JAの活動:【2024年新年特集】どうする食料・農業・農村・JA 踏み出せ!持続可能な経済・社会へ
【提言2024】多様な農業人材に注目 農業ジャーナリスト 榊田みどり氏2024年1月18日
2023年、世界は地球沸騰化の時代に突入、地上ではロシアのウクライナ侵攻が続き、さらに中東情勢も深刻化、混迷と対立が深まるなかで2024年を迎えた。本紙新年特集は「踏み出せ! 持続可能な社会へ」をテーマに、世界情勢と日本の未来を見越して、農政をはじめとした政治、政策、そして農業協同組合への提言を幅広く識者に発信してもらう。
農業ジャーナリスト 榊田みどり氏
昨年は、食料安全保障への関心が一気に高まったが、食品・資材価格高騰の最大の要因は、円安による輸入価格の高騰が大きかったと考えている。その意味では、短期的には、今後、円高傾向に転じて輸入価格高騰が一息つけば、再び食料安全保障への関心は低下するかもしれない。
しかし長期的には、農業者人口の劇的な減少が予測され、国内の食料生産の将来は不透明だ。世界規模でも、すでに都市人口が農村人口を逆転し、国連が2018年に公表した都市化予想によると、2050年までには都市人口が68%に達するとされるなど、世界規模で農村人口が減少し、いつまで安定的に輸入食料を確保できるか、こちらも不透明だ。
農業者が減少する中で、今後は農業の大規模化・寡占化がさらに進み、企業型経営が増加する一方で、非農家が兼業や多業で農に関わる「耕す市民」も増加する二極化が進むのではないか。すでに、欧米でも日本でも、その兆候は見られる。
新たな食料・農業・農村基本法案の前段として、昨年閣議決定された「新たな展開方向」でも、「多様な農業人材」が産業政策と地域政策の両面で位置づけられたが、強調したいのは、大規模法人とこれら「多様な農業人材」を対立構図で見るべきではなく、連携を探ることが必要という点だと思う。
大規模化が経営安定の道とは限らず、農業法人の自己資本率の低さは以前から課題だ。自然災害やコロナ禍、さらに、資材高騰、最低賃金引き上げ、労働力不足を前に、農業法人の倒産件数と負債総額は増加している。今まで以上の経営力が求められる時代でハードルは高い。
まずは農にかかわる人々の裾野を広げて層を厚くし育てることが、持続可能な地域農業と地域づくりにつながるのではないか。兼業・多業型の就農を望む非農家住民の受け皿をどう作るかは、農業労働力確保の点でもカギになる。大規模法人の中にも、非農家の有償・無償ボランティアを取り込み経営に生かす事例は登場している。
重要な記事
最新の記事
-
【提言】農業をもう一度基幹産業に(2) 武道家・思想家 内田樹氏【2025新年特集】2025年1月16日
-
鳥インフルエンザ 千葉で国内29例目 殺処分対象約489万羽に2025年1月16日
-
能登半島地震 農林水産被害 3658億円 東日本大震災に次ぐ額2025年1月16日
-
鳥インフル 米ジョージア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月16日
-
鳥インフル 英アンガス州など2州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月16日
-
ドイツ産偶蹄類由来製品等 輸入を一時停止 農水省2025年1月16日
-
ある「老人」のこの春【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第324回2025年1月16日
-
市場価格は「ないと高いがあると安い」【花づくりの現場から 宇田明】第51回2025年1月16日
-
大学生が調査、体験もとに地域づくりを提案 JA共済連の寄附講座でシンポ2025年1月16日
-
王秋梨、あたご梨を台湾で販促 シャリ感と甘み好評 全農とっとり2025年1月16日
-
米の裏作に秋冬ねぎ 無選別出荷で手間軽く JAくまがや2025年1月16日
-
栃木県産いちご「とちあいか」試食イベント 東京スカイツリータウンで開催 JA全農とちぎ2025年1月16日
-
「冬土用未の日フェア」直営飲食店舗で17日から開催 JA全農2025年1月16日
-
石井食品『地域と旬』シリーズ 三浦と東近江の野菜使ったハンバーグ発売2025年1月16日
-
「いちごフェア」期間限定で3種類のケーキが登場 カフェコムサ2025年1月16日
-
ロングセラー精米機「ミルモア」新モデル発売 サタケ― 精米品質・生産性・操作性を追求した新モデル発売 ―2025年1月16日
-
水稲用殺菌剤「リガ―ド」剤 新規登録 クミアイ化学工業2025年1月16日
-
謎解きしないと食べられない 岡山県産いちご「晴苺」フェア開催 岡山県2025年1月16日
-
東邦ガス 根域制限栽培によるシャインマスカット生産を支援 日本農業2025年1月16日
-
地域活性化農業・観光・教育 新たな発電所づくりへ クラファン開始 生活クラブ2025年1月16日