JAの活動:沖縄復帰50年~JAおきなわが目指すもの~
【特集:沖縄本土復帰50年】「軽トラ市」で地域に活力 農業の力信じて 次世代担う農業人(はるんちゅ)(1)2022年5月26日
沖縄農業は多彩な園芸品目を生産し県民の食と守り、地域経済を支えている。次世代を担う農業人(はるんちゅ)を訪ねた。地域に元気を与えようと、農家仲間とともに各地で軽トラック市を展開する宮島寛之さんを紹介する。
脱サラしJAとともに
宮島寛之さん
JAおきなわ青壮年部前委員長の宮島寛之さん(53)は35歳で就農した。現在は沖縄市内で1haの農地を借りて、ハウス栽培のネギのほかサトウキビも栽培している。広告代理店などを経て、農業用資材の販売店を経営していた父親が資材の試験用に作ったハウスを引き継ぎ、青ネギのベッド栽培のスタートだった。
農業以外の仕事もしなければ生活できないかと考えたが、直接、大手量販店へ出荷し、価格も決めて農業への"脱サラ"を実現した。
就農時から地域の先輩からアドバイスを受けたり、4Hクラブへも加入して仲間を作り、その仲間で支店の青壮年部を結成したことでJAとの関わりが強くなった。生産履歴記帳など生産者の組織的な取り組みが取引先との信頼確立に必要なことを実感するようになったという。
規模拡大など経営を発展させるには「JAと一緒になって農業経営をやっていかなければならない」と話す。
ネギの出荷作業は家族が行う。周年栽培を実現し年6回収穫する。量販店のほか、学校給食にも供給している。
沖縄県では県外産の野菜が多い。夏の栽培が難しい品目もあるが、宮島さんは「沖縄産の野菜を増やす。地産地消で市場と闘いたい」と話す。輸送費も高騰するなか、地元の農産物は優位になるとみる。
農業経営と地域の食を支えることに貢献しているのが、県内11店舗のファーマーズマーケットだ。沖縄市など中部地区には「ちゃんぷるー市場」が開設されている。宮島さんにとってファーマーズマーケットの開設は「新しい市場」が加わったことになるという。市場出荷なら規格外となる野菜も出荷し、自分で価格をつけられるから所得向上につながる。
出荷者で組織する生産部会の会長も引き受け品質を合わせるための会員での目ぞろえ会などイベントを先導した。
軽トラ市で地域を盛り上げ
住民に好評の軽トラ市
若い出荷者で地域を盛り上げようと企画したのが「軽トラ市」だ。それぞれが軽トラックに農産物を乗せて集まり、即売する。5年前に始めたが、この2年間はコロナ禍で中止せざるを得なかったが今年4月には県内全地区で再開した。
地元のラジオ局も軽トラ市の会場で公開生放送を行い、各地の会場を生産者や消費者の電話インタビューでつないだ。
「久しぶりにイベントに参加できた。人と人とのつながりはやはり大事」との声は生産者だけではなく、多くの住民からも聞かれた。若い世代も集まり、ファーマーズマーケットも売り上げを伸ばすなど相乗効果で活気づいた。
また、軽トラ市はこれまでに沖縄市内の商店街でも開催した。シャッター街になりつつある商店街と連携して軽トラでみなが駆けつけたところ、人通りの少なかった商店街で集客力を発揮した。商店街との連携で実施したが、若い農業者の力が地域を元気づけている。このイベントは青壮年部と女性部が共同で取り組む。それをJAがバックアップ。宮島さんは農産物の品質向上にしても、情報発信にしても「組織の力は個人のスキルを上げる最大の武器」と話す。
◇ ◇
GAPへの挑戦も 学び続ける
今後の課題として宮島さんはリーダー研修会で学んだGAPの取り組みを挙げる。県内の外食や食品産業からGAP対応が求められるというだけではなく、認証取得よりも「GAPに取り組むこと」そのものが重要だと受け止めた。
農産物の安全性確保はもちろん、作業工程の管理など自分の経営の改善点を見出すことが大切だ。「GAPなど自分には遠い話だと思っていましたが、家族で挑戦しても取得できる認証だと研修を受けて実感しました」と話す。認証を取得するためより、GAP基準を満たすよう日々の作業などの改善を心がけていくつもりだ。
施設園芸とともに栽培するサトウキビは農地を守るためでもある。ただ、サトウキビの収穫はJAが受託する仕組みが構築されており、JAが経営を後押しする。その分、経営の向上や地域への発信などに力を入れる。
「学び続けて新しいことに取り組むことが大事」だと話す。
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