JAの活動:今さら聞けない営農情報
農薬の正しい使い方(18)【今さら聞けない営農情報】第284回2025年2月8日
「いまさら」では農薬を正しく、安全に、しかも高い効果を得るため、農薬の正しい使い方の基礎知識をご紹介しようと考え、まずは、農薬を正しく使うための第一歩である農薬の製剤に関する基礎知識をご紹介しています。
前回、製剤を使用者に安全かつ的確に使用してもらうために求められる性能を整理してみました。いかがでしたか? 何気に使用している製剤も色々な目的と意図があって作られていることがご理解いただけたと思います。
その製剤には、その製剤に適した使用方法があります。農薬取締法では、農薬製剤ごとに適用作物や対象病害虫草、それに加え10aあたりの使用量、希釈倍数、施用方法、収穫前使用日数、総使用回数などを定め、登録認可されています。
現行法では、在来天敵、重曹や食酢など一部の特定防除資材を除いて、国の農薬登録を取っていないものを防除目的で使用してはならないことになっています。また、農薬登録内容を遵守して使用することを農薬取締法で義務化されており、それに違反した場合、懲役や罰金刑も課せられる場合があります。
このため、農薬を散布する場合は、効果面もそうですが、圃場外への流出、いわゆるドリフトを起こさないように、製剤の特性に合わせて正しく使用する必要があります。
ここで何故ドリフトを発生させるといけないのか簡単に整理しておきましょう。
農薬には、これまでもご紹介しているように、それぞれに登録内容があり、使用できる作物が適用作物として決められています。この適用作物は農薬の使用者が遵守しなければならない項目であるため、登録されている作物以外に使用すると、「適用外使用」となって農薬取締法違反となります。
そこでドリフトですが、水で希釈する製剤や粉剤を散布するときに風が強かったりすると、薬液や粉体が圃場外に飛散して、隣接の作物に付着してしまうことがあります。もしこの時、飛散した農薬が隣接の作物に登録がないものであれば、適用外使用となってしまいます。加えて、登録がないということは、ポジティブリスト制度によって残留基準値が0.01ppmという厳しい値が採用されますので、飛散を受けた作物が残留基準値超過となって販売できなくなる可能性が高くなります。そうなると当然、農薬を飛散させて適用外の作物に付着させてしまった責任は散布者にあり、販売できなくなった農作物の補償をしなければならないことになってしまいます。
このように、農薬散布をする場合、飛散(ドリフト)によって適用外作物に農薬が付着することが無いように、農薬の散布時には周辺作物への十分な配慮が必要であり、特に様々な作物が植えられている混植地帯では、万が一ドリフトしても適用外とならないように複数の作物に登録のある農薬が選ばれる傾向があります。ただ、その場合も使用回数の問題が発生しますので、基本的にドリフトはさせないに越したことはないのです。
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