JAの活動:JA全農創立50年特集 なくてはならない「JA全農」を目指して
VF事業で生産と消費の懸け橋に 進化し続ける直販 全農茨城県本部【JA全農創立50年】2022年3月29日
JA全農いばらきの直販事業がスタートして27年になる。当初から関わってきた職員は現職の鈴木一男園芸部長だけになった。小職(筆者)はその4年後に配属になり通算23年になる。この間に青果物の販売方法は大きく変化し、JA青果販売の根幹である市場流通は無条件委託→条件付委託→相対取引(契約取引)→通販・贈答へと拡大した。
(JA全農いばらき県本部長・鴨川隆計)
県西VFS集出荷施設の風景。持ち込まれたものは既に価格が付いている。
量販店、生協、業務用など販売ニーズに合わせた選別・包装加工など行い出荷するVF(ベジタブル・フルーツ)事業もその流れを上手に取り入れてきた(そのきっかけは全農50年史の中で触れている)。主観だが、過去を振り返ると三つに分類できる。
①第一世代 1994年から1997年
県西地区に第一号となる集出荷所を新設し、多様な販路開拓や契約取引による買い取り直販の仕組みづくりと取引先、JA、生産部会への理解促進をしていた時期。
そのなかで、契約取引は「は種前に生産農家と条件を整理すること」、「過不足調整のため余剰作付けをすること」そして「自らがほ場に出向き、生産農家と交流すること」を学んだ。
②第二世代 1998年から2016年
VF事業の総括課設置と県内拠点にそれぞれの立地に特化した機能をもった施設(中央VFS、県南VFS、青果集品C)を新設し、「業務」、「量販」、「共同購入」、「JA直売所」まで幅広い客層に販売拡大していた時期。既存品目の扱いから新規作物の提案拡大をした時期でもある。
とにかく、外食・中食バイヤーとの商談や生産農家への品目提案のなかから契約取引における「様々なリスク」そして「売るためのプロデュース」と「売れるものを作る」ことを学んだ。
VFS集出荷施設の風景。品目によって色分けされている。
③第三世代 2017年から2021年
競争が激化し、費用対効果を意識した業務改善を進めてきた時期。そして直近はコロナ禍により、従来型の事業スキームでは運営が厳しくなってきた時期でもある。
コロナ禍や世界情勢の変容により、「リスクヘッジの重要性と新たなリスク」を学んだ。
VF事業は市場外流通とよく言われるが、市場流通とか市場外流通というくくりではない。あくまでお客様との直接取引であり、その原点は生産農家と話し合い、計画生産・計画販売することで年間所得の継続的な安定を目指すものである。そして一貫して、委託販売では限界のある即決型で多様なニーズに幅広く応えるために、JAの青果委託販売の補完機能としての位置付けである。
中央VFSパッケージ室の風景。客(量販店)の要望により袋詰めをしている。
VF事業は様々な機能を有する。特質すべきは「JAと連携のもと、生産農家、生産部会、農業生産法人との相対取引に基づく買い取り直販である」のと「集出荷施設を持ち、一時貯蔵や簡易パッケージ、配送機能を有している」ことであろう。前者はマーケットインに基づく契約生産や天候不順時の調整機能やマッチングそして債権管理など、商取引に関わるリスクヘッジが必要となり、リスクとの闘いでもある。後者は付加機能の有効活用や効率的な荷捌きと施設の運営・管理が求められる。
今、VF事業は岐路に立たされている。社会インフラの進歩、情報インフラの技術革新による消費構造やデリバリーシステムの変化により、従来型の事業スキームでは事業運営が厳しくなってきているのだ。
契約ショウガの説明会の風景
契約ショウガほ場の巡回風景
今後の情勢変化を見据えた課題と対応策は下記の通りである。
課題としては、
①取引先の寡占化や取引先別要望が増え、商談が多岐にわたるようになってきているため、高度な営業が求められる。
②高齢化、労働力不足、温暖化の進行により需給バランスが不安定になってきており、契約取引のリスクが増加してきていることから、販売の多様化や生産振興により力をいれていかなくてはならない。
③生産から出荷に関わるコスト上昇分を販売価格に転嫁しにくくなってきているため、今まで以上に省力化、効率運営に徹する必要がある――。
以上のことから、各拠点ごとの完結型の事業運営から、販売と生産を分離し、営業力の集中と生産振興への特化を進める。またJAや他企業とも連携を強化し、一時貯蔵の積極的活用や新業態(冷食、他)への販路開拓と生産から出荷の分業化や省力化による改善を進めていくなど、VF事業をまだまだ進化させていく。
【VFS事業の概要】
Vegetable(野菜)のV、Fruits(果物)のF、Station(駅)のSの略。
1課3事業所1PC(VF課、中央VFS、県南VFS、県西VFS、青果PC)
令和3年度 取扱高見通し187億円(青果販売高の約20%を占める)
〃 契約面積 1470ha
〃 職員数 50名(産地開発顧問5名含む)
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