JAの活動:今さら聞けない営農情報
土壌診断の基礎知識(24)【今さら聞けない営農情報】第254回2024年6月15日
みどりの食料システム法の施行によって国内資源を活用した持続型農業への転換が求められ、国内資源の有効活用に期待が高まっています。作物が元気に育つためには、光、温度、水、空気に加え、生育に必要な栄養素を土壌から吸収しますが、作物が健全に生育するには土壌の健康状態を正確に把握することが必要で、そのために土壌診断があります。現在、本稿では土壌診断を実施して土壌の状態を知り、正しい処方箋をつくるために必要な土壌診断の基礎知識を紹介しています。
前回から施肥量の決め方の基礎知識をご紹介しています。
今回は、施用量の算出方法です。施用量を決めるには、いくつかの要因を確認する必要があります。
それは、①目標収量、②生産するのに必要な養分量、③天然供給量、④土壌診断結果、⑤肥料の利用率、⑥施肥に使用する肥料銘柄の肥料成分含有量といったものです。具体的な施肥量の算出の前に、これらの施肥量を決めるための要因がどういうものか把握しておきたいと思います。
まず、①目標収量ですが、どの位の収量を得たいのかを考えて決定します。目標収量は品種によって異なりますので、作付けする品種が何かによって変化します。例えば、水稲であればコシヒカリが540kg/10aが目標収量となりますが、多収性品種であれば700~800kg/10aが目標収量となります。
次に②生産するのに必要な養分量ですが、単位収量100kgを生産するのに必要な養分量を試験によって得られたデータをもとに決められています。その数値の求め方は、まず、作物の体に含まれる養分がどのくらいの割合で含まれているかを調べます。稲でいえば、その作物体は玄米、もみ殻、わらに分けられますが、それぞれの部位別に肥料要素の含有割合を調べ、それぞれの部位の単位収量ごとの肥料要素含有量を算出して全ての部位の合計を算出します。つまり、単位収量の作物体全体に含まれる肥料要素量がその作物を生産するために必要な養分量となります。水稲であれば、玄米100kgを生産するために必要な養分量は、窒素(N)が2.4kg、リン酸(P2O5)が0.9kg、カリ(K2O)が2kg程度といわれています。次回に③天然供給量を紹介します。(つづく)
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