JAの活動:私の意見・提言 JAへエール
原点に返って地域づくりを 青森県JA相馬村理事 田澤俊則【私の意見・提言JAへエール】2020年9月1日

年々、中山間地は衰退している。高齢化に加えて人口減少。地域を支えてきた商店も廃業やバスも通らない交通難民増加と地域の課題は数多い。その流れに沿って、地域にとって最後の頼みの綱だったJAが大規模化とともに支店(支所)の統廃合で、20リットルのガソリンを買うのに20㎞走るのが当たりまえとなった。
「近くて便利な農協」から「遠くて不便なJA」となったことは言うまでもない。組合員もまたJAの必要性を問うことが少なくなった。高齢化によって離農する組合員、そして今日、組合員の若返りも進み、時代も変わり考え方も変わった。
貯金の窓口対応からATM(自動預け払い機)に、共済は掛金が安い外資系に。購買もスーパーやホームセンターの品揃えと長時間の営業時間の利便性に対抗できない。販売は農家の大規模化とともに通販や量販店と直接取り引きすることも多い。特に、近年の都市型JAは、利益の多かった金融事業がゼロ金利時代に苦戦しているようだ。同様に共済事業も運用益が厳しい。そこで今一度考えてみると、JAと組合員や地域との絆はどうか、役職員とのつながりはどうだろうか。
このままではJAに対する必要性は薄くなり、やがて地元から地元外のJAとなり、さらなる大規模化へとなっていく。組合員のためから組織のためのJAとなる恐ろしさがある。
この時期(危機)を契機に、原点に返ったJA改革が急がれる。いいことばかり唱えるよりも、身近な問題点を解決し資源の豊富な地域の元気こそ我が国の農業活性化につながる。急がれる一つに教育がある。こういう時だからこそ教育であり、まずは役員と職員が、次に組合員である。農協の原点に立ち、知識と知恵を活かして、この危機を乗り切るために将来を見据えた先取りをしなければならない。
次に、全てリセットすることである。農協の役割をいま一度見直し、過去に学び元気な地域や元気な高齢者をつくる。たとえば市場出荷できない農産品や民工芸品の販売に地元の直売所を活かすこともその一つである。
三つめは、JA事業の見直しである。食料自給率が37%となった今、危機意識を持たなければならない。輸入や輸出が停滞したこの時期、国内自給を消費者にも強く情報提供し、限りある資源の大切さを認識してもらうことである。「日本の食はJAが守る」ことで安心と信頼を得ることに尽きる。
このように私たち、いま取り組む課題を出し合い、解決策を見出すことはJAの役割として最も大事なことであろう。日本型農業の再構築が必要で、この機会を国民みんなが共有することが急がれる。いま地域を活性化できるのはJAと役職員であり、そのためのリーダーシップが必要である。
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