【TPP】大学教員有志850人が即時脱退を要望2013年4月12日
全国の大学教員850人(4月9日現在)が賛同者となって結成された「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」が4月9日に内閣官房を通じて安倍首相あてに「即時脱退を求める要望書」を提出、林農相にも同文書を渡した。同会は10日に記者会見と関係者との意見交換会を国会内で開いた。
同会の事務局長を務める財務会計論が専門の醍醐總・東大名誉教授は、世論調査で安倍首相のTPP交渉参加表明を支持する声が多いことに「十分に理解されているのか危惧した。自然科学系、社会科学系を問わずもっと発信をしていかなければならない」と3月下旬に急遽、会の立ち上げを決めたと話した。専門分野を問わずTPP参加反対でこれだけの大学人が結集する取り組みは初めて。
記者会見ではさまざま専門分野の大学教員が寄せたメッセージ集も配布。「首相にはこのメッセージ集をぜひ読んでほしいと伝えた。米国の属国になる、大企業に支配されるだけとの声が本当に多い。研究と教育を通じてより熟した理解を図り、世論調査を真に民意を反映したものするのが大学人の責務」と話した。
今後は、TPP推進派との公開討論会や、政府の影響を試算の検証を共同研究していくなどの活動を展開していくという。
要望書では▽公約改ざんがわずか3か月で行われるのでは議会制民主主義は成り立たない、▽交渉は秘密裏、既存交渉国で合意された事項は見ることすらできないルールなど、今から参加してもルールづくりなどに加われず、丸呑みになる公算大、▽農林水産業に与える影響額(▲3兆円)は農林水産業者はもちろん地域経済に壊滅的な打撃、▽ISD条項など「平成の不平等条約」といっても過言ではない。国民不在の国益=日米同盟の絆の証にはなっても、国民益を毀損する、などの問題点を指摘した。
そのうえでTPP交渉への参加表明を撤回し事前協議をすみやかに中止するよう要請した。また、国民各層、各団体と連帯し日本政府にTPP交渉から脱退するよう求めるとしている。
(写真)
記者会見する「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」の呼びかけ人、4月10日国会内で
【呼びかけ人】(敬称略)
▽磯田宏(九大准教授・農業政策論、アメリカ農業論)
▽大西広(慶大教授・理論経済学)
▽金子勝(慶大教授・財政学、地方財政論)
▽志水紀代子(大手門学院大名誉教授・哲学)
▽醍醐總(東大名誉教授・財務会計論)
▽萩原伸次郎(横浜国大名誉教授・アメリカ経済論)
▽廣瀬清吾(専修大教授・ドイツ法)
▽渡辺治(一橋大名誉教授・政治学、憲法学)
▽伊藤誠(東大名誉教授・理論経済学)
▽岡田知弘(京大教授・地域経済学)
▽楜沢能生(早大教授・法社会学、農業法学)
▽白藤博行(専修大教授・行政法学)
▽鈴木宣弘(東大教授・農業経済学)
▽田代洋一(大妻女子大教授・農業政策論)
▽日野秀逸(東北大名誉教授・福祉経済論、医療政策論)
▽山口二朗(北大教授・行政学)
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