよく歌わされました。

大金 JAには男女を問わず歌のうまい人が多い。評判は。(笑)

栗原 ご想像にお任せします。(笑)

大金 2018年のJA鳥取中央の合併20周年には「農業愛・人間愛・中央愛」を宣言された。真ん中に「人間愛」があります。

栗原 職員の働き方を振り返ると、私たちの若い頃はめちゃくちゃでした。土日もないし、昼夜もなかった。時代が変わり、組合員を大切にしなければいかんけれども、職員も大事にしなければという発想から盛り込みました。経営理念は難しくなりがちなので、分かりやすくと考えました。

大金 「組合員満足」と「職員満足」の両立ということですか。

「喜ばれて」満足度向上

栗原 一般企業では「職員=従業員満足」(ES)があって「顧客満足」(CS)もあると唱える人が多いけれど、私の経験からは「CSあってのES」すなわち「組合員満足」あっての「職員満足」ではないか。

給料は高い方がいい。しかし、それだけでは「今だけ・カネだけ・自分だけ」になる。困難があっても、せにゃいかんときはしなければならない。仕事を通じて組合員に喜んでもらえてこそ「職員満足」も生まれます。

大金 「初めに組合員ありき」ですね。

栗原 組合員のために仕事や役職をいただいている。これは二宮尊徳の「報徳精神」や「経済・道徳一元」にも通じます。

情報を常に発信 「百万一心」追求

大金 報徳思想にはいつ出会いましたか。

栗原 管理職になった頃です。「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」という教えは、実に深いと思いました。JAの事業も「赤字でいい」というわけにはいきません。支所の統廃合やAコープの廃止なども、そうした考え方を基本に苦渋の決断をしてきました。

いずれも地域社会に深く関わる問題ですが、JAの経営が盤石でなければ、営農振興サービスもできない。情報を常に発信し、ご意見をいただきながらやってきました。生協の協力もいただき、行政にも支援を依頼しました。鳥取県知事は何かにつけ、すぐに動いてくれます。

大金 栗原さんの姿勢に重なる。

栗原 知事ほどではありませんけれど、現場で問題が発生したらすぐに対応する。問題から逃げても、かえって追い詰められるだけですから。間違ったことが見過ごせないたちもあり、職員には厳しく向き合ってきました。ただ、叱りっぱなしはいけない。ほめることも必要だな、と感じています。毛利元就の「百万一心」(皆が心を一つにすればやれないことはない)をモットーに、率先して「善因善果」を心掛けてきました。しかし、言葉だけでは難しい。「人間愛」を中心に、ピンチにみんなで立ち向かい、一つになる。今はそういう時代ですね。

大金 この際、何か付け加えることは。

栗原 「安全保障」というなら真っ先に「食」ですね。国民理解の醸成には「土づくり」同様に時間がかかる。JAグループが一丸となり、生産者の苦労や喜びを発信し、多くの人びとに「我が事」として共有していただく努力が大切だと思っています。

【インタビューを終えて】
志賀直哉の小説『暗夜行路』に、伯耆大山が朝日を背にして「中の海」に影を曳(ひ)く感動的な場面がある。中国地方随一の霊峰はどこから遠望しても「ああ、山とはこういう姿なのか!」と感銘する。
1953年生まれの栗原さんの話に耳を傾けながら、しきりにその山容が思い浮かんだ。物静かだが、いちずで「信念の人」という印象からかもしれない。
農畜産物のブランド化に全精力を傾注し、輝く成果を「見える化」して組合員の生産意欲を鼓舞してきた揺るぎのないリーダーシップとマネジメントが、大山の秀峰に重なって見えた。いちどカラオケの〝絶唱〟を聞いてみたい気がする。(大金)

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