JAの活動:【第29回JA全国大会特集】コロナ禍を乗り越えて築こう人にやさしい協同社会
【わたし発輝く女性】生活協同組合コープこうべ・多村 孝子常務 瀬戸口 恵子執行役員に聞く「気づきを大切に生き生きと活動」【第29回JA全国大会特集】2021年11月16日
生活協同組合コープこうべは、172万人の組合員を擁する、単一生協では国内最大級の生協であり、大正10(1921)年の創設から今年100周年の節目を迎える。供給事業だけでなく多彩な社会貢献活動を展開するなかで、組合員や役員・職員それぞれの立場で女性たちが生き生きと活躍している。女性のさらなる能力発揮が世界的にも求められるなか、協同組合における女性の役割について、多村孝子常務理事、瀬戸口恵子執行役員に聞いた。(小川理恵・JCA主席研究員)
買いもん行こカー
「つながる力」が課題解決の糸口に
――コープこうべの特徴を教えてください。
多村孝子常務理事
多村 「一人は万人のために 万人は一人のために」という協同組合や生協の理念に基づき、事業で得た余剰を社会貢献活動につなげていくことが私たちコープこうべの使命です。例えば2016年に開始した「買いもん行こカー」は、免許を返納した高齢者やスーパーの撤退で買い物困難者となった組合員さんを定期的に店舗に送迎する取り組みです。登録者は2900人に上り、現在25台が稼働しています。
大きな利益を目的としているのではなく、組合員さんたちに買い物を楽しんでいただきたいという思いから実施しているもので、これからも台数を増やす予定です。ドライバーには女性もいて、きめ細やかな対応が評判を呼んでいます。
――コープこうべにおける女性の活躍状況は?
多村 生活に密着した事業や活動を展開する生協では、様々な場面で女性が活躍しています。149ある店舗では、6割が女性店長です。女性はエリアのことをよく知っていて、ちょっとした地域の困りごとにいち早く気づきます。それが組合員さんのニーズに合致した店舗づくりに生かされています。組合員活動も盛んで、30年以上の歴史がある「くらしの助け合いの会」や、組合員と生協をつなぐコープ委員会などでは、女性が中心となって活躍しています。
組織内部では、総合職員1994人のうち675人が女性です。女性の管理職や役員も年々増えています。非常勤役員24人のうち14人が女性、常勤役員14人のうち4人が女性で、意思決定の場に女性がいることが当たり前になりつつあります。
――コロナ禍で、女性の力はどのように発揮されましたか?
瀬戸口恵子執行役員
瀬戸口 驚く速さでコロナの感染が広がり、市中では感染防止用のグッズが不足しました。そこでコープ委員さんや女性職員たちが力を合わせて、たくさんのマスクやシールドを手作りしました。コロナ禍では、女性たちの持つ、苦難を乗り越える知恵と、アイデアを実現させる実行力、そのスピード感にあらためて驚かされました。
――協同組合の現場になぜ女性の力が必要なのでしょうか?
多村 現在、コープこうべでは「つながり」「健康」「環境」「くらしの安心」の四つのテーマで取り組んでいます。複雑化する地域課題を解決するためには、一人の力だけではなく、いろんな人がつながり、それぞれの気づきや能力が発揮されることが必要です。つながることは女性の得意分野。多くの女性たちが、組合員や役員・職員というそれぞれの立場で、つながる力をいかんなく発揮することが、これまで以上に求められると思います。
――JAグループでは、管理職や役員への女性の登用を進めています。さらに前進させるためにはどうすればよいと思われますか?
瀬戸口 女性にとって、新たな役職への挑戦は勇気がいることです。まずは組織側が、本人の能力やこれまでの成果などから、何を期待しているのかをはっきり伝えることで「自分らしくこうやってみよう」と前向きな気持ちで取り組めるのではないでしょうか。また、悩んだときに相談できる仕組みづくり、女性が孤独に陥らない工夫も必要かと思います。私自身は格好つけずに、もがいている姿もさらけ出すことにしています。すると職員が必ず力を貸してくれるんです。そうしたフラットなチームビルディングも女性の感性に合うのではないかと思います。
多村 コープこうべでは、現在は、女性登用の目標を掲げるというよりは、女性に限定せず、一人ひとりの職員が生き生きと力を発揮できる風土づくりを進めています。女性は、任された役割をいろいろな人の力を借りながら実現させていく柔軟性もあると思うので、思い切ってチャレンジできる空気を作っていかれればと思います。
これからはますます性別に関係なく、多様な人材の活躍が求められます。みんながお互いに信頼、尊重し合うことが大切であり、それが結果として女性のさらなる活躍につながっていくと思います。
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