事前協議内容、国会で質問を 大学教員の会2013年5月14日
「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」は、4月12日の日米事前協議の結果をもとに「日本側の全面屈服以外の何者でもなく、交渉参加を撤回するしかない」との見解を4月26日に公表した。あわせて日米協議について国会で質疑が行われるべき点をまとめている。
◆国民に虚偽の説明?
日米事前協議が合意したとして発表された米通商代表部(USTR)の公表資料では、「2011年11月の日本が協議を開始したいとの発表をうけて、2012年2月に始まった」とされている。
しかし、日本政府は一貫して「米国との事前協議は行っていない」と説明してきた。大学教員の会は▽事前協議はいつから始まったのか、▽米国の説明どおりなら今年4月まで日本政府は国民に虚偽の説明したのか、などを国会で質すべきだとしている。
また、自動車分野では、輸入自動車特別取り扱い制度(PHP)で「4月12日に日本政府は…輸入台数を2倍以上にすることを一方的に通告してきた」、「車種ごとに年5000台まで日本に輸出する際には認められることになる」と記述されている。事実であれば、数値目標の受け入れは認めないとして自民党公約にも違反する合意事項だ。また、保険分野についても「4月12日にかんぽ生命の新規商品の承認を当面凍結した日本が一方的に発表した」とも記されている。
◆食い違いを質せ
日本政府の説明は今回の合意内容は、佐々江駐米大使とマランティスUSTRの往復書簡がすべてとしており、そこにはこうした記述はない。そのため▽同じ文書に基づいたとされる両国の発表内容がなぜ食い違うのか。▽食い違いが生じているのであれば合意とはいえないのではないか、▽日米事前協議の実際の合意はどのようなものか、などを政府に質問すべきだとしている。
◆非関税措置、要求追加?
交渉対象とする非関税措置については、9項目(保険、透明性/貿易円滑化、投資、規格・基準、衛生植物検疫措置、急送便、知財、政府調達、競争政策)が列記されている。しかし、米国文書では「両国政府が合意した場合、追加的な課題が加えられる」と記されている。これについて▽日本政府は同意したのか、▽この文言が追加された経緯・趣旨を日本政府は説明すべき、などと指摘している。 そのほか、米国以外の参加国との事前交渉内容については日本政府は発表せず、単に日本参加が承諾された、としている。
これについても▽なぜ米国以外の事前協議内容しか国民に発表しないのか、▽豪州、NZ、カナダの3か国は「すべて関税はゼロにする」と発表。3か国との関税問題をめぐる交渉内容を説明すべき、さらに▽このような状況のなか、聖域は本当に守れるのか、▽もし守れないと判断した場合、交渉から撤退するのか、▽安倍首相のいう「責任をとる」の具体的な中身は何か、などを国会で質問すべきだと提起している。
野田前首相は「国民的議論を経て参加を決定する」と繰り返し述べながら、実は事前協議は行ってきた。その結果を合意したのが安倍政権による日米合意だ。大学教員の会が指摘するいくつもの事項を国会で政府に問いただすことがまずは民意をふまえた国会議員の行動といえる。
(関連記事)
・【TPP】交渉脱退も辞さず 衆参農水委で決議(2013.04.19)
・【TPP】米国大統領は無権代理人? 権限に疑問(2013.04.17)
・【TPP】大学教員有志850人が即時脱退を要望(2013.04.12)
・【コラム・正義派の農政論】反TPPで大学人が要望書(2013.04.12)
・【TPP】米国ルールの受け入れ 大学教員の会(2013.04.12)
重要な記事
最新の記事
-
介護崩壊を食い止めよ【小松泰信・地方の眼力】2025年12月17日 -
米の相対取引価格下落 前月より565円下げ2025年12月17日 -
適用拡大情報 殺菌剤「日曹エトフィンフロアブル」、「ピシロックフロアブル」 日本曹達2025年12月17日 -
乗用全自動野菜移植機「PVDR200」を新発売 井関農機2025年12月17日 -
着色不良・日焼け・晩霜害 果樹の温暖化被害予測システムを開発 農研機構2025年12月17日 -
新規有効成分「シベンゾキサスルフィル」日本と韓国で農薬登録申請完了 日本農薬2025年12月17日 -
BASF「バスタポイントアプリ」が「minorasuポイントアプリ」にリニューアル2025年12月17日 -
林業スタートアップが社会的影響を可視化 インパクトレポート公開 森未来2025年12月17日 -
有明海産のり使用「堅ぶつ 焼のり味」期間限定発売 亀田製菓2025年12月17日 -
被災地で復旧支援する団体へ約767万円を寄付 こくみん共済 coop〈全労済〉2025年12月17日 -
全国各地の農家・多彩な品種 玄米サブスク「mybrown」リニューアル オーレック2025年12月17日 -
広島県廿日市市と包括連携協定を締結 タイミー2025年12月17日 -
「第3回旭物産のカット野菜を探せ恒例!冬のお宝探しキャンペーン」開催中 旭物産2025年12月17日 -
年末年始の産地を応援「配達休みに産まれた産直たまご」注文受付開始 パルシステム2025年12月17日 -
地産全消「野菜生活100宮崎月夜実グレープフルーツ&日向夏ミックス」新発売 カゴメ2025年12月17日 -
地域の有機資源循環を加速「汚泥肥料化パッケージ」提供開始 NTTビジネスソリューションズ2025年12月17日 -
旬のジビエを味わう「北海道エゾシカフェア」開催2025年12月17日 -
まるまるひがしにほん「魅力発見!地域ブランドフェスタ」開催 さいたま市2025年12月17日 -
ひきこもり当事者・経験者のリアル ショートドラマ公開 パルシステム連合会2025年12月17日 -
ジニア「プロフュージョン」に2品種追加 サカタのタネ2025年12月17日


































