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災害乗り越え前に 秋田しんせい農協ルポ(2)今後を見据えた農協の取り組み 営農黒字化シフトへ2025年1月23日
昨年7月末に秋田、山形両県を襲った記録的大雨。秋田県での農林水産関係の被害額は185億円を超え、同県での大雨災害としては過去最大となった。犠牲者も出ている。冠水した田畑に土砂が流入して収穫できなかったり、農業機械が浸水して使えなくなったりするなど、多くの被災農家が苦境に直面している。
大雨で最も被害が大きかった秋田しんせい農協の被害状況や農協、行政の対応はどうだったのか。そして、米価が下がり続けたこの30年。農協は協同の力でその経営危機をどう乗り越えてきたのか。また今日の農業危機をどう切り開いていこうとしているのか。同農協の佐藤茂良組合長に話を聞き、災害を受けた農家の声も拾い、被害を受けた現場にも入った。さらに、にかほ市に住む、かつての農産物自給運動の全国のけん引者だった旧仁賀保町農協で生活指導員だった渡辺広子さんに、農協運動に期待することなどを聞いた。(客員編集委員 先﨑千尋)

由利本荘市森子地区(秋田しんせい農協提供)
農協が合併して28年たつが、その間、組合員数や農産物の販売取扱高がかなり下がってきている。特に基本の米が下がった。二十数年、米の手数料もCEの利用料も上げなかった。営農経済部門の赤字は、長いこと信用共済部門の黒字で補ってきた。それが当たり前のことであり、総合農協の姿であると信じてやまなかった。しかし、農協改革の嵐の中で、そのようなやり方はまかり通らなくなってきた。
2019年の集落座談会で支店や事業所の情報をフル開示し、「このままでは支店も事業所も存続できません」とはっきり言い、組合員と一緒に考え、方向性を決めることにした。これは、全役職員が集う「役職員大会」において宣言した「営農経済黒字化」を具体化したものである。
集落座談会では、販売手数料とCE利用料について本来徴収すべき適正料金を提案し、理解を得ながら見直しを図った。水稲育苗センターなどの利用施設について利用者への運営委託に切り替え、生産資材店舗については、半日営業・冬期休業など利用実態に沿った営業スタイルに転換した。
支店機能も見直した。管内を四つのエリアに分けて統括支店を設け、その下に、一般支店、効率化支店、信用事業特化支店という機構を提示し、支店を存続するための転換に組合員及び利用者の理解を求めた。
管内でも高齢化、生産者減少の流れが顕著になっている一方で、大規模化や法人化が進み、経営の悩み・課題は高度化してきている。地域の農業が成長していくには、こうした農家や法人経営者に的確な解決策を提案し、経営分析を手伝い、労働力の配分や収益が上がる方法の提案などをワンストップで解決できるようにと、「農業経営支援室」を2021年に設置した。
2020年には、生活部門と広報を一体化させ、食と農の大切さを広く伝えるために、「Agri・Food未来企画課」を設置した。農の未来に向けた種をまく、農協の未来に向けた種をまく、生産者と消費者をつなげることをねらいとした。従来分野の業務に地産地消、食農教育、農産物販売を加え、准組合員を農協・農業の応援団、パートナーとして位置づけた。
また、ゆかりのある東京都港区では学校給食にしんせい農協の米を使っていただいており、2024年は六つの小学校に、青年部、女性部が出向き、子どもたちに農のことを知ってもらうような食農教育を実施している。
これらの取り組みの結果、赤字だった営農経済事業は2019年以降黒字となり、座談会の公約通り利用高配当を可能にした。2023年は猛暑の影響により、全農産物の収量・品質が低下したことを受け、減益となったものの、1億2800万円(出資配当の2・7倍)の利用高配当を実施した。県内で出資配当と利用高配当のダブル配当を行っている農協は少なく、改正農協法第7条の主旨にも沿っている。
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