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JAの活動:新世紀JA研究会第1回全国特別セミナー 国民の食を守る役割を明確に

【監査法人トーマツ水谷 成吾氏】農協変える真の改革を 「目指す姿」を明確に示す2019年8月20日

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◆自己改革できたのか?

有限責任監査法人トーマツシニアマネージャー 水谷 成吾氏 平成31年5月末に「農協改革集中推進期間」が終わりました。しかし、目の前に参院選を控えて、これまでの改革への圧力がうそのように"農協改革ブーム"は去り、祭りの後の寂しささえ感じます。もちろん、政府の農協改革集中推進期間はひとつの通過点であり、今後も不断の取り組みを進めていくという農協グループの姿勢に間違いはなく、政府の動きに右往左往する必要はありません。それでも、全中だけが成果を強調し、この5年の集中推進期間をひとりよがりな自画自賛で終わりにしてよいのでしょうか。


◆批判をどう受け止めたか?

 農協改革において何度も繰り返された「農協が地域金融機関化した」という批判に対して、農協の何がどのように改革されたのでしょうか。改革の必要性は理解しているが、短期的な数字をつくる癖から抜け出せないのが農協職員の実態であり、キャンペーン金利による集金と「お願い推進」での共済契約獲得による収益確保の構図に変化は見られません。


◆危機感のない役職員から改革は生まれない

 数字づくりに邁進していれば大過なく過ごすことができた農協経営に転機が訪れています。2019年3月期決算は上場地銀の7割が減益であり、金融庁は業務改善命令も視野に入れた抜本的な改革を迫るとのことです。決して他人事ではない、上場地銀の収益力の低下を農協役職員はどのように受け取ったのでしょうか?
 変わることに不慣れな農協役職員にとって「限界地銀」などどこ吹く風で、「今のままでも何とかなるだろう」という楽観論で不安を抑え込み、自己正当化と責任転嫁によって改革しなくてもよい理由付けに終始しています。そもそも、自分の任期が終わっても農協は存続していくという意識が希薄です。農林中金の預金金利が引き下げになるといっても自分の任期中は信連の奨励金が維持されるから問題ないという認識です。信連の奨励金が維持されるのは、「任期中は大丈夫ですから、安心してください」という意味ではなく、「その間に痛みを伴う改革を進めてください」ということだと思いますが、そのような当事者意識は皆無です。


◆「地域の農業を振興し、わが国の食と緑と水を守ろう」は本気か?

 現在の農協を取り巻く環境下において、「今のままでいたい」という農協役職員の願いはかないそうもありません。実際、農水省は金融依存の経営形態は限界に近づいているとし、本業の黒字確保へ指導を強化する方針です。
 今一度、JA綱領に立ち戻ってみてはいかがでしょうか。農協役職員は会議や研修の都度、JA綱領を唱和し、自らの使命を再認識しているはずです。そこに掲げられる「地域の農業を振興し、わが国の食と緑と水を守ろう」は単なるスローガンではないでしょう。「そんなことに取り組んでいたら農協経営ができない」というのが役員の本音であれば、もはや農協であることの意味を自ら放棄したと言わざるを得ません。


◆本気で農協を改革したいと思うか?

 "自己改革"というくらいですから、一生懸命に仕事をするのとは次元の違う話だということは言うまでもないでしょう。誰も「農協は何もしていない」と言っているわけではありません。ただ、"改革"と呼べるような取り組みはしていないのではないかと思います。ここでもまた「今までやってきたことは間違っていないのだから"改革"の必要はない」と開き直るのでしょうか。
 まずは、役員が改革の必要性を理解することが必要です。そのうえで、自ら「やるべき」と覚悟を決めることです。職員は役員から発信されるメッセージの変化から自らに期待されていることの変化に気づき、組合員との向き合い方にも変化が見られるでしょう。


◆あらためて「なぜ改革が必要か」

 毎年計画通りの事業利益を達成し、農業支援にお金を使っているのだから自分の経営に間違いはないと胸を張る役員は、農協の経営が安定する一方で農家が農業の将来性に悲観的になっているという現実をどのように受け止めているのでしょうか。ここでも「それは農協の責任ではない」と自己正当化による責任転嫁でしょうか。
 自分で考えることをせず、政府の改革要求に対抗あるいは対応することが改革の目的になっているから、改革が選挙対策に置き換えられてしまうのです。改めて農協の「目指す姿」を発信し、なすべき改革を明確にすることが必要です。
 「今はまだ追い込まれていないから改革は時期尚早だ」というのは間違いであり、問題ない時に次の展開を考えるのが経営です。その際、「目指す姿」のない農協に、「目指す姿」を実現するための改革を描けるはずがありません。


◆自己改革できたのか?

 平成31年5月末に「農協改革集中推進期間」が終わりました。しかし、目の前に参院選を控えて、これまでの改革への圧力がうそのように"農協改革ブーム"は去り、祭りの後の寂しささえ感じます。もちろん、政府の農協改革集中推進期間はひとつの通過点であり、今後も不断の取り組みを進めていくという農協グループの姿勢に間違いはなく、政府の動きに右往左往する必要はありません。それでも、全中だけが成果を強調し、この5年の集中推進期間をひとりよがりな自画自賛で終わりにしてよいのでしょうか。


◆批判をどう受け止めたか?

 農協改革において何度も繰り返された「農協が地域金融機関化した」という批判に対して、農協の何がどのように改革されたのでしょうか。改革の必要性は理解しているが、短期的な数字をつくる癖から抜け出せないのが農協職員の実態であり、キャンペーン金利による集金と「お願い推進」での共済契約獲得による収益確保の構図に変化は見られません。


◆危機感のない役職員から改革は生まれない

 数字づくりに邁進していれば大過なく過ごすことができた農協経営に転機が訪れています。2019年3月期決算は上場地銀の7割が減益であり、金融庁は業務改善命令も視野に入れた抜本的な改革を迫るとのことです。決して他人事ではない、上場地銀の収益力の低下を農協役職員はどのように受け取ったのでしょうか?
 変わることに不慣れな農協役職員にとって「限界地銀」などどこ吹く風で、「今のままでも何とかなるだろう」という楽観論で不安を抑え込み、自己正当化と責任転嫁によって改革しなくてもよい理由付けに終始しています。そもそも、自分の任期が終わっても農協は存続していくという意識が希薄です。農林中金の預金金利が引き下げになるといっても自分の任期中は信連の奨励金が維持されるから問題ないという認識です。信連の奨励金が維持されるのは、「任期中は大丈夫ですから、安心してください」という意味ではなく、「その間に痛みを伴う改革を進めてください」ということだと思いますが、そのような当事者意識は皆無です。


◆「地域の農業を振興し、わが国の食と緑と水を守ろう」は本気か?

 現在の農協を取り巻く環境下において、「今のままでいたい」という農協役職員の願いはかないそうもありません。実際、農水省は金融依存の経営形態は限界に近づいているとし、本業の黒字確保へ指導を強化する方針です。
 今一度、JA綱領に立ち戻ってみてはいかがでしょうか。農協役職員は会議や研修の都度、JA綱領を唱和し、自らの使命を再認識しているはずです。そこに掲げられる「地域の農業を振興し、わが国の食と緑と水を守ろう」は単なるスローガンではないでしょう。「そんなことに取り組んでいたら農協経営ができない」というのが役員の本音であれば、もはや農協であることの意味を自ら放棄したと言わざるを得ません。


◆本気で農協を改革したいと思うか?

 "自己改革"というくらいですから、一生懸命に仕事をするのとは次元の違う話だということは言うまでもないでしょう。誰も「農協は何もしていない」と言っているわけではありません。ただ、"改革"と呼べるような取り組みはしていないのではないかと思います。ここでもまた「今までやってきたことは間違っていないのだから"改革"の必要はない」と開き直るのでしょうか。
 まずは、役員が改革の必要性を理解することが必要です。そのうえで、自ら「やるべき」と覚悟を決めることです。職員は役員から発信されるメッセージの変化から自らに期待されていることの変化に気づき、組合員との向き合い方にも変化が見られるでしょう。


◆あらためて「なぜ改革が必要か」

 毎年計画通りの事業利益を達成し、農業支援にお金を使っているのだから自分の経営に間違いはないと胸を張る役員は、農協の経営が安定する一方で農家が農業の将来性に悲観的になっているという現実をどのように受け止めているのでしょうか。ここでも「それは農協の責任ではない」と自己正当化による責任転嫁でしょうか。
 自分で考えることをせず、政府の改革要求に対抗あるいは対応することが改革の目的になっているから、改革が選挙対策に置き換えられてしまうのです。改めて農協の「目指す姿」を発信し、なすべき改革を明確にすることが必要です。
 「今はまだ追い込まれていないから改革は時期尚早だ」というのは間違いであり、問題ない時に次の展開を考えるのが経営です。その際、「目指す姿」のない農協に、「目指す姿」を実現するための改革を描けるはずがありません。

(写真)有限責任監査法人トーマツシニアマネージャー 水谷 成吾氏

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