【インタビュー森山ひろし前農相】農協改革は主体性が原則(下)2016年12月2日
現場の実態に照らして所得向上へ事業改革を
◆フォローアップは農水省
――全農改革については1年など具体的な数値は盛り込まれませんでしたが、年次計画と数値目標を示しそれが実現するよう与党・政府がフォローアップを行うとされました。一方、党の決議ではこのフォローアップについては「与党と農林水産省が緊密に連携」と書かれています。
そこはきちんと整理ができていることです。党の決議では、ここで言う「政府」とは農林水産省のことだと担保しています。規制改革推進会議も政府ですが、そこが入ってくるということではありません、ということです。
――全農改革への期待はどこにありますか。
全農に限っていえば、関連会社がかなりありますから、そこをもう少し効率よくできないかと思いますし、また、農産物輸出を増やしていこうとするなら、それに長けた外部からの人材の登用ということもお考えいただく時期に来ているのではないかと思います。
それから民間の生産資材会社があり、全農が出資している同じような会社があるとすればそこはやはり公正な競争原理が働くことが大事だと思います。
――農業WGの意見は准組合員の利用規制問題の調査の加速化も指摘しました。改めて准組合員問題についてのお考えをお聞かせください。
准組合員といえども組合員だということです。そこは非常に大事なことで、5年間かけてしっかり決めるということです。 それから准組合員制度が農村集落の生活を維持しているようなところもあります。一方で准組合員と員外利用を混同して議論しているようなところもあるので、そこは整理して議論しなければいけません。
農協は地域を守る役割を現実に担っています。農協によっては生活必需品まで車に積んで販売に回ってくれているという状況ですから。地域維持のために農協が果たしていく役割はますます高まっていくんだと思います。 そういう状況を受けて自民党も中山間地農業を元気にする委員会を立ち上げて議論し始めました。日本型直接支払い制度も含めどういう政策を打ち出すことが中山間地農業をより活性化して集落の農業を維持できるか議論も始めています。
これはある意味で地域政策です。これもしっかりやらないといけません。産業政策としての農業の議論ばかりをしていると間違えます。両方を一緒にやることが大事です。
◆農協の地域貢献は重要
――改めてJAグループへの期待をお聞かせください。
協同組合ですから、みなさんが主体性を持って決めることが大事だということだと思います。それをいちいち国がああでもない、こうでもないとやっているのはおかしいことです。
農業ほど難しいものはありませんし、また地域によってこれほど違うものもありませんからやはり現場がいちばんよく知っていると思います。日本の農業は世界から大変な評価をいただいていると思います。そこにはやはり農協という協同組合組織が果たしてきた役割は大きいわけですから、ぜひ誇りにして、さらに伸ばしていくということではないでしょうか。
※森山ひろし氏の「ひろし」の字は正式には「示偏に谷」
(関連記事)
・規制改革提言「全部押し戻すことが大事」-森山前農相 新世紀JA研の要請活動で (16.11.22)
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日