JAの活動:JAグループしまねの挑戦
TACがけん引力に 共通目標掲げレベルアップ2020年1月31日
TAC(Team for Agricultural Coordination)」という全国統一愛称が産声をあげて10年。JAしまねは全国に先駆けてTAC体制を構築し、JA事業の大きなけん引力になっている。営農相談だけでなく、認定農業者や集落営農、農業法人など担い手を訪問して、さまざまな意見・相談や悩みを聞いて一緒に解決し、JAへの信頼を高めている。
TACの精鋭たち
TACは「T(とことん)・A(あって)・C(コミュニケーション)」のキャッチコピーにあるように、自ら出向いて、担い手の声を聞き、JA事業に反映させようというもので、JAグループが平成20年に発足させた。島根県ではJA全農島根県本部のころから、担い手の所得増大に努めてきた。現在、JAしまねのTAC担当者は11地区本部で24人、県域2人が活動している。
JAしまねのTACの理念は、「コンシェルジュ」(よろず相談員)に徹すること。このため「担い手と徹底して話し合い」、「NOという回答はなし」。「グリット(やり抜く)力を発揮」し、「担い手と一緒に問題解決」する。同JA営農対策部担い手対策課の横宮隆幸課長は「TAC設立の理念は営農指導とともに、その活動をJAの総合事業に反映させることにある。その意味で理想的な形で進んでいる」と説明する。
担い手の税務相談や事業継承相談訪問担い手先は平成30年度で1483戸で、TAC1人当たり62戸。担い手1戸あたり平均2回訪問している。主な業務は、(1)JA事業等に対する担い手からの要望の反映や問題解決、(2)営農指導による所得増大、経営支援、(3)法人化に向けた支援および新規就農支援、(4)健康管理および農作業事故防止、(5)事業承継のきっかけづくりなど。
JA島根厚生連が平成26年から「担い手ドック」を初めているが、TACは知名度の低かったこの検診の受診を、担当する担い手に呼び掛けた。担い手が健康で農業生産に携われることを願ってのことだった。
この担い手ドックは、(1)農閑期に身近な場所で人間ドックが受診できる、(2)JAオリジナルで充実した検査内容、(3)JAしまね農業振興支援事業の助成により安価、(4)総合病院では半日以上かかるドックが約1時間で終了することであり、受診した担い手から好評を得ている。5年目となる平成30年度は今までで最多の1157人が受診しており、TACの訪問先の8割近くに達する。農作業事故を防ぐため、共済の職員と一緒に担い手を回ることもある。
島根県内のTAC体制
JAしまねは合併して5年になる。それぞれ、農業条件の大きく異なる11地区本部の活動のレベルアップ、平準化のため、月例のTACミーティングには地区本部長が出席し、情報を共有する。また他地区本部のTACミーティングへ参加および担い手訪問など、相互乗り入れも行う。横宮課長は「各地区の実情にあった取り組みは必要だが、県域共通目標を掲げ、TACの連帯感および活発でレベルの高い活動にしたい」と言う。令和元年度は、(1)TAC活動の見える化に向けて訪問件数・訪問回数の設定・管理、(2)事業承継の取り組み(1人1件)、(3)畦畔除草対策の研究を挙げた。
こうした活動が全国的にも評価され、TACの全国大会(TACパワーアップ大会)で、これまで旧JA単位で6回、合併後も平成27年にJA表彰を受賞。平成30年度は「TACトップランナーズ」としてJA表彰を受賞した。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日
-
キウイブラザーズ新CM「ラクに栄養アゲリシャス」篇公開 ゼスプリ2025年4月30日
-
インドの綿農家と子どもたちを支援「PEACE BY PEACE COTTON PROJECT」に協賛 日本生協連2025年4月30日