JAの活動:全国集落営農サミット
【特集:JA全中 全国集落営農サミット】広域化の有効性を探る(上)2020年12月21日
JA全中は「集落営農の広域化等の意義と実践」をテーマに、第5回全国集落営農サミット(令和2年度集落営農法人全国実践交流集会)を開催した。集落営農は地域農業の持続的発展に重要な役割を発揮しているが、今日、その組織化から10年以上経過し、後継者やオペレーター等の人材不足という構造的課題があるなか、米価や米政策の変動による経営リスクの増大が懸念されている。こうした危機を乗り越えるため、現場では集落営農の広域化・連携・再編が模索されており、サミットでは、オンラインによる実践事例の報告等をもとに集落営農の広域化等の意義や課題を探った。
広域化は経営発展の手段の一つ
東西モデル実践報告
税務課題に注意も
集落営農組織は、「米価リスクと政策リスクの増大」という農業経営の課題と、「高齢化と再雇用制度の拡大」や「都市集住と不在地主の増加」という地域運営の課題に直面している。JA全中では、こうした課題への対応策の1つである広域化等の取り組みをJAが支援する際のツールとして、「集落営農組織広域化・連携・再編の手引き」を取りまとめ、県域に提供している。
サミットでは、手引きの内容や広域化等にかかる税務上の課題について講演があったのち、秋田県大仙市の農事組合法人「たねっこ」および佐賀県神埼市の農事組合法人「城田西ファーム」の実践事例や、JAグループ山口が支援する広域化等の取り組みについて報告された。
JCA(日本協同組合連携機構)基礎研究部の小林元部長は、集落営農の広域化等について、先行する西日本では既存の集落営農の連合組織化の形を取り、東日本では新たに大規模・広域的に組織化するなど地域性があるとしつつ、地域農業の維持・継続・発展に向けた取り組みであることは共通すると指摘。他方、広域化等は集落営農の経営発展の手段の1つであることを強調し、「広域化等は必ずしもモデル化されていないなか、全国の事例を積み上げ、ともに学ぶ必要がある」と、サミットのテーマを解題した。
また小林部長は、広域化等の意義や類型、広域化等に向けた取り組みフローのイメージなど、「集落営農組織広域化・連携・再編の手引き」でJA全中がとりまとめた内容について解説した。広域化等の意義について、短期的には農業機械利用の共同化などによるコスト削減となるが、中長期的にみると、生産の効率化、販売管理の効率化、人材の確保など、様々な課題解決の可能性もあるとした。広域化等の類型については、ネットワーク型、プラットフォーム型、広域2階建て型、広域1農場型など4類型があるとし、それぞれの特徴や課題が解説された。
類型別の税務を解説
農業経営コンサルタントの森剛一税理士は、集落営農の広域化等に関わる税務上の課題やその解決策について講演した。森税理士によると、ネットワーク型について、既存の集落営農法人が広域連携を進める入り口としては有効な手段としつつ、ネットワーク法人の収益となる利用料や費用となる減価償却について使える税制特例はほとんどなく、税務上のメリットは乏しいと指摘。プラットフォーム型についても、消費税のインボイス制度導入後は、消費税の還付が受けられなくなることが課題であるとした。
こうした課題に対応するため、森税理士は1階部分と2階部分をともに法人とし、1階法人を農作業受託する資源管理法人とする法人2階建て方式(広域2階建て型)を提案した。一方、ブロックローテーションの実施地域で広域2階法人が転作受託する際、特定作業受託の課税売上の計算方法の変更が課題となることも指摘した。
重要な記事
最新の記事
-
果樹産地消滅の恐れ 農家が20年で半減 担い手確保が急務 審議会で議論スタート2024年10月23日
-
【注意報】野菜、花き類にハスモンヨトウ 県内全域で多発のおそれ 滋賀県2024年10月23日
-
【クローズアップ】数字で見る米③ 委託販売と共同計算2024年10月23日
-
【クローズアップ】数字で見る米④ 委託販売と共同計算2024年10月23日
-
千葉県で高病原性鳥インフルエンザ 今シーズン国内2例目2024年10月23日
-
能登を救わずして地方創生なし 【小松泰信・地方の眼力】2024年10月23日
-
森から生まれた収益、森づくりに還元 J‐クレジット活用のリース、JA三井リース九州が第1号案件の契約交わす2024年10月23日
-
食品関連企業の海外展開に関するセミナー開催 関西発の取組を紹介 農水省2024年10月23日
-
ヒガシマル醤油「鍋つゆ」2本付き「はくさい鍋野菜セット」予約販売開始 JA全農兵庫2024年10月23日
-
JAタウン「サンゴ礁の島『喜界島』旅気分キャンペーン」開催2024年10月23日
-
明大菊池ゼミ・同志社大上田ゼミと合同でマーケ施策プロジェクト始動 マルトモ2024年10月23日
-
イネいもち病菌はポリアミンの産生を通じて放線菌の増殖を促進 東京理科大2024年10月23日
-
新米「あきたこまち」入り「なまはげ米袋」新発売 秋田県潟上市2024年10月23日
-
「持続可能な農泊モデル地域」創出へ 5つの農泊地域をモデル地域に選定 JTB総合研究所2024年10月23日
-
「BIOFACH JAPAN 2024」に出展 日本有機加工食品コンソーシアム2024年10月23日
-
廃棄摘果りんご100%使用「テキカカアップルソーダ」ホップテイスト新登場 もりやま園2024年10月23日
-
「温室効果ガス削減」「生物多様性保全」対応米に見える化ラベル表示開始 神明2024年10月23日
-
【人事異動】クボタ(11月1日付)2024年10月23日
-
店舗・宅配ともに前年超え 9月度供給高速報 日本生協連2024年10月23日
-
筑波大発スタートアップのエンドファイト シードラウンドで約1.5億円を資金調達2024年10月23日