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JAの活動:未来視座 JAトップインタビュー

支え合い「協同の道」拓く JA愛知東組合長 海野文貴氏(2) 【未来視座 JAトップインタビュー】2025年12月5日

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中山間地域ならではの「強み」を生かした「オンリーワン戦略」を実践するJA愛知東の海野文貴組合長。職員時代から最前線で経営に携わってきた理念を聞いた。

集まり強くなる 新規就農が力に

JA愛知東組合長 海野文貴氏JA愛知東組合長 海野文貴氏

「つくしんぼうの会」の荻野孝子会長は、「私たちの地域が日本の未来をちょっと先取りしているだけ。『生涯青春』で元気な過疎を目ざそう!」と言っています。「八名マルシェ」の加藤久美子代表は、Aコープ八名店の閉店を機に空き店舗を拠点にした地域に魂を入れる活動を始めています。朝市やイベントを開き、地域の人たちを巻き込み、盛り上がっている! 

女性の力はすごい! 農協を超えて女性のネットワークが広がっています。大阪・関西万博では人気パビリオンのイタリア館で、イタリアの協同組合組織の代表者とJAひだ「SUN・SUN会」、JCAの皆さん、そして加藤さんが国際協同組合年にちなみ、意見交換会を開催しています。自主・自立で地域を何とかしようとする皆さんの活動は、農協としても本当に誇らしい。

大金 地域農業戦略については?

海野 「人口減少」よりもさらに厳しいのが、農業者の減少ですが、JA愛知東は「オンリーワン戦略」です! 条件不利地域ですから「ニッチ」「隙間」で勝負する! 平場の大産地と同じことをしても仕方がない。狭い農地でどうやって高収益を上げ、生活していける農畜産物を作るか。夏秋トマト、イチゴ、ホウレンソウ、シイタケなど施設園芸を中心に、新規就農者を積極的に受け入れています。毎年10人くらいずつ就農していますが、皆さん熱心で優秀で、これからが楽しみです!

ここにきての悩みは、資材費の高騰です。これまで3000万円くらいで出来たハウスが6000万円もかかる。行政・公社・農協が一体となって、農地と住むところを確保し、補助金を使いながら、ハウスを建てて就農者に貸し出し、引き渡し後に建設資金を返済してもらう。これまでは15年くらいで返済できましたが、6000万円となると大変です! そこで高齢で離農した人のハウスを再利用するなどの方法も取り入れています。

大金 農協と地域には新規就農者を歓迎してきた歴史がある!

海野 若い方に就農していただくと地域の活力になります! 農業は「地場産業」ですから、そこに人が住み、生活をして雇用も生まれる。地域経済を農業の力で回すのが農協の役どころです。気象変化や自然災害も含め、農畜産物は質・量ともに作りづらく、対処が難しくなっており、これは日本だけでなく世界中に起きています。標高の高い中山間地域の方が夜温の冷える分、平地より生産しやすく、都市部より暮らしやすいと考える人も増えてくると思います。

私たちの地域は豊かな自然に恵まれ、山や海や街が身近にある。不利な条件の中から有利性を見出し、新規就農者の皆さんには果敢にチャレンジしていただくことに大きな期待を寄せています。

「衣食足りて礼節を知る」という言葉があるように、食べ物の問題は単に収量が多いとか少ないとか、価格が安いか高いかの問題に止まらず、人びとの心をも変えてしまう。社会の安定や平和にも影響を及ぼします。

中山間地域の農業も、日本の食料の4割程度を支えていると言われます。あってはならないのが「自国さえ、今さえ、金さえ、自分さえ」よければよいということです。求められるのは都市と農山村、消費者と生産者が共に支えあう「対等互恵」の協同心です。そこにこそ国際協同組合年のテーマがある。

文芸アナリスト・大金義昭氏文芸アナリスト・大金義昭氏

大金 農協で日ごろ大切にしていることは?

海野 「持続可能な農協」とは、どういうことなのか。河合勝正前組合長から「JAは集まって強くなる組織」と教えられました。日本には100年企業といわれる長寿企業が世界の4割もあり、もちろん世界一です。でも、国内では数パーセントにも満たないと聞いています。私は「持続可能」のヒントが日本の米を中心とした農耕文化と神宮にあると感じています。

私が「よりどころ」にしているのは「JA綱領」です。「自主・自立・参加・民主的運営・公正・連帯」などの理念で、なかでも「自主・自立」。自分の足で立ち、出来ることは自分たちでやる。もちろん地域や農業を守るために、行政をはじめ様々な機関・団体とも連携する。

私は協同を「協道」と唱えています。「協」は力をプラスすること、力を合わせる「道」です。絹糸の奉献を通じて伊勢神宮では、一日も欠かすことなく千年以上にわたり朝と夕の一日2回、決められた時間に食事が捧げられていることを知りました。日々繰り返される「道」なんですね!

剣道・柔道・弓道・茶道・書道など稽古事のすべてには、大切にしている理念を調えてから臨む「道」があります。その上での不断の自己改革。農協運動は特にそういうことが、大切のように思われます。JA綱領の結びに「協同の理念を学び実践を通じて、共に生きがいを追求しよう」とありますが、「生きがい」とは、日常生活の中に協同の考え方をどう取り入れるか、を言っているのではないか。

大金 協同の「道」を極める、「道」を求めるということですか!

海野 日々の変化の中で言葉通りにはなかなか極められませんが、困った時は組合員に聞き、JA綱領を物差しに歩んでいく。今では見られなくなりましたが、中山間地域の田植えでは、上の田から順に植えて水を通し、下の田まで植えれば効率がいい。それを「手間借り」と言って近所の人たちと助け合う。水を奪い合うこともありません。そのベースがあるからこそ、世界に冠たる協同組合の農協が今にある。農協は世界文化遺産であり、日本の「文化」だと思っています。

デジタル化や生成AIの進化により、人びとの生活や農業・農協事業などが劇的に変化する時代に、もちろん「知識」や「技術」も大切ですが、「世のため人のため」になる「人柄」が「協同の道」を極めていく基本的な価値になるのではないでしょうか。

【インタビューを終えて】

JA愛知東の管内には「長篠の戦い」の古戦場がある。織田・徳川連合軍が武田の騎馬軍団を撃破した古戦場の草刈りをしている地域の人びとに出会ったことがあった。下流域の人たちのために「奥三河の水と緑と食を守る」人たちの心意気の一端に触れた思いであった。

その海野さんから飛び出した「人柄」に価値を求め、「協同の道」を極めたいというメッセージが、時代を鋭くえぐっている。中山間地域こそ、この国の至宝である。その「お宝」を現代人が守らずに、この国の未来はない。(大金)

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