JAの活動:JA全国女性大会特集2017
【フレッシュミズ・籾山琴美さん】始まりは 「楽しく学ぼう」柔らか発想でレベルアップ2017年1月21日
JA全国女性組織協議会理事(秋田県・JA秋田やまもと)籾山琴美さん
籾山さんは、JA秋田やまもと女性部のフレッシュミズ組織を仲間とともに作りあげてきた。食と農を楽しく学ぶ学習活動を軸に非農家の女性たちも呼びかけ、メンバーを増やしてきた。これまでの活動について籾山さんの思いを聞いた。
JA秋田やまもと女性部のフレッシュミズ組織は「JAスミンクラブ」(ジャスミンクラブ)という名前で活動している。活動の中心は年8回開く「JAスミン教室」。親子でのおにぎりづくりや伝統料理教室、野菜の収穫体験などを通じて食と農を学ぶ講座だ。
代表を努める籾山琴美さんは「子どもたちにはとにかく楽しく美味しく、食と農を学んでほしいと思っています。それから友だちと協力することの大切さ、お父さん、お母さんへの感謝の気持ちも」と話す。籾山さんは4年前から県のフレッシュ部会長となり、2年前にJA全国女性協の理事にも就任した。
28年度のJAスミン教室は6月から翌年1月まで毎月1回開催した。夏休みと冬休みは親子教室として開き、ミニトマトの収穫や料理づくりを体験した。そのほかの講座もおにぎりスティックづくりや、お守りづくり、県内フレミズとの交流会参加などの内容で、「今年は1年を通して親子で参加できる講座にしました」。
籾山さんによると、メンバーの子どもたちは成長し、今年はみな小学生になったため親子で楽しみ、学ぶことができる内容を考えたという。同時に開催日もすべて土曜日か祝日に設定。子どもが小学生になったことをきっかけに仕事を始めたメンバーも増えたため参加しやすいようにと配慮したのである。
ただ、JAスミンクラブは子育て中の女性が中心となっているが、20歳から50歳ぐらいまでの年齢であれば、子どもがいない主婦や未婚の女性でもメンバーになれる。非農家ももちろん参加できる。年会費は500円。毎年この講座への参加者、すなわち「JAスミンクラブ」のメンバーを募る方式で組織づくりをしてきた。現在のメンバーは15名。「4年経ってやっと活動がかたちになってきました」。
◆ ◆
籾山さんは地元、三種町教育委員会の体験学習室の指導員として子どもたちに押し花や土笛づくりなどを教えている。JAスミンクラブに参加してその代表を務めることになったのは、今から8年前にJAが改めてフレッシュミズ部会を立ち上げようと、籾山さんに声をかけたことがきっかけだった。
実家では両親が米や野菜づくりをしており、生まれたときからそれを食べて育ってきた甥っ子が「よそで食べると同じ野菜でも味が違う」などと話すのを聞くと、子どもはいないが自分も大人として食や農についてきちんと次世代に伝えることができるようにならなければ、というのが参加した理由だった。
当時も現在のような講座を活動の中心にして仲間づくりを始めた。しかし、なかなかメンバーも増えず、参加しなくなる人も出てくるなか、5年ほど前、少し発想を変えてJA職員が町の子育て支援センターに出向いて利用者の若い母親たちに、JAに食と農を軸にしたフレッシュミズ組織があることを話した。託児の用意もあることなどを知ると興味を持って参加があった。非農家だが、それが現在のメンバーの核になっている。
「子どもはいなくてもフレッシュミズとして自分にできることを子どもたちに教えています。若い母親ともだんだんとうち解け、どんな活動が大事なのか、かえって見えることもあります。それを広めていけばいいと考えています」。
講座のなかで人気があるのは収穫体験と伝統料理づくりだという。昨年は籾山さんの両親が栽培しているミニトマトを収穫した。青年部メンバーの農場に協力してもらったこともある。伝統料理の講習会には女性部の伝統料理名人、グランママシスターズを講師に依頼した。JAスミンクラブの活動はJA組織や人脈によって支えられている。
◆ ◆
さらにこうしたJAらしい取り組みができることを知ったメンバーが自分の子どもが通う小学校での親子レクレーションに米粉のお菓子づくりなどを提案し、女性部やJA職員が学校に出向いて教えるなど、思わぬつながりも広がっているという。
今、同JAの直営店で米粉パンや惣菜などで地産地消を実践している「JAンビニ・アンアン」(ジャンビニ アンアン)にはJAスミンマルシェが設置されている。販売しているのはJAスミンクラブのメンバーによるハンドメイドのバッグや小物など。たとえばカラフルな荷物の結束用PPバンドを使ったカゴを販売している(籾山さんの写真)。
きっかけはメンバーが持っている小物などがハンドメイドだと知った籾山さんがJA祭りでの販売を提案、それが評判になってJAンビニ・アンアンにコーナーを設置することに。このマルシェによって非農家の女性もJAの直売所で手作り品を販売するという活動の広がりにつながった。
また、昨年は県内で初めてJAうごフレッシュ部会との交流も。県北部地域の伝統料理であるだまこ鍋を学びたいとの申し入れがあった。それをJAスミン教室の講座として取り入れ、女性部のグランママシスターズを講師に招き、他の組織と交流しながら自分たちも伝統料理を学ぶというプログラムとして実現した。4年前にくらべれば活動内容は多彩になった。「最初の取っかかりは楽しい活動でいいと思います。集まることを繰り返していくなかで、その時々に合わせて活動を見直したり工夫していけばいい」。 仕事を始めたメンバーが多くなったから、と土曜日を活動のメインにした28年度はその例のひとつだ。また、何よりもメンバーとその子どもたちの成長によって活動が変わったことも多い。
たとえば、最初、託児はスペースを区切って別の場所で、と考えたが、メンバーが代わる代わる子どもたちの面倒を見るようになった。結局、区切りは取り払うことに。しばらくすると、今度は年長の子どもたちが小さな子どもの面倒を見るようにもなった。
「子どもがいると参加するのも大変だし、こちらも託児を用意しなければと考えていましたが、実際に活動をしてみると子どものなかで助け合いや協力が生まれてきました。まずは、思いついたらやってみることですね。今後は食の安全について知識を得るなど仲間とともに学びの場もつくっていきたいです」。
JA全国女性協の理事を務め「出会いとつながりは全国にできました」と話す籾山さん。今後はそのつながりからもヒントを得て、仲間とともに地域に活動を根づかせていきたいと考えている。
(写真)夏の親子教室。今年度はミニトマトの収穫体験をした
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(146)-改正食料・農業・農村基本法(32)-2025年6月14日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(63)【防除学習帖】第302回2025年6月14日
-
農薬の正しい使い方(36)【今さら聞けない営農情報】第302回2025年6月14日
-
群馬県の嬬恋村との国際交流(姉妹)都市ポンペイ市【イタリア通信】2025年6月14日
-
【特殊報】水稲に特定外来生物のナガエツルノゲイトウ 尾張地域のほ場で確認 愛知県2025年6月13日
-
【注意報】りんごに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 岩手県2025年6月13日
-
SBS輸入 3万t 6月27日に前倒し入札2025年6月13日
-
米の転売 備蓄米以外もすべて規制 小泉農相 23日から2025年6月13日
-
46都道府県で販売 随意契約の備蓄米2025年6月13日
-
価格釣り上げや売り惜しみ、一切ない 木徳神糧が声明 小泉農相「利益500%」発言や米流通めぐる議論受け2025年6月13日
-
担い手への農地集積 61.5% 1.1ポイント増2025年6月13日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】生産者米価2万円との差額補填制度を急ぐべき2025年6月13日
-
井関農機 国内草刈り機市場を本格拡大、電動化も推進 農機は「密播」仕様追加の乗用田植え機「RPQ5」投入2025年6月13日
-
【JA人事】JA高岡(富山県)松田博成組合長を新任(5月24日)2025年6月13日
-
【JA人事】JAけねべつ(北海道)北村篤組合長を再任(6月1日)2025年6月13日
-
(439)国家と個人の『食』の決定権【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年6月13日
-
「麦とろの日」でプレゼント 東京のららぽーと豊洲でイベントも実施 JA全農あおもり2025年6月13日
-
大学でサツイマイモ 創生大学と畑プロジェクト始動 JA全農福島2025年6月13日
-
JA農機の成約でプレゼントキャペーン JA全農長野2025年6月13日
-
第1回JA生活指導員研修会を開催 JA熊本中央会2025年6月13日