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JAの活動:消滅の危機!持続可能な農業・農村の実現と農業協同組合

【座談会 農業協同組合がめざすもの】農の人材育て 行動力今こそ 菅野孝志全中前副会長× 八木岡努全農副会長(1)2023年10月12日

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本紙は特集テーマであえて「消滅の危機」と農業、農村の現状認識を示した。実際、危機に瀕している地域も少なくない。そのなかでJAグループはどう役割を発揮していくのか。本座談会で強調されたのは「人づくり」だ。それは人の組織である協同組合の原点でもある。原点からの行動が求められていることも示された。

【出席者】
JA全中前副会長 菅野孝志氏
JA全農副会長 八木岡努氏
文芸アナリスト 大金義昭氏

「いのち」守る食 自給は国民問題

大金 「消滅の危機」に直面している国内農業の活路を、JAグループは協同組合としてどのように切り開いていくべきなのか。限られた紙面の中で端的なご意見をいただけますか。 

菅野 意外に思われるかもしれませんが、基本的には万事「人づくり」だと思いますね。農業基本法が1961年にスタートした頃の食料自給率は78%でした。それがこの60年余で38%前後まで下がった。国民の食と「いのち」を他国に委ねてしまっています。国民の「いのち」を守る国防費に43兆円出す話がありますが、離島でサトウキビを作り続けることも「国防」ではないかという視点もある。国民の「いのち」を守るために農業者を育て、農地を守るためにその3割くらいを出すとか。一番のポイントはそこじゃないですか。

JA全中前副会長 菅野孝志氏JA全中前副会長 菅野孝志氏

八木岡 自給率70%台だった時の「担い手」が年齢を重ねながら農業を担ってきて、次世代を育てることができなかった。農業技術だけでなく、次の世代の「人づくり」をもっと泥臭く進めていかなければならないと思っています。JA全農の仕事で今年、米国・カナダの視察に行ってきました。食品スーパーを回ると、物が何でも高い。日本の倍くらいの感じです。北海道産や福島県産などの銘柄米も日本の3~4倍です。

基本的な問題は「価格転嫁」じゃなく、農畜産物の価格はいくらが適正なのかということを国民にきちんと理解してもらう必要がある。世界の中で日本だけが食料や農業の価値を分かっていない国になっていると考えさせられました。

大金 自給率の問題は、都市に住んでいる消費者を中心にした国民全体の課題です。 

菅野 高度経済成長期から、消費者・国民の生活を支えるために農畜産物価格を安く抑えるという暗黙の政策が続けられてきた。農業人口の減少は、働けど働けど農業では所得が賄いきれなかったからです。ぼくは長年にわたり、国民と一緒になって「食と農」の問題を考えようという「国民理解」を提案してきました。この大地を守るということ自体を「国民理解」のベースに据え、その上で価格問題を考える。なんで牛丼が400円なのか。米国へ行ったら、普通に1500円とかします。OECDの中でもっとも貧しい国になってしまった今日、どのように「食と農」を守り、もう一度、私たちの暮らしを豊かにしていくかです。

地域共生に 前向き発信

大金 この国は人を「使い捨て」にしてきた。「ブラック企業」だけじゃない。人を使い捨てることで主たる企業だけが潤ってきた。それが「格差と貧困」「分断と孤立」を深刻化させ、「貿易立国」の生贄(いけにえ)や踏み台にされた農業の衰退につながった。だから、「人の使い捨てはもうやめよう!」と農業協同組合の立場から広く社会に呼びかけるということですか。お二人が唱える「人づくり」というのは?

菅野 人の「使い捨て」社会から、人と人とが互いに生かしあい、互いに育ちあう「人づくり」社会に転換するということです。

八木岡 同感です。地元で新規参入者の受け入れ研修をした時に感じたのですが、JAも行政も農家になりたい人がたくさんいた時の、ルールや感覚がそのまま残っている部分が多々あるようです。もちろん受け入れる側として品質や味に責任を持つ立場なので、当然といえば当然なのですが、一人前にならなければ仲間に加えない、ではなく、「半農半X」や自家消費程度だけれど食と農業にすごく関心があるという人たちなどを含めて、農業に志ある人の面倒をしっかり見て育てる役割がJAにもあるのだなと思います。それが農業の価値を理解し、農業に関わる人を増やしていくことになると思っています。

JA全農副会長 八木岡努氏JA全農副会長 八木岡努氏

大金 「農的関係人口の拡大」ですね。

菅野 人の「使い捨て」といえば、AIなどの技術革新が進み、人が選別されていく。必要な人材と、こぼれ落ちる人たちと。

八木岡 ぼくらはこぼれる方かな。(笑)

大金 八木岡さんはシステム革新の先端を走っている。(笑)

菅野 ともかく、人の「使い捨て」はもうやめようや、ということです。「農福連携」なども、人と人とが互いに生かし合うことで成り立っています。

八木岡 そのためには、JAやJA連合会の職員がもっと現場と対話することですね。JA関係の機関紙などもどちらかといえば内向きに情報発信しているような気がする。そうじゃなく、これから農業をやりたい人や地域の農産物を食べている皆さんに、どのようにJAの思いを届けるか。「組合員になってくれますか?」じゃなく、「面白くて組合員になりたくなる」環境や条件を作っていきたい。

大金 「地域活性化」にもつながる。

八木岡 第29回JA全国大会で決議した「持続可能な農業」や「地域共生社会」で考えたのは、地域の中に核になる人たちがいることで地域全体が活性化するということです。

菅野 人が支える美しい農村景観も「宝」です。「社会的共通資本」と言い換えてもよい。農家の人たちが頑張っているから「緑豊かな大地」での暮らしが成り立ち、教育と文化にも触れ合える。

文芸アナリスト 大金義昭氏文芸アナリスト 大金義昭氏

多様な経営 裾野広げて

大金 欧州諸国の食料自給率も、多数の市民の支持によって維持されている。生産者が説得力をもった暮らし方や生き方をしていることが、市民の合意形成につながっています。

八木岡 景観といえば、レンゲを田んぼの緑肥にすると経費が少なくて済むし、化石燃料も減らせる。今は、稲刈り前にドローンでレンゲなどの種をまく。そうすると、田がまだ湿っているうちだから、種を鳥に食べられたりしない。稲刈りの頃には、もう小さな芽が出ています。新しい技術で農地を守り、景観も維持できる。

菅野 極端かもしれないが、ぼくは今こそ「第2次農地改革」をするべきではないかと思っています。本気で農業をする人たちのために、農地は生かされなくちゃいけない。

大金 全中会長を務めた故・宮脇朝男さんは戦後の農地改革に反対し、「土地の国有化を基本に」「耕作権さえ永久に確保されれば、農民に土地の所有権はいらない」と唱え、「解放農地を購入するな!」と説いて回ったけれど絶対少数派で、結果、零細小農経営がたくさん生まれました。

八木岡 それが今は、農地の出し手がいっぱいで、引き受け手がいません。そんな現状で規模拡大し、法人化して大規模経営に頑張っている人もいれば、小規模で自家消費でもいいから作りたいという人もいる。そうした多様な経営体(担い手)を大切に、農業を支える裾野を広げていきたい。
それから、これはJA全農の仕事になると思うんですが、「グリーン・セット」みたいな形で「この肥料とこの種を使えば家庭菜園ができる」あるいは「このセットを使えば特別栽培米が生産できる」といった提案をして生産活動を広げる。

菅野 しかし、JAがそういう手間・暇を省くような傾向もうかがえる。職員の減少でやむを得ない面もあるけれど、対話を強化しているJAなどではそうした取り組みを強め、結果として事業も組織活動も良くなっている。二極化しているように思いますね。「みどりの食料システム戦略」など「持続可能な農業」への取り組みも大事ですが、20品目あるいはもっと絞って5品目でもいいから、それがどこまで持続可能な農法に到達していて、さらにどうすれば「特別栽培」や「有機栽培」になるかなどがよく見えると、すごく前に進んでいくのではないか。

大金 学校給食に有機栽培米を提供する動きなども広がっている。

八木岡 どこかの企業が思いつきでやるんじゃない。地域のJAがやるから、あるいは行政が政策として位置づけるから、互いに歩調を合わせてやるといった関係が確実に広がっています。しかも、義務教育の学校給食無償化は、5500億円でできる。無償化したら、次は「有機農法の米にできないか」となるに決まっている。しかし、住民がオーガニックを求めて盛り上がっても、「地元にないからEUから輸入するしかない」となれば、これは本末転倒です。
だから、これからの地域農業はスケールメリットを追求して大規模生産する人や、学校給食や生協などに少量でも高付加価値の農産物をきちんと届ける人など、多様な担い手を組み合わせ、地域で全体的なバランスをとればいい。スマート農業はどちらにも役立ちます。

【座談会 農業協同組合がめざすもの】農の人材育て 行動力今こそ(2)に続く

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