JAの活動:私の意見・提言 JAへエール
国産回帰の機運 一過性で終わらせず SDGs実践への道筋を JA福島中央会代表理事会長 菅野孝志【私の意見・提言 JAへエール】2020年8月13日
JA福島中央会代表理事会長菅野孝志 氏
2019年の暮れ、中国武漢に端を発した新型コロナウイルスは、瞬く間に世界に拡散した。原因が今一つ不明、治療薬未開発、ワクチン無しという状況。症状は、37.5度以上の熱や咳・呼吸苦等がみられる。東日本大震災・原発事故への対応に「未知なる不安と無知なる不安」からの脱却をご指導頂いた故今村奈良臣先生を思い起こした。
2020年7月5日現在、世界の感染者数は1126万7000人余、死者53万人余となっている。今から約100年前の1918年~1921年までのスペイン風邪は、感染者約5億人、死者1700万人~5000万人との推計が多いものの、1億人に達したとも言われている。歴史は繰り返されるようだ。
災害の度に50年に1度、100年に1度の大災害と言われるが、地震を除けば人災である。第2次世界大戦、大冷害、航空機事故、大水害、大地震、東日本大震災・原発事故、台風災害、新型コロナウイルス禍と暇の無いほどに受けて来た。
その都度、思うことだが、自らの欲求を満たすために、木々を伐採し開墾し種を播き収穫し、胃袋を満たしてきた農地は、大切な大切な資源なのに、人が少なくなったから、村人が離れたから、食べる人が少なくなったからと作付けを断念してしまう。人の手や足の入る以前の自然には戻らなくなってしまう。
一度、人間の手や足を入れた自然に対しては、入れ続けることが不可欠なのだと思う。何時でも、人の命をつなぐことが出来る大地なのだから。多くの災害は、人間の身勝手な「さが」によるものであると思っている。
コロナ禍を通じ、国産回帰、目の前にある農と食を育むことが叫ばれるが、一過性に終わらせたくはないものである。この機会にもう一度、SDGsの各項に思いを馳せ、実践への道筋を現場に創らねばならない。
倉本聰さんの「富良野塾起草文」。
あなたは、文明に麻痺していませんか 石油と水は、どっちが大事ですか
車と足は、どっちが大事ですか 知識と知恵は、どっちが大事ですか
批評と創造は、どっちが大事ですか 理屈と行動は、どっちが大事ですか
あなたは感動を、忘れていませんか あなたは、何のかの言いながら
わが世の春を、謳歌していませんか
倉本聰さんの「コトバ」(引用)
コクワは、愛のかたまりである
惚れやすく、惚れると相手がどう思おうと
猛然と抱きしめて、離さない
時にきつく抱きすぎて、相手を絞め 殺してしまうことすらある
そのときコクワは、ひどく落ち込む
樹は、根に拠って立つ されど 根は人の目に触れず
引用させていただきました。
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