JAの活動:第71回JA全国女性大会特集 守ろう食料安全保障
【JA全国女性大会記念座談会】学び、つながり より良い明日へ 一歩前に出る "気づき"が力に(1)2026年1月28日
第71回JA全国女性大会のメインスローガンは「『あい』からはじまる『元気な地域』をみんなの力で」。まさに元気な地域づくりには地域に根ざしている女性の力が欠かせない。そこで女性部活動の先駆者ともいえるJA栃木女性会元会長で現在はJAはが野総代の猪野正子氏、JA女性部活動に詳しい日本協同組合連携機構(JCA)客員研究員の伊藤澄一氏、文芸アナリストの大金義昭氏の3人による女性大会へのエールを込めた座談会を企画した。
写真左から日本協同組合連携機構(JCA)客員研究員・ 伊藤澄一氏、
JA栃木女性会元会長、JAはが野総代・猪野正子氏、
文芸アナリスト・ 大金義昭氏
「婦人部」から継承 "表舞台"めざして
大金 今日は第71回JA全国女性大会に向けた座談会ですので、猪野さんからJA女性組織との関わりをお話しいただけますか。
猪野 30代の頃、JAの生活指導員に誘われて「みそづくり」から入りました。そこで出会った先輩女性たちの話から、「女性も表舞台に出ていろんな知識を身につけなくちゃダメだな!」と目から鱗(うろこ)が落ちました。思い返せば「農協婦人部」が「女性会」に名称を変更する際に、JA栃木女性会の事務局担当者がフレッシュミズ(フレミズ)・ミドル・エルダーの3部制をそれぞれ対等な位置づけで設置するきっかけをつくってくれたんです。それから県のフレミズ会長や女性会会長などを務め、女性の地位向上に寄せる思いを仲間に広げてきました。地元JAはが野の二宮地区なの花会(フレミズ)での「学び」や仲間づくりは、女性や人間としてさまざまな「気づき」を得る場所としてとても貴重な経験でした。
大金 農村女性に心を惹(ひ)かれたのは、猪野さんたちよりもかなり年配の世代になるのですが、家の中でも地域でもほとんど一人前の人間として認められなかったような女性たちの姿を目にしていたからです。多くの女性たちが外出もままならない、地べたを這(は)いまわるような生き方を強いられながら懸命に這い上がろうとしていた。今はマイカーでどこにでも自由に外出し、好きなように行動できる女性の時代に見えますが、かつての先輩たちの苦労や地位向上に寄せる切実な願いをどのように継承しているのか。そんな見方は古い?
猪野 いいえ! とても大切なことです。私は嫁として大事にされて恵まれましたが、義母の世代は何でも手作業で嫁としての役割も大変でした。そんな時代があったからこそ今があります。
大金 伊藤さんはJA全中常務時代に女性組織も担当された?
伊藤 はい。2008年から6年間担当しました。代表として東京に集うJA女性組織のリーダーの皆さんは選ばれた方、あるいは自ら代表を引き受けても良いという「志」や「強さ」を持った方たちです。私は1952年の長野県佐久生まれです。蓼科山から水を引いて切り開いた新田村です。母は、私を産んでほどなく肺結核を患い、療養所への入所、大きな手術を経て、5年後に帰宅しました。その後も病気を気にしてひっそり暮らしていました。末っ子の私は新聞を隅々まで読んで勉強していた母とよく話を交わしました。どこまで母の心を理解できたのかという思いがあります。元気だったら、母は女性組織に入っていたかもしれない。
大金 明治生まれの祖母は、貧しい村の戦後初代の農協婦人部長を務めた。夕食を済ませ風呂も自分が最後に入って、夜9時頃に提灯を持って婦人部の集まりに出かけて行く。出かけた先でどんな話し合いをしていたのか。祖母が出かける夜の祖父はいつも不機嫌なのですが、「庭の街灯点けてやれ!」とか気遣ってもいた。
猪野 昭和5(1930)年生まれの義母も、毎日、一所懸命に働く中で農協婦人部の旅行などを楽しみにしていました。婦人部旅行が数少ない「慰安」でした。
大金 農協婦人部の集会通知に、わざわざ「郵便はがき」を使うといったようなアイデアもあった。それを家族に見せ、外出しやすいように工夫するとかね。
伊藤 2008年当時、JA全国女性協副会長の西塚洋子さんから、「『男女共同参画』の場は台所、男もそこに立てば分かる」と言われました。「伊藤さん自身がそれをやれる?」という意味だったと思う。彼女は「厳しくて優しい」方で、長野県の飯田地区の会長を今でもされています。私はリタイアして10年になりますが、家では食器洗い、掃除とごみ捨て、風呂掃除、洗濯物のたたみ、炊飯を担当しています。妻からは「もし自分が先に逝ったときに、何も出来ない父ちゃんを残すわけにはいかないから」と。西塚さんや妻の言葉に学びながら、ルーチンワークをしてきましたが、今の若い世代はもっとしっかりやっています。(笑)
あきらめより行動 先輩の歴史に本筋
日本協同組合連携機構(JCA)客員研究員 伊藤澄一氏
大金 「家事」分担が嫌(いや)なら、先にお迎えいただくしかない!?(笑)
伊藤 私が言いたいことは違いますよ!(笑)。ついでに言えば、妻は学生時代から登山をしていて、この10年は私も厳しい山に一緒に行くようになったのですが、リーダーは彼女です。逆らえません!(笑)
大金 「男女共同参画」は家庭からという話でした! 失礼しました!(笑)。今の農村女性は昔に比べたら大変に恵まれているように思われるが、その女性たちが何をしようとしているのか、女性組織の活動を半世紀以上追いかけてきて、インパクトがあまり感じられない。個別には生産・販売、福祉、地域づくりなど多彩で素晴らしい活動が全国津々浦々にあるのですがね。
猪野 先人たちの歴史を学ぶ姿勢は大切です。問題や課題を投げかけても、それを敏感に気づいて受け止める人と「私はこれでいいのよ!」と思っちゃう人とがいるように思う。でも、あきらめてはいけない。気づける機会をつくる。気づけなかった人も「ああこれって大事だね!」と自分が気づけば行動を起こせます。先輩たちが流した汗と涙の歴史や「食と農と地域」について考えていく女性組織の本筋は伝えていくべきです。
大金 「食と農と地域」と言えば、今やJAの目玉事業の一つになっているファーマーズマーケットも、女性や女性組織がロードサイドに立ち上げた「無人直売所」や「100円市」から始まっている!
猪野 女性たちが作物をつくっても、評価を得る機会が長い間ありませんでした。私の住む地域には、1997年に栃木県で2番目の「道の駅」が出来ました。イチゴを出品する女性たちを募り、「道の駅」に直売スペースを提供してもらいました。すると「私のイチゴをおいしいと言って食べてくれる消費者がいる!」ということに女性たちが気づき、営農に対する意気込みが変わりました。JAはが野管内は農業に恵まれた地域で、「無理に直売しなくてもいいじゃないか」という空気もあったのですが、直売することでお金になるだけでなく、農産物への評価が女性の「頑張れる力」になった!
自分で出荷した農産物が消費者に直接届いて喜ばれる「道の駅」は、地域のよりどころにもなっています。イチゴや野菜の出品は息子さんや娘さんに引き継がれています。時間に余裕のある仲間に「加工場を建てて加工品(漬物)を作ると販売できるわよ!」と話したら、それがうまくいって、今でも続けています。「女性会に入っていたから加工の話が聴けた!」と言ってくれ、「起業」の後押しも出来ました。でも一方では、みそづくりグループが次につなぐ後継者がいないために続けられなくなった事例もあり、「続ける」「つなげる」大切さを痛感しています。
大金 地域によっては「農終(じま)い」という言葉を聞くけれど、「活動終(じま)い」ですか!
伊藤 2025年12月のデータを見ると、JA全国女性協のメンバーは34・6万人です。日本のJAは494ですから、1JA当たり約700人です。10JAが合併していたとすれば、旧JA当たり70人です。JAは全国を網羅しています。それぞれの地区が特産物を持っています。その生産は、もしかすると中心になる方が亡くなったら頓挫するかもしれない。でも、また始まるかもしれない。そうした一喜一憂をしながらの積み重ねが女性組織の皆さんの歩みです。
いつもは脚が痛い、腰が痛いと言っているおばあちゃんやおじいちゃんが、直売所には「小走りに野菜を持ち込む!」と聞いています。『日本農業新聞』の直売所川柳にも「出荷終えとたんに腰痛出てきたり」という作品もある。このウキウキするシステムをつくったのは女性組織です。猪野さんがお話されたようなイチゴを始めとする農産物や漬物・みそ・ジャムなど様々な加工品の物語は津々浦々にあるわけですよね。しかも女性組織はJA合併で横のつながりが広がっています。
健康維持にも一役 日頃の活動が大切
JA栃木女性会元会長、JAはが野総代 猪野正子氏
猪野 はい!
伊藤 そのイキイキとしたつながりは、年々減少するメンバー数だけじゃ分からない。私は「JAレインボー体操」創始者の二村ヤソ子さんと1999年に出会い、レインボー体操を応援してきました。一昨年に亡くなりましたが、お嬢さんの治菜さんが継いで、JA共済連も応援しています。女性の一番の関心は"旦那さん"じゃなく、自分の健康なんですね!(笑)。寝込んだら台所に立てなくなると!
JA全中常務時代に、JA全国女性協の役員の皆さんと近しくお付き合いをしてきました。そのなかで、災害への備えに一番感度を持っているのも女性組織だと思いました。福島県の大川原けい子さん(元JA全国女性協会長)は、義父母の介護の時も女性部活動に出かけていた。それが自分を支えてくれていたと言っています。直売所川柳にも「介護する私の元気(パワー)直売所」があります。彼女は「女性部の仲間と楽しく勉強する日々は、東日本大震災という"有事"の訓練でもあった!」と言う。災害の時に情報を交換し、暖をとり、どうやって食事をとるか。そこで女性組織の日頃のつながりが生きる!
猪野 おっしゃる通り、日頃の活動があるからこそですね!
大金 お二人の話のポイントの一つは、農産物や加工品が売れてお金になることが女性の「自己評価」や「社会的評価」につながっているということですね。もう一つは、普段楽しいことしかしていないように見える女性組織の活動が、災害時には人と人とをつなぐネットワークになり、相互扶助の底力を培っているんだということですか。素晴らしい指摘です!
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