JAの活動:今さら聞けない営農情報
農薬の正しい使い方(8)【今さら聞けない営農情報】第274回2024年11月16日
「いまさら」では農薬を正しく、安全に、しかも高い効果を得るため、農薬の正しい使い方の基礎知識をご紹介しています。まずは、農薬を正しく使うための第一歩である農薬の製剤に関する基礎知識をご紹介しています。
農薬を正しく使用するためには、これら剤型の性格をきちんと把握しておく必要があります。なぜなら、剤型によって作物への付着具合が異なり、有効成分の作物への付着具合が農薬の効果に大きく影響するからです。現在、その剤型ごとにその特徴と正しい使用方法、使用上の注意事項を紹介しています。
前回から製剤をそのまま散布する製剤をご紹介しており、今回はその2つめの粒剤です。
2.粒剤(略記号:G)
この製剤は、有効成分と粘土鉱物質(キャリア)を混合して均一に練り込んで造粒したものや、粒状にしたキャリアや粒砂などに有効成分を付着させて造るものがあります。その製造方法は、有効成分の性質に大きく影響を受け、有効成分の性能を最大限活かすための工夫が製品それぞれの製剤に詰まっています。多くのものが粒径0.3~1.7mm程度の粒状の製剤であり、製剤をそのまま土壌表面や植付穴や植溝へ散布して土壌に均一に混和して使用することが多いです。有効成分の特性によっては、作物の上からパラパラと粒剤を単位面積あたりの必要量を散布(トップドレッシングと呼ばれる散布法)するだけで効果を示すものもあります。用途としては、水田に散布する除草剤や殺菌剤が多く、殺虫剤では植穴に処理するものや、植付前にほ場全体に均一混和するものなどがあります。
前述しましたが、粒剤の施用方法は、有効成分の性能と密接な関係があり、有効成分に浸透移行性という作物の根から吸われて作物全体に行き渡る性能を持っている場合は、作物の根圏に処理してやることで作物の体全体を保護することができるので、簡便な処理で効果が大きい処理方法です。殺虫剤の野菜苗の植穴や株元に散布して使用例が多くあります。土壌線虫を防除する粒剤などは、線虫が薬剤に接触してはじめて効果を発揮しますので、できるだけ土壌中に均一に分散させて線虫が粒剤に接触する確率を高めてやると効果が安定します。
また、水稲用除草剤の場合は、水田面に散布されら粒剤が水で崩壊して田面水を介して有効成分が周囲に拡散し、その後に有効成分が沈降して水田土壌表面に均一な処理層をつくって除草効果を発揮します。このため、処理する場合には、適度な水深が必要になります。
このように、それぞれの粒剤が十分な効果を発揮するためには、その特性にあった処理方法を確実に実施する必要がありますので、事前に使用上の注意をよく読んで正しく使用して下さい。
(つづく)
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