JAの活動:今さら聞けない営農情報
土壌診断の基礎知識(4)【今さら聞けない営農情報】第234回2024年1月27日
みどりの食料システム法の施行によって国内資源を活用した持続型農業への転換が求められ、国内資源の有効活用に期待が高まっています。作物が元気に育つためには、光、温度、水、空気に加え、生育に必要な栄養素を土壌から吸収しますが、作物が健全に生育するには土壌の健康状態を正確に把握することが必要で、そのために土壌診断があります。
土壌診断を実施して土壌の状態を知り、正しい処方箋を提示するためには、それ相応の知識が必要になります。このため、本稿では土壌診断の基礎知識をご紹介し、正しい土壌診断の一助にしたいと考えています。
前回までに、土壌のpHを作物の生育に適したものに調整してあげることが重要なことをご紹介しました。作物は、生育するために必要な栄養をイオンの形で吸収しているので、土壌中の栄養をイオンの状態にしておく必要があり、その栄養をイオンとして存在させるためにpHが重要でした。
そもそも何故そのようなことが起こるのでしょうか?
そのことを理解するには、土壌とは何かを理解しておく必要がありますので、pHの矯正の仕方に入る前に少し土壌のお話をご紹介します。
土壌とは、岩石の風化と微生物や植物といった生命活動によって長い時間をかけてつくり出されました。岩石は、大気や雨水、熱などの影響を受けて砕かれ、その際に岩石の中に入っている成分が水などに溶けだします。それを利用する微生物が砕かれた岩石表面に住み着いて、微生物を餌とするコケ類などの微小な植物やダニなどの小動物も出現し、その過程で岩石は細かく壊れていき、細土や粘土になっていきます。また、微生物や小動物の死骸は有機物として堆積していきます。このように、岩石の崩壊と微生物たちの生態系が循環する中で、粘土や有機物を含む土壌が作りだされていきます。
土壌の粒の大きさは直径2mm以下とされており、その粒の大きさによって、れき、砂、シルト、粘土といった段階に分けられ、それらの構成割合によって土壌の性質が決まります。このうち、粘土や有機物は2μm以下の微粒子として存在しており、そのほとんどはマイナスの電荷を帯びています。これに対し、窒素(アンモニウムイオン)やカリウム、マグネシウムなど作物が吸収する養分の多くは陽イオンであるため、土壌の陰イオンに引き寄せられてとどまります。これが、土壌の養分保持力の正体であり、その大小は、土壌の種類によって異なります。次回、土壌の種類についてご紹介します。
◇ ◇
本コラムに関連して、ご質問や取り上げてほしいテーマなどがございましたら、コラム・シリーズ名を添えてお問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)よりご連絡ください。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(159)-食料・農業・農村基本計画(1)-2025年9月13日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(76)【防除学習帖】第315回2025年9月13日
-
農薬の正しい使い方(49)【今さら聞けない営農情報】第315回2025年9月13日
-
【人事異動】JA全中(10月1日付)2025年9月12日
-
【注意報】野菜類、花き類、豆類にハスモンヨトウ 県内全域で多発のおそれ 兵庫県2025年9月12日
-
【注意報】果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2025年9月12日
-
【石破退陣に思う】農政も思い切りやってほしかった 立憲民主党農林漁業再生本部顧問・篠原孝衆議院議員2025年9月12日
-
【石破首相退陣に思う】破られた新しい政治への期待 国民民主党 舟山康江参議院議員2025年9月12日
-
【石破退陣に思う】農政でも「らしさ」出しきれず 衆議院農水委員会委員・やはた愛衆議院議員(れいわ新選組)2025年9月12日
-
ドローン映像解析とロボットトラクタで実証実験 労働時間削減と効率化を確認 JA帯広かわにし2025年9月12日
-
スマート農業の実践と課題を共有 音更町で研修会に150名参加2025年9月12日
-
【地域を診る】個性を生かした地域づくり 長野県栄村・高橋彦芳元村長の実践から学ぶ 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年9月12日
-
(452)「決定疲れ」の中での選択【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年9月12日
-
秋の味覚「やまが和栗」出荷開始 JA鹿本2025年9月12日
-
「令和7年台風第15号」農業経営収入保険の支払い期限を延長 NOSAI全国連2025年9月12日
-
成長軌道の豆乳市場「豆乳の日」前に説明会を実施 日本豆乳協会2025年9月12日
-
スマート農園を社会実装「品川ソーシャルイノベーションアクセラレーター」に採択 OYASAI2025年9月12日
-
ご当地チューハイ「寶CRAFT」<大阪泉北レモン>新発売 宝酒造2025年9月12日
-
「卵フェスin池袋2025」食べ放題チケット最終販売開始 日本たまごかけごはん研究所2025年9月12日
-
「日本酒イベントカレンダー 2025年9月版」発表 日本酒造組合中央会2025年9月12日