【TPP】交渉脱退も辞さず 衆参農水委で決議2013年4月19日
参院農林水産委員会は4月18日、「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に関する決議」を賛成多数で採択、衆院農林水産委員会も19日に同様の決議内容を賛成多数で採択した。
安倍首相は2月の日米首脳会談で「聖域なき関税撤廃が前提ではない」ことが確認できたとして交渉参加を決断したが、決議では「わが国には一定の農産品以外にも守り抜くべき国益が存在し、この確認がどのように確保されていくのかについても、その具体的内容はいまだ明らかにされていない。そのため各界各層の懸念はいまだ払拭されておらず、とくに交渉参加について農林水産業関係者をはじめ、幅広い国民の合意が形成されている状況ではない」と強調した。
そのうえで▽農産物の重要5品目について段階的な関税撤廃も認めず、交渉では除外や再協議の対象とすることや、▽国の主権を損なうようなISD条項には合意しないこと、▽農産物の重要5品目などの聖域確保を最優先とし、それが確保できないと判断した場合は脱退も辞さないものとすることなどの実現を政府に求めた。また、情報の国会への報告と幅広い国民的議論を行うことも強調している。
両委員会で採択された決議について林農相は「趣旨をふまえ関係府省とも連携しつつ政府一体として最善の努力をする」とそれぞれの委員会で述べた。
【決議が政府に求めている実現事項】
[1]米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外または再協議の対象とすること。10年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと。
[2]残留農薬・食品添加物の基準、遺伝子組換え食品の表示義務、遺伝子組換え種子の規制、輸入原材料の原産地表示、BSEに係る牛肉の輸入措置等において、食の安全・安心及び食料の安定生産を損なわないこと。
[3]国内の温暖化対策や木材自給率向上のための森林整備に不可欠な合板、製材の関税に最大限配慮すること。
[4]漁業補助金等における国の政策決定権を維持すること。かりに漁業補助金につき規律が設けられるとしても。過剰漁獲を招くものに限定し、漁港整備や所得支援など、持続的漁業の発展や多面的機能の発揮、さらには震災復興に必要なものが確保されるようにすること。
[5]濫訴防止策等を含まない、国の主権を損なうようなISD条項には合意しないこと。
[6]交渉にあたっては2国間交渉等にも留意しつつ、自然的・地理的条件に制約される農林水産分野の重要5品目などの聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとすること。
[7]交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること。
[8]交渉を進める中においても、国内農林水産業の構造改革の努力を加速するとともに、交渉の帰趨いかんでは、国内農林水産業、関連産業及び地域経済に及ぼす影響が甚大であることを十分に踏まえて、政府を挙げて対応すること。
(関連記事)
・【TPP】米国大統領は無権代理人? 権限に疑問(2013.04.17)
・【TPP】大学教員有志850人が即時脱退を要望(2013.04.12)
・【TPP】断固反対を粘り強く展開 JA全中 (2013.04.09)
・【TPPで農業はどうなる?】TPPと北海道農業と日本の食料のゆくえ (13.03.29)
・【緊急インタビュー】安倍首相・TPP参加表明 国民の生活が幸せになるのか? 鈴木宣弘・東大教授(2013.03.21)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(159)-食料・農業・農村基本計画(1)-2025年9月13日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(76)【防除学習帖】第315回2025年9月13日
-
農薬の正しい使い方(49)【今さら聞けない営農情報】第315回2025年9月13日
-
【人事異動】JA全中(10月1日付)2025年9月12日
-
【注意報】野菜類、花き類、豆類にハスモンヨトウ 県内全域で多発のおそれ 兵庫県2025年9月12日
-
【注意報】果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2025年9月12日
-
【石破退陣に思う】農政も思い切りやってほしかった 立憲民主党農林漁業再生本部顧問・篠原孝衆議院議員2025年9月12日
-
【石破首相退陣に思う】破られた新しい政治への期待 国民民主党 舟山康江参議院議員2025年9月12日
-
【石破退陣に思う】農政でも「らしさ」出しきれず 衆議院農水委員会委員・やはた愛衆議院議員(れいわ新選組)2025年9月12日
-
ドローン映像解析とロボットトラクタで実証実験 労働時間削減と効率化を確認 JA帯広かわにし2025年9月12日
-
スマート農業の実践と課題を共有 音更町で研修会に150名参加2025年9月12日
-
【地域を診る】個性を生かした地域づくり 長野県栄村・高橋彦芳元村長の実践から学ぶ 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年9月12日
-
(452)「決定疲れ」の中での選択【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年9月12日
-
秋の味覚「やまが和栗」出荷開始 JA鹿本2025年9月12日
-
「令和7年台風第15号」農業経営収入保険の支払い期限を延長 NOSAI全国連2025年9月12日
-
成長軌道の豆乳市場「豆乳の日」前に説明会を実施 日本豆乳協会2025年9月12日
-
スマート農園を社会実装「品川ソーシャルイノベーションアクセラレーター」に採択 OYASAI2025年9月12日
-
ご当地チューハイ「寶CRAFT」<大阪泉北レモン>新発売 宝酒造2025年9月12日
-
「卵フェスin池袋2025」食べ放題チケット最終販売開始 日本たまごかけごはん研究所2025年9月12日
-
「日本酒イベントカレンダー 2025年9月版」発表 日本酒造組合中央会2025年9月12日