JAの活動:第5回 営農・経済フォーラム 営農・経済事業の収益力向上へ
【第5回 営農・経済フォーラム・1】事業モデルの転換にチャレンジ 将来見据えた産地振興を2019年9月10日
JA全中は8月に第5回JA営農・経済フォーラムを東京都内(東日本地区)と福岡市内(西日本地区)で開いた(東日本地区:8月29日~30日、西日本地区:8月27日~28日)。フォーラムには合計8JAが地域特性や課題をふまえた営農経済事業改革の取り組み事例を報告。全国のJA役職員が参加し課題を共有した。その内容を、課題提起(第1回)、基調講演(第2回)、東日本実践事例報告(第3回)、西日本実践事例報告(第4回)に分けて掲載する。
【課題提起】不断の自己改革を
今年3月の第28回JA全国大会では、今後3年間でJAの総合事業の強みを発揮し、部門・部署の横断的連携で、担い手への多様なニーズへの対応が可能な営農・経済事業実践体制を構築するなどを決議した。
JA全中の肱岡弘典常務理事は主催者あいさつで「現在、JAグループは県域ごとの実態をふまえた創意工夫ある自己改革に取り組み、その成果も数多く生まれている」と話した。
また、昨年10月から全国のJAで取り組んだ全組合員調査の中間集計結果では、営農指導、販売、生産資材購買事業について「組合員から多くの期待や満足の声をいただいている。JA総合事業の継続と、准組合員の事業利用制限を行わないことについても賛同の声が寄せられた」と指摘したうえで、「自己改革は一定の成果を上げつつあるが、自己改革に終わりはない。組合員との徹底した対話を起点に常に新しい取り組みにチャレンジし、PDCAをしっかり回していく。不断の自己改革を進めていくことが組織として重要だ」と呼びかけた。
(写真)肱岡弘典JA全中常務理事
◆販売力の強化と人材育成 営農・くらし支援部の元広雅樹次長は情勢報告と課題提起を行った。
高齢化にともなって農業就業人口は減少しているが、平成27年から30年の間ではそれが加速化し年間11万人減となっている。一方で担い手への農地利用集積は着実に進み、販売額1000万円以上の農業経営体も増えている。
食をめぐる状況は、単身・共働き世帯が増加するなか中食・外食市場が拡大するとともに、eコマース市場の拡大、インバウンド需要など新たな需要に対し、どう販売戦略を見直すか重要となる。
こうしたなか自己改革は一定の成果を上げているものの、今後3年間はJA経営の収支が厳しくなることが想定されている。これまでの改革を継続し、営農・経済事業の収益力向上に取り組むためには、将来をみすえた「産地の振興」と「JA事業モデルの転換」に取り組むことが必要で、JAグループ全体で営農経済事業実践体制の強化と、営農・経済事業部門職員のレベルアップに取り組まなければならないと提起した。
とくに職員のレベルアップについては、第28回JA全国大会決議で「担い手からの営農相談対応や専門性の高い個別事業提案を担う人材育成に取り組む」とされている。
そのなかで営農指導員については「営農企画」、「農業経営」、「営農技術」の3分野で役割を果たすことが求められており、この3分野の基礎知識を習得することによって「組合員との対話を通じて課題を把握し、解決策の提案ができることを目標とする」なども掲げている。営農指導員認証後は、各分野の専門性を高めていくこととし、全中では営農企画分野を地域営農マネジャー、農業経営分野を営農コンサルタント(仮称)などの認証制度や登録制度などを検討している。
また、JAが直接販売するなど多様な販売ルートを構築するためには、販売担当の職員の人材育成が必要になる。そのため営農関連事業体制を見直し、営業体制の強化、ローテーションの見直しなど、取り組み事例も報告されている。
元広次長は課題提起として、たえず変化するマーケットと多様化する組合員ニーズに対応して、組合員の願いを実現し、JA事業の伸長と経営基盤を強化していくために、▽産地づくりと実需を意識した販売力の強化、▽営農指導員の専門性の高度化、▽販売事業の事業伸長と、すべての事業の効率化の実践などを挙げた。
(写真)元広雅樹JA全中営農・くらし支援部次長
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