JAの活動:年頭あいさつ2015
佐藤 重芳 氏(全国森林組合連合会 代表理事会長)2015年1月1日
平成27年の年始にあたり、協同組合組織から農業協同組合新聞・JAcomに寄せられた年頭のごあいさつを紹介します。
木材需要を拡大し
林業を活性化
謹んで新年のお慶びを申し上げます。
平素は、森林組合系統への特段のご支援、ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
昨年は、広島市の集中豪雨による大規模土砂災害など各地で災害が発生しており、被災地の皆様方に心からお見舞い申し上げます。
◇ ◇
さて、地球温暖化防止や国土保全等多面的な機能を有する森林に対する国民の期待はますます高まっていますが、森林を支える林業の構造的な厳しさは一段と増し、山村社会はまさに危機的状況にあり、持続可能な林業経営が可能な立木価格の実現が喫緊の課題となっています。
このような中、本会は、昨年十月に開催された全国木材産業振興大会において、全国木材組合連合会との間で「木材需要の拡大なくして日本林業の活性化は成しえない」という共通認識のもと、全木連と全森連が従来の枠組みを超えて連携し、木材を優先的に活用していく社会の実現を目指す「“ウッドファースト社会”の実現に向けた行動宣言」を行いました。
さらに11月のJForest全国森林組合代表者大会において全木連との再確認を行いましたが、この宣言を中央での掛け声に終わらせるつもりは毛頭なく、現在、具体的な連携行動の第一歩として県木連と県森連が連携し、各県での木材利用促進条例の制定に向けた取組を進めています。
また、同大会では、“ウッドファースト社会”の実現に向け、持続可能な森林管理や国産材利用拡大へ向け国民的理解の醸成を図るとともに、国民的財産である森林の整備や地方創生の柱となる林業の再生に必要な国・地方予算の確保を決議し、政府・与党に強力に要請したところです。
◇ ◇
“ウッドファースト社会”を実現するとともに、森林の二酸化炭素吸収機能の継続発揮や、木質バイオマス発電など増大する木材需要へ対応するためには、齢級構成の均衡のとれた人工林の造成が不可欠です。
しかしながら、人工林の齢級構成は、林業経営の厳しい実情から森林所有者の山離れが進んでいることもあり、若齢林が著しく少ない歪な状態となっており、間伐と併せて計画的な主伐・再造林を進め齢級構成の平準化を図らなければなりません。このためには、境界の明確化や担い手の確保、苗木の安定供給、獣害対策など解決しなければならない課題が山積していることも事実ですが、将来に大きな禍根を残すことのないよう、今から手を打たなければならないと考えています。
また、平成23年度にスタートした「国産材の利用拡大と森林・林業再生運動」が最終年度を迎えます。本運動では、施業集約化や国産材の安定供給について一定の成果を挙げているところですが、改革の手を緩めることなく次期運動方針の策定を進めてまいります。
◇ ◇
決して忘れてはならないのは、東日本大震災と東電福島原発事故です。3月11日にはあの惨禍から4年目を迎えますが、震災、原発事故を決して過去のものとして風化させてはならないとの思いは変わりません。系統として引き続き復興に向けた取組を進めてまいります。
結びに、本年が皆様方にとり実り多き一年となりますよう祈念申し上げますとともに、森林組合系統の飛躍の年となりますよう皆様の一層のご支援、ご協力をお願い申し上げ、新年のご挨拶といたします。
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