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JAの活動:日本農業の未来を創る元気なJA

【現地ルポ・JA福岡市】都市でJAの存在をどう発揮するか2013年1月9日

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・支店単位で行動計画を策定
・生産者組織の強化も重視
・市民の信頼を集める活動を
・組合員の親密度がJA事業の大きな支え

 都市化の進んだ地域で、どのような農業・JAの将来像を描くか―。100万都市福岡市をエリアとするJA福岡市は、信用・共済事業への傾斜を強めるJAが多いなかで、とくに「食と農」を基本に支店を軸とした組合員や利用者に限らず消費者をも巻き込んだ組織活動を展開、大都市におけるJAの進むべき道を示している。

「食と農」に特化した組織活動を展開


◆支店単位で行動計画を策定

JA福岡市の本店 同JAの正組合員は7000人(平成23年度末)で准組合員は2万6000人。典型的な都市型JAだ。耕地面積は下げ止まり傾向にあるものの、2000haとこの30年余りで半減した。
 だが、現在の32支店は合併時から変わらず、直売所などの新しい事業による販売額が伸び、職員数もこの5年間、毎年20人ほど増えている。(23年度末654人)。ここに支店を軸とした組織活動の成果をみることができる。
 組織活動のメインが、全支店で毎年策定する「支店行動計画」である。内容は食農教育・体験農業・青空市など食と農に関する活動を中心に道路の清掃などの地域貢献までさまざま。転作田を活用した市民農園や小学校と提携した味噌づくり、稲作体験などJAならではの地域活動のほか、支店の利用者懇談会の開催、営農相談体制の強化、職員の農業知識の向上など支店の運営や組合員の営農ニーズを反映した計画も含まれる。
支店行動計画の地域活動のひとつ年末の餅つき 計画は、支店長を中心に地区担当の理事、支店協力委員、青年部・女性部など各組織の代表が協議して策定。同JAの基本テーマ「食農教育の実践」に沿って、支店の独自性を生かした単年度と中期(3年)の計画があり、これを本店の総合企画室が必要な部署との調整、予算化などで管理。
 こうした支店の行動計画を本店の総合3カ年計画に織り込み、それを支店で実行する。この繰り返しが同JAの支店と本店、ボトムアップとトップダウンによる調和のとれた組織活動につながっている。支店行動計画は総会(総代会)に提案して協議し決定。また取り組みの経過は、4半期ごとに支店長が報告し、滞りのないよう徹底する。

(写真)
支店行動計画の地域活動のひとつ年末の餅つき


◆生産者組織の強化も重視

消費者と生産者を結ぶ「博多じょうもんさん市場」の売り場 JAにとっては、こうした支店の組織活動のほか組合員の組織である作目別部会の活動も欠かせない。管内の農地のほとんどは市街地だが、部員が数人のビワやえのき部会から、普通作や直売所利用部会の600人余りまでと大小さまざまな26もの作目別部会がある。「食と農」に特化し、福岡市の台所を目指すというJAにとって生産者組織の強化は重要である。このため営農、税務、法律、資産管理など、農業に関するあらゆる相談に応じる総合相談係を支店に配置した。
 一方、こうした農家の営農をJAの直売所である「博多じょうもんさん市場」(=写真右上)が支えている。直売所やインショップなどを含めて10店舗、年間売上高は約7億9000万円に達し、他の作目が伸び悩む中で販売額を押し上げている。博多の方言で「上等」を意味する「じょうもんさん」は同JAの農産物のブランド化のため、少量多品目の生産・販売へ事業改革した平成17年から取り組んでいるもので、これが今日の支店の営農活動とつながっている。
地元の製菓メーカーと連携して開発したイチゴ「あまおう」の菓子 また同じ「食と農」を基本とする方向の中で、大消費地の特性を生かし、行政や企業と提携した商品開発・6次産業化にも積極的である。人気のイチゴ「あまおう」を使った酒や菓子(=写真右下)、化粧品などを開発。とくにスキンケア化粧品は女性部員が使い心地を試しネーミング、容器などを決めた。女性部が組織活動として取り組んだ成果である。

(写真)
上:消費者と生産者を結ぶ「博多じょうもんさん市場」の売り場
下:地元の製菓メーカーと連携して開発したイチゴ「あまおう」の菓子


◆市民の信頼を集める活動を

大消費地ならではの賑わいをみせる「博多じょうもんさん」の収穫祭 このように農業の所得を高めると同時に大消費地である福岡市に将来とも安定して食料を供給するため農地2000haを維持する考えだ。このため不耕作地や営農のできなくなった高齢者の農地を管理する農業生産法人・JAファーム福岡を立ち上げた。貸農園やふれあい農園などに使い、市民や消費者との交流の場としても活用する計画である。
 こうした支店による組織活動が組合員や利用者、さらには市民の信頼を高め、JAの他の事業につながっている。同JAの64%という高い貯貸率もその成果であり、地域で集めたお金の多くを地域で運用している。いま次期3カ年計画を作成中だが、青?博専務は「シェア10%確保を打ち出したい。地域人口の10%の組合員化、あるいは貯金の10%確保などそれぞれ支店独自のテーマを選び、挑戦してほしい」と、支店における職員、組合員・利用者の一層の組織活動の広がりに期待する。

(写真)
大消費地ならではの賑わいをみせる「博多じょうもんさん」の収穫祭

 

組合員の親密度がJA事業の大きな支え
支店のプロデュース力を重視

インタビュー 倉光一雄・JA福岡市代表理事組合合長

toku1301091206.jpg 協同組合であるJAにとって支店における組織活動は欠かせません。これまでJA福岡市の基本姿勢として取り組んできていることです。とくに平成12年から取り組んでいる支店行動計画づくりは当JAが最も力を入れてきました。
 都市化が進むなかで、JAへの結集力を高めるには組織活動の活性化が必要だと考え、16年にJA内に中堅職員によるプロジェクトチームをつくりました。そこで支店行動計画づくりに積極的だった3支店をモデルに選び、その活動を支援しました。
 その取り組みの成果が、稲で文字や絵を描く「田んぼアートフェスタ」や小学校におけるチューリップや味噌づくりなどの活動で、地域や学校の行事として定着しています。モデル支店に刺激を受け、他の支店もさまざまな独自の計画をたてて取り組むようになりました。
 支店重視というJAの基本に沿い、これまで事業効率化のための統廃合はせずにやってきました。昭和37年の合併以来、支店の数は戦略的には増やしたことはあっても、統廃合はしていません。それだけにJAに対する組合員の親密度が高く、これが現在のJA事業の大きな支えになっています。
 地域にはそれぞれ地域のカラーがあり、支店には支店の職場風土があると思います。これを大事にすることが重要です。もちろん都市JAなので、正組合員の4倍近い准組合員がおり、新しい組合員にJAを理解してもらうための活動も大事で、支店の手づくりの広報紙や直売所の「じょうもんさん便り」など、市民や組合員向けの情報誌には力を入れています。
 このような協同組合らしい活動を展開するときに問われるのは支店のプロデュース力、特に支店長を中心とする職員の企画力・人間力です。職員一人ひとりがいま一度原点に返り、組合員や利用者に満足され信頼される人材をめざし、努力することが重要なのです。 JA福岡市らしい支店づくりを目指し、職員一人ひとりの意識と能力を高めるため「JA福岡市が目指す職員像」を設定しています。笑顔や思いやりなどの基本姿勢のほか、重視しているのは「組合員・利用者の気持ちを察して行動できる職員」です。
 また「食と農」に特化した協同組合を目指す当JAにとって、地域農業の活性化は重要な課題です。各支店に設けた総合相談係は、いわば支店の「食と農」の“顔”です。組合員の農業から地域の人の家庭菜園の相談まで幅広く対応し、農を重視した存在感のある支店づくりを進めています。 

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