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【米大統領選】トランプとサンダース人気 不平等と格差が背景に2016年2月23日

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萩原伸次郎(横浜国立大学名誉教授)

 米国の大統領選挙の候補者選びが本格化してきた。民主党では知名度抜群のヒラリー・クリントン前国務長官を民主社会主義者を名乗るバーニー・サンダースが追い上げている。共和党は政治経験がまったくなく問題発言を繰り返すドナルド・トランプの勢いが止まらない。候補者の人物像と支持者層などから米国の今を見る。

◆熾烈な代議員獲得競争
 
 米国大統領選の候補者選びが本格化してきた。2月20日は、民主党はネバダ州の党員集会、共和党はサウスカロライナ州の予備選が行われた。共和党は、ドナルド・トランプがニューハンプシャー州予備選に続いて2連勝、民主党は、ヒラリー・クリントンがバーニー・サンダースと競り合って辛勝した。
 米国の大統領選挙は、長丁場だ。最終ゴールは、今年の11月8日の一般有権者による投票だが、大統領選挙候補者は7月に行われる党の全国大会で決定される。7月の全国党大会をめざして現在、民主、共和両党内での代議員獲得をめぐって、熾烈な戦いが進んでいるというわけだ。


◆ヒラリー? バーニー?

 現在のところ、与党民主党では、オバマ政権で国務長官を務めたヒラリー・クリントンが有力だが、急速に彼女の支持率に接近しているのが、自称民主社会主義者、バーニー・サンダースだ。党の全国大会では、投票によって候補者を決めるわけだが、その権利を持つ代議員の数には、民主党の場合、党の有力者で構成される特別代議員と党員の意思を代表した一般代議員がある。ヒラリーは、現在のところ一般代議員の51人を獲得、特別代議員の451人を加えると502人、バーニーは、特別代議員19人、一般代議員51人、計70人でヒラリーに圧倒的に差をつけられているが、今後、各州で進む予備選挙で、バーニーが一般代議員獲得数を増やしていけば、逆転は十分可能だ。
 8年前の民主党大統領選挙候補者選びの時も、バラク・オバマの支持率は、最初は低く、ヒラリーが圧倒的な支持率を誇っていたが、最終局面では、バラク・オバマが逆転し、大統領選挙にも勝利し、現在に至っていることは、よく知られた事実。


◆知名度抜群だが「ずるがしこい」とも

 ヒラリーは、確かに知名度は抜群で、器量よしだし、何といっても元大統領ビル・クリントンのファーストレディーを務めた才媛だ。しかし、そのことがかえって逆に働くこともあるというのが政治の世界。とくに、ビル・クリントンの不倫事件発覚の時、彼をかばって擁護した。普通のアメリカ女性なら怒って離婚ということにもなりかねないところ、ヒラリーは思いとどまった。その後、ニューヨーク州上院議員になり、バラク・オバマと2008年には、大統領候補指名合戦を演じたわけだ。後の大統領選挙への出馬への野望が、不倫事件時、ビル擁護に回った要因だとするのが巷の勘ぐりだ。「ずるがしこい女性」というのが、知名度抜群と共に常に彼女に付きまとう。
 しかも、クリントン時代は、ニューエコノミーなどといわれて、株価上昇が継続し、失業率の低下にもかかわらず、物価が安定した時代があった。「米国から景気循環が消滅し、繁栄局面が永遠に続く」などと、能天気なことをいうエコノミストが出たほどだったが、実際は、ワーキング・プアの増大による賃金低下が深刻だった。『シッコ』という米国の健康保険制度の不備を鋭く描いた、映画監督マイケル・ムーアが、TPP反対の集会に飛び入りし、「北米自由貿易協定は、雇用と賃金上昇をもたらすと大統領はいったけど、そんなことは起こらなかった。TPPに騙されてはならない」と集会参加者を励ました。その北米自由貿易協定を締結した大統領は、ビル・クリントンだったのだから、その妻、ヒラリーの政策も推して知るべしというべきか。一般の民主党員の中に、ヒラリーからバーニーへの支持に鞍替えする人が急速に出てくるのも「むべなるかな」である。


◆「民主社会主義者」が台風の目

 日本の人たちにはあまり知られていないバーニー・サンダースは、シカゴ大学の学生時代から、ベトナム反戦や様々な市民運動にかかわってきた。
 バーモント州最大の都市バーリントン市長を1981年から91年まで務め、その後、91年から07年までは、バーモント州から下院議員、その後2007年にバーモント州上院議員に転じ、今日に至っている。みずから、「民主社会主義者」を名乗り、議員時代は、つねに無所属で民主党員ではなかったが、大統領選出馬のため、民主党に入党した。
 バーニーは、「富と所得の不平等の是正」「国民皆保険制度」「公立大学授業料無料化」「まともな雇用創出のための1兆ドルの公共投資」「連邦最低賃金15ドル」など、オバマ政権の「中間層重視の経済学」をさらに一歩、国民寄りに展開しようという経済政策を持っている。
 クリントン政権時代に労働長官を務めたロバート・ライシュもバーニー・サンダース支持を訴えている。今後、民主党の候補者選びで、台風の目になるのは間違いない。


◆トランプ人気で共和党政治崩壊

 一方、野党共和党の候補者選びはどうなっているのか。これまた、与党民主党と同様に、従来の共和党政治の崩壊がくっきり現れているといえるだろう。共和党といえば、GOP(Grand Old Party)と略称されるように、米国最大の古くからの政党だ。いうまでもなく、奴隷解放を行なったエイブラハム・リンカーンの党であり、アメリカ民主主義の権化みたいな自負がある。
 この政党に生粋の共和党員ではない、実業家ドナルド・トランプが予備選で2連勝した。そもそもドナルド・トランプには、政治をやった経験がない。父親が、ニューヨーク市で不動産業を営んでいたのを手伝い、1971年に会社の経営権をあたえられ、トランプ・オーガナイゼーションに社名を変更し、実業家としての人生を歩んできた。
その後、NBCのリアリティテレビ番組で著名になり、「You are fired!!」(お前はクビだ!)という決め台詞は、流行語にもなった。出馬表明演説でメキシコ人を「麻薬や犯罪を持ち込み、婦女暴行犯だ」という発言をしたり、「イスラム教徒を米国に入れない」というような憲法違反の発言を繰り返しているが、そのたびに彼の支持率は上昇する。
 対外政策では、介入主義的な政策を批判、ブッシュのイラク戦争は間違いだったとする。日本との関係では、安保条約が戦時に一方的に米国が防衛する義務を負うのは不公平だとしているから、安保法制(戦争法)がこのまま効力を持つことにでもなれば、日本が軍事的片棒を担がされることになるのは目に見えている。


◆新自由主義と一線画す

 一方、経済政策では、グローバリズムへは懐疑的なスタンスをとる。保護主義的とされるゆえんであり、TPPにも反対だ。共和党の小さな政府論にも批判的で、富裕層への課税強化、格差是正を謳っているから、新自由主義的路線とは一線を画している。中間層以下の保守的な白人層に圧倒的な支持率を誇っているといえそうだ。
 共和党主流派の後退というのは、ブッシュ元フロリダ州知事が、サウスカロライナ州予備選の不振から撤退を決めたことにも象徴的に現れている。いうまでもなく、彼は、ジョージ・W・ブッシュ前大統領の弟だ。
 サウスカロライナでは、トランプの次ぎに2位につけたのが、マルコ・ルビオ上院議員だ。2010年では、「ティー・パーティー」の支持を得て当選した、キューバ移民の子だ。共和党若手を代表する論客といわれるが、経済政策では、小さな政府論の新自由主義的路線を踏襲している。従来の共和党主流派の経済政策を実施するだろう。
 また、テッド・クルーズは、テキサス州の検察官で2012年にテキサス州から上院議員に選出された。共和党保守派の急先鋒で、「ティー・パーティー」系のヒーロー。オバマケアに反対して、2013年10月には、21時間にも及ぶ演説を繰り広げて政府機関を一部閉鎖に追い込むなどの行動が目立ったが、逆に共和党のイメージダウンとなったと酷評されている。
 民主・共和両党いずれも従来のタイプを超えた大統領候補が出現している。これが、アメリカ政治の現状といえるのだ。

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